初仕事
「さぁバスケ部だよぉ。経験者は勿論初心者も大歓迎。入部しちゃって~」
「我々はっ野球部でありますっ。入部っよろしくっおねがいっしまっす」
「私達と一緒に青春のハーモニーを奏でませんか?吹奏楽部です!」
ヤーヤーヤーヤー
どこも必死に新入部員を勧誘している。ご苦労なこった。
「すごいですね」
「まぁ内は部活動にも大分力を入れてるからね。だからどこも熱が入っちゃって。無理に勧誘する所もでてくるのよ。見つけたら迷わず注意して。そのバッチをつけてたら文句は言われないと思うから」
麗華さんは僕の襟についている生徒会と記してあるバッチを指さして言う。
「はい」
確かにこんなに皆一生懸命にやってたら、無理やりしてしまう部もあるかもしれない。
すると早速見つけたらしく、麗華さんが注意をしていた。
「新入生の人が困ってるでしょう。無理強いしたら駄目ですよ。」
「あ、神崎さん。す、すみません。」
さすがだなぁ。何か注意された人も喜んでるし・・・
「いやっほー、神崎さんに話しかけられらゃった」
・・・・・・見なかったことにしよう
「君可愛いねぇ、どう?内のマネージャーにならない?」
「おい邪魔すんな。この娘は内の部が今勧誘してる途中だ」
ガヤガヤガヤガヤ
「あ、あのえっとぉ・・・」
お、あの人確か・・・えっとぉ、、、誰だっけ?
まぁいいや。助けにいこう
「す、すみません。彼女困ってる様なんで下がってもらえますか?」
『アァ?』
「えっと、無理に勧誘するのはルール違反というか、その・・・」
こ、怖えぇーーー
『あ、生徒会の方ですか。申しわけございませんでした・・・・生徒会?』
見事なハモリ具合。さっきまでいがみあってたとは思えない・・・
「あ、えっと今日から副会長になった陸井です。」
まだ就任披露してないからその反応も仕方ないか
今まで麗華さんだけだったみたいだし・・・
「とりあえず、この娘困ってるようなんで、下がっていただくと助かります」
『分かりました。御迷惑をおかけしました』
「あ、あの、く、陸井君、ありがとう。生徒会だったんだね。」
「あぁ、うん。いろいろとあって」
ん?何で僕の名前を?
あぁ思い出した。
小柄だけど大きなクリっとした目が印象的で軽くウェーブのかかった髪がよく似合う美人というより可愛いと言った感じの容姿。
確か拓海が内のクラスに凄く可愛い子がいるといってた人だな。
確か名前は・・・
まぁいい。入学2日目でクラスメートの名前をいちいち覚えてる方がおかしい。うん。
「えっと、同じクラスの・・・」
「あぁ、小曾根麻里です」
言葉が途中できれて、不振に思ったのか一瞬キョトンとしたが、此方がまだ名前を知らないことを理解したらしく、笑顔で自己紹介してくれた。
いい子だな、多分。
「ごめん、まだクラスの人の名前は覚えきれてないんだ。顔みたらクラスメートかどうかは分かるんだけど」
「まぁ、まだ入学して間もないしね。いいよ別に、気にしてないから。でも次忘れてたら少し怒るかも」
そう言って頬を膨らませるが、対して怖くない。
「大丈夫だよ。多分もう覚えた」
「そっか。本当にありがとうね」
「ま、仕事だしね。それより気を付けてね。小曾根さん可愛いから、また変な人らに勧誘されるかもよ」
「へ、へぇ。結構陸井君軽いんだね。いきなり可愛いって言うなんて」
「うん?あ、これはそのなんて言うか、えっと・・・」
「あはは、でもまた変なのに絡まれても助けてくれるんでしょ?」
「あ、あぁ。うん。勿論」
「だったら気にしないであげる。」
「そっか、ありがとう」
「うん。それじゃあね」
「うん、バイバイ」
そこで小曾根さんと分かれた。
「へぇ~。陽君て軟派な人だったんだぁ」
後ろから声がした。
恐る恐る後ろを振り返ると不機嫌そうな麗華さんがいた。
仕事中に女子と話してたからだろうか
「い、いえ。誤解です」