第16話
8月も終わりが見えてきました。
「あ、新堂君。ちょっといい?」
朝礼が終わると、梛ノ宮先生が声をかけてきた。オッサンは教卓に立ち(?)金八先生の真似をしている。……ツッコむなよ、俺。
ちなみに、さっきの眼鏡女子は読書に耽っていて、こちらが声をかける隙などない。おそらく、遠回しな話しかけるなアピールだろう。……まあ、仕方ない。こんな事もあるさ。いや、やはりダメージはでかい。思春期男子のハートはそんなにタフじゃない。
「どうかした?」
「い、いえ……」
梛ノ宮先生のがいきなりこちらの顔を覗き込んでくる。すらりと整った大人の顔立ちに、さっきまでのモヤモヤは吹き飛んだ。思春期男子ってなんて単純なのかしら。
「はい、そこの童貞!先生に欲情しない!」
うるせえよ!
「どうしたんですか?」
「ちょっとプリント運ぶのを手伝って欲しいのよ」
「はあ……」
何故真っ先に俺が選ばれたのだろうか。
「川原先生が、新堂君に雑用は頼むと喜ぶって言われたの」
「……あの年増」
「ダメよ。そんな事言ったら、言いつけちゃうわよ?」
「それだけは勘弁してください」
川原先生とは、俺の1年の頃の担任である。ふとしたきっかけから、俺に大量の雑用を押しつけるようになったババ……大人の魅力に満ち溢れた三十代半ばの女教師だ。彼女が押しつけてくる一部の熱狂的なファンからは羨ましがられたが、俺としてはちっとも嬉しくはない。ツンデレとかじゃなく。
「そういう事だったんですね。てっきり、プリキュアばりに行き当たりばったりで選ばれたのかと思いました」
「そういう事よ。ちなみに、プリキュアはスマイルが最高傑作だと思うの」
「いや、やはりハートキャッチかと……ってプリキュアで話広げなくていいですよ」
「あ、勘違いしないでね?他の作品を否定したいんじゃないのよ。単体で見れば、キュアロゼッタやキュアフェアリーチェも大好きよ」
「俺はキュアハートですね!ってだから広げなくていいですってば!」
読んでいただき、ありがとうございます!




