Title:0 √y 〖死、そして………〗
僕、『兎崎 癒真』には一つ、解決しない悩みがあった。
それはちょうど、高校生になった頃から始まった苛めだ。
最初の内は机に落書きをされたり、靴の中に画鋲を仕込まれる程度だった。
しかし、僕が抵抗しないのを見て味を占めたのか、苛めは苛烈になっていった。
あるときは所持していたものを壊された。
あるときは失敗を押し付けられた。
あるときは暴力を振るわれた。
そのように、僕は『いじめられっ子』として孤立していった。
最近では先生の前でも苛めは黙認されている。
ーーー僕は何故苛められているのだろう。
今日もまた、数人のいじめっ子に呼び出された。
「………はぁ、なんで苛められにいってるんだろ……。」
重い足取りで学校の屋上に向かう。
ギィィィィィ………。
屋上の錆びた扉を開け、入る。
「よう、兎崎。来たか。」
「……………。」
「無視かよ。」
いじめっ子のリーダー………確か名前は『須藤』だったか。
須藤はこちらに近づくと、勢い良く僕のお腹を蹴った。
「うっ………!?」
痛みと共に胃の中の物が迫り上がってくる。
「おい杉下。立たせろ。」
「オッケー。」
杉下と呼ばれたいじめっ子の一人が僕を無理矢理立たせる。
「俺さぁ、今日ちょっと苛ついてんだよ。サンドバッグになってくんね?」
「……………。」
これは質問じゃない。ただの台詞だ。
「はい、沈黙は肯定としまーす。」
須藤の拳が胸に叩き付けられる。
「ゲホッ………ゲホゲホッ………!!」
「おらよ!!」
顔を殴られる。殴られる。殴られる。
「ふぅ~……スッキリした。」
「…………。」
「あ?………なんだよその目は。」
しまった。無意識の内に睨んでしまったのか?
「調子乗ってんじゃねぇッ!!」
顔を殴り飛ばされる。
「死ね!!」
そう言って須藤たちは去っていった。
「………………確かに、死ねたら楽だろうね。」
一人残された屋上で呟く。
「…………教室に戻ろう。」
立ち上がり、屋上を出る。階段を降りて、教室に入る。
「あ!……ユマ!?大丈夫!?」
教室に入るなり、一人の女の子が駆け寄ってくる。
「大丈夫だよ、シオリ。いつものことだから。」
「もうっ!……私にまで強がらなくて良いの!!」
『雪華 栞』。僕を唯一気遣ってくれる女の子。
「あ~……痣できちゃってる……。痕残らないように湿布とか貼ってよ?」
「はいはい、シオリは心配しすぎだよ……。」
席に座り、教科書を用意する。
それから先生が入ってきて、授業が始まった………。
終礼を終え、鞄に教科書を詰め込む。
「ユマ~?一緒に帰ろ~!」
シオリが歩いてくる。
「おけ。ちょっと待って。」
鞄を担ぎ、シオリの方へ向かう。
「ユマ、ちゃんとご飯食べてる?最近ゲッソリしてるよ?」
「それは気のせい。体重は完璧にキープしてるよ。」
「ユマってそこら辺女子よりシビアだよね……。」
校門を出て、コンビニを見る。
「ねぇ、シオリ。ちょっとコンビニ寄りたい。」
「良いよ~。」
シオリが横断歩道を渡ろうとした瞬間………!!
プゥーーーーーーーーッ!!
「え!?」
シオリが突っ込んできたトラックを見る。
ヤバイ。シオリが轢かれる。……助けないと!!
瞬間、身体が動き出し、シオリを突き飛ばす形でトラックを避けさせる。
ーーー自分が身代わりになる形で。
ガシャアァァァァァァンッ!!!
トラックにぶつかられ、吹き飛ばされる。
身体中の骨が砕け、死を直感する。
「ユマァァァァァァっ!!!」
シオリの悲鳴にも似た絶叫を聴く。
「嫌っ、嫌ぁっ!!死なないで!!死なないでよぉっ!!」
近くからシオリの声が聞こえる。
(嗚呼、泣かないでよシオリ。これじゃ守った達成感薄れちゃうじゃん……。)
そんなことを思いつつ、僕の意識は闇に包まれた………。




