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ちょんまげとバズーカ  作者: シーサイド地蔵
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その後

 二人のその後の事を少し語ろう。


 あのゾンビ襲撃事件はギャルゲー世界の法則よろしく然るべき団体によって内々に処理され世間にそのまま広まる事は無かった。ご都合主義という修正力と金の力で、この世界はいつまでも安定し続ける。適度な暴走やトラブルを引き起こしながら、誰も悲しむ事の無い優しい箱庭であり続けるのだ。


 涼太郎は相変わらず面倒臭そうな顔をしながらもアクの強い周囲の面々をフォローする為奔走している。最近ではまんざらでも無いらしく、笑顔でいる事も多くなっていた。慣れてしまえばここはとても気楽に暮らせる世界じゃないか、と今日もトラブルに襲われながら涙を流す。笑顔で流す涙ほど痛々しいものは無いのだが、涼太郎はそれに気づかないようだ。


 狂花も幸せな毎日を送っている。原作での異世界少女の座に落ち着いた彼女は、シナリオ通りに涼太郎のいる学校に転校生として入学。ゾンビハンター狂花Ⅳの綺麗所をメイドとして侍らせて、お嬢様だったりお姉様だったり夜には女王様だったりして、勝手気ままな人生を送っていた。凄まじい身体能力の持ち主だから学校でもスターであり、人気者である。かつて勝ち組になりたいと願ったその夢は今、充分に叶っていると言っていいだろう。


 二人はそれぞれにこの世界に適応し、そしていつか完全に溶け込む事になる。不自然だと思っていた事にも違和感を覚えなくなり、ありのまま世界を受け入れて生きて行く事になるだろう。だから、二人の歩む道のりももはや決まったようなものだった。


 涼太郎は知らない。既にハーレムルートに入ってしまった今、嫌がろうと逃げ出そうと全てのヒロインたちと結ばれる運命にある事を。


 狂花は知らない。かつて自分が「異世界少女が嫁になる」世界を望み、自分が既にその呪縛に捕らわれてしまっている事を。自ら築いたハーレム丸ごと攻略されてしまうという事を。


 しかし、気づかなければそれは幸せな事なのかもしれない。きっと誰も悲しんだりしないのだから。二人は気づかないまま惹かれあい、結ばれる。そして彼らの望んだ幸せなエンディングを迎える事だろう。その為に作られた世界だし、そうして終わるようになっているシナリオなのだ。






 今日も天界では死者たちが列を成して転生受付窓口へやってくる。きっといつかまた第二第三の被害者が現れる事だろう。しかし希望を捨てずに生きて行けば、きっと最後は上手くいくのだ。神様転生自体が、ご都合主義の塊みたいな物なのだから。








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