第5話
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「ようやくお前から解放されるのかー。いやぁ、長かったぜ」
「どっちも俺のセリフだ。つーか、取り憑いて来たのはそっちだろ」
くだらないやり取りをしながら、神社までの道のりを歩く。正直、お祓いの手順とかはあまり知らない。……小遣い足りるかなぁ?十円ぐらいのお賽銭で、このオッサン成仏しないかなぁ?
「あなた、憑いてるわね」
「なあ、やっぱり金が勿体ないから、ゲームの呪文とかで消えてくれよ」
「お前、とんでもねぇこと言うな……俺が実はものすげえ神様とかだったらどうする気だよ」
「断言してやる。それはない」
「ねえ、ちょっと……」
「このクソガキ、後で吠え面かかせてやる」
「上等。今すぐそこの神社のグラマーな巫女さんに地獄に送り返してもらおう」
「さり気なく願望を滲ませてんじゃねえよ」
「ねえ」
「うわっ!」
「ひいっ!」
目の前にいきなり人が現れ、思わず飛び退いてしまう。てゆーか、この自称・神様。幽霊のくせに一般人相手に飛び退いたぞ。
オッサンにツッコむのに夢中になって、声をかけられていたことに気がつかなかった……ということは端から見れば、俺は独り言でヒートアップしている頭のおかしな奴に見られたのか。最悪だな。しかも同じ学校みたいだし。
嘉見学園の制服を身に着けたその女子は、腰まで届くくらいの長い赤みがかった黒髪をさらさらと風に靡かせ、腕を組んで仁王立ちしていた。勝ち気そうな鋭い顔立ちのせいもあるかもしれないが、機嫌が悪そうなのが見てとれる。それと、どっかで会ったような……。
「無視しないでくれる?」
「あ、はい……」
鋭い目つきで見据えられ、内心少しだけビビってしまう。うちの妹の怒った時を思い出したからだろうか。短気な女子は苦手だ。
その名前も知らない女子は、何の遠慮もなく距離を詰め、俺の肩に手を置き、よく通る声で囁いた。
「あなた、憑いてるわね」
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