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さらば変人!  作者: 差等キダイ
16/63

第15話

 二次元に潜りたいです。

「ふぅ……」



 何とか遅刻は免れた。

 姉さんと謎の美少女をあの場に残してきたのは心残りだが、あの状況を姉さんに上手く説明できる自信がない。……いや、これはこれで自分自身で傷口を広げた気がする。今の内に言い訳を考えておかないと。

 息が整ったところで、オッサンが話しかけてくる。



「お前、どうしたんだよ。モテキか?」

「俺もそんな気がしてきた」



 朝から変態扱いされたとはいえ、あんな美少女と(二次元において)ベタな出会い方をするなんて思いもしなかった。

 昨日から、美少女に縁があるようだ。どうやら……恋が攻めてきたか。

 多分、この後さっきの美少女が転校生として……いや、あの子は中学生か。いや、待て。もしかしたら、俺が落とした生徒手帳を届けに来てくれるとか。

 俺は胸ポケットを調べる。

 生徒手帳はしっかり入っていた。



「お前、やっぱりバカだろ」

「別に。なんも期待してねーし」

「…………」



 しまった。

 普通にオッサンと会話していたら、前の席の女子が不審そうな目をこっちに向けてきている。

 これといった特徴のない眼鏡。そのレンズの向こう側の、怯えたような目。肩にかかるくらいの、少し癖のある黒髪。派手さはないが、上品に整った顔立ち。見覚えはないので、今年から同じクラスになった女子だろう。

 ……やっちまった。ちなみにオッサンは床に寝そべり、ゲラゲラ笑っている。

 内心テンパっている俺から、彼女は何故か目を逸らそうともしない。……お願いだから、そんな怯えたような目を向けないで欲しいんだけど。



「…………ぃ」

「はい?」



 彼女の口から何か声が漏れた気がしたので聞き返す。ほのかに赤い小さな唇は小さく動いていた。

 しかし、彼女はさっと前を向き、何事もなかったかのように読書を始めた。



「けけけ、ふられてやんの」

「…………」



 とりあえずこいつは無視で。

 

 




 

 読んでいただき、ありがとうございます!

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