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『フールの大冒険 ~聖なるマップを手に、異世界でまだ見ぬ両親を探します~』  作者: ☆☆アダム☆☆


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第2話 三匹のゴブリン

第2話 三匹のゴブリン


「ゴブリンがしゃべったあああああ!!」


「失礼でぷーーー!!」


三匹の声が。


砂浜いっぱいに響いた。


「ゴブリンはしゃべるでぷ!」


赤い服のゴブリンが怒る。


「常識でぷ!」


緑の服のゴブリンも怒る。


「謝罪を要求するでぷ!」


黄色い服のゴブリンまで怒る。


「ご、ごめん!」


私は木の棒を握ったまま謝った。


「でも私の世界では、ゴブリンって――」


「ゴブリンって?」


三匹が近づく。


「えっと……」


言えない。


人を襲ったり。


洞窟に住んでいたり。


だいたい物語の最初のほうで倒される怪物。


なんて。


絶対言えない。


「……人気者だったよ」


「嘘でぷ」


「目が泳いでるでぷ」


「怪しいでぷ」


鋭い。


私は誤魔化すように笑った。


「ところで」


赤い服のゴブリンを見る。


「三人って、兄弟?」


「三つ子でぷ!」


三匹が同時に胸を張った。


「三つ子?」


改めて見る。


確かに。


顔。


同じ。


身長。


同じ。


尖った耳も。


小さな牙も。


ほぼ同じ。


違うのは。


服の色と。


持っている物。


赤は。


大きな骨付き肉。


緑は。


身体と同じくらいありそうな分厚い本。


黄色は。


じゃらじゃら音のする袋。


「じゃあ名前は?」


三匹が。


顔を見合わせた。


「赤でぷ」


赤い服。


「緑でぷ」


緑の服。


「黄色でぷ」


黄色い服。


「……それ名前?」


「分かりやすいでぷ!」


「もっとこう……ないの?」


「あるでぷ」


黄色が前へ出た。


「俺には特別な名前があるでぷ」


「おお」


黄色が格好をつける。


「黄金の財宝王――」


赤。


「黄色でぷ」


緑。


「黄色でぷ」


「最後まで言わせるでぷーーー!!」


黄色が怒った。


私は。


吹き出した。


「あははは!」


「笑うなでぷ!」


「ごめん、ごめん!」


なんだろう。


この三匹。


見た目はゴブリンなのに。


全然怖くない。


むしろ。


ちょっとかわいい。


「それで」


緑が本を閉じる。


「人間の女の子が、なんでこんな場所で寝てたでぷ?」


「あ」


そうだった。


私は。


別の世界から来た。


「私、フール」


「フール?」


「うん」


「変な名前でぷ」


「赤に言われたくない!」


「確かにでぷ」


緑が頷く。


「納得するな!」


三匹が笑った。


私も。


つられて笑う。


「それでフールは、どこから来たでぷ?」


「……たぶん」


私は空を指差した。


「別の世界」


「…………」


三匹。


沈黙。


「信じてない?」


赤が肉をかじる。


「信じるでぷ」


「えっ」


簡単だった。


「もっと驚かないの?」


「世の中には変なこといっぱいあるでぷ」


緑が言う。


「別世界くらいあっても不思議じゃないでぷ」


「そういうもの?」


「そういうものでぷ」


この世界。


思っていたより何でもありらしい。


「じゃあ、なんで別世界から来たでぷ?」


黄色が聞く。


「それは……」


私は。


胸元の古い本へ触れた。


「お父さんとお母さんを探しに来たの」


三匹が。


静かになった。


「フールのパパとママ?」


「うん」


「この世界にいるでぷ?」


「たぶん」


「どこに?」


「分かんない」


「名前は?」


「知らない」


「住んでる国は?」


「知らない」


「顔は?」


「……知らない」


三匹。


「…………」


私は。


だんだん恥ずかしくなってきた。


「分かってるよ!」


両手を上げる。


「無茶なのは!」


そう。


考えてみれば。


私は何も知らない。


世界まで来た。


でも。


両親の名前すら知らない。


「おばあちゃんに、もっと聞けばよかった……」


急に。


不安になった。


この世界がどれくらい広いのかも知らない。


どこへ行けばいいのかも。


何から始めればいいのかも。


「私……」


本当に。


見つけられるのかな。


すると。


赤が言った。


「探せばいいでぷ」


「……え?」


緑が続ける。


「知らないなら調べればいいでぷ」


黄色。


「お金が必要なら稼げばいいでぷ」


三匹が。


当たり前みたいな顔で。


私を見る。


「それだけ?」


「それだけでぷ」


「でも、この世界全部から探すんだよ?」


「じゃあ全部探すでぷ」


赤が言った。


「時間かかるよ?」


「旅すればいいでぷ」


緑。


「お金もいっぱい必要だよ?」


黄色の目が輝く。


「それは重要な問題でぷ」


「そこだけ急に真剣!」


三匹が。


また顔を見合わせた。


そして。


同時に言った。


「俺たちも探すでぷ!」


「……え?」


聞き間違えたと思った。


「何を?」


「フールのパパとママ」


「一緒に探すでぷ」


「なんで!?」


「友達だからでぷ」


「いつ友達になったの!?」


「さっき」


「早い!」


赤が。


私へ手を差し出した。


小さな緑色の手。


「嫌でぷ?」


「……」


嫌じゃない。


むしろ。


嬉しい。


この世界に来て。


ずっと。


心細かった。


おばあちゃんはいない。


知っている人もいない。


でも。


今。


三匹いる。


私は。


赤の手を握った。


「よろしく」


「よろしくでぷ!」


緑も。


黄色も。


手を重ねる。


「絶対見つけるでぷ!」


「情報収集は任せるでぷ!」


「資金管理は任せるでぷ!」


「最後のはちょっと不安」


「なんででぷ!?」


◇◇◇


まず。


緑が。


砂の上に簡単な地図を描いた。


「この世界には、大きく分けて四つの大陸があるでぷ」


「四つ……」


「その中に国や町がいっぱいあるでぷ」


「……」


私は砂の地図を見る。


広い。


ものすごく。


広い。


「これ全部探すの?」


「必要なら」


「何年かかるんだろ」


「分からないでぷ」


「おばあちゃんになっちゃうかも」


「その時は俺たちもおじいちゃんでぷ」


三匹のおじいちゃん姿を想像する。


「……ちょっと見たい」


「失礼でぷ」


黄色が。


袋を開いた。


ジャラジャラ。


硬貨。


赤っぽいもの。


銀色。


金色。


「これ何?」


「お金でぷ」


「それは分かる」


一枚を手に取る。


硬貨には。


【B】


という文字。


「ビー?」


「ババでぷ」


「ババ?」


「この世界のお金はババ――Bで数えるでぷ」


「変な名前」


「フールに言われたくないでぷ」


今日二回目。


黄色が硬貨を並べる。


「基本は赤B、銀B、金Bでぷ」


「価値は?」


「赤Bが普段使い」


緑が説明する。


「銀Bになるとそこそこ高い」


「金Bは?」


黄色が。


両手で金貨を持ち上げる。


「大事でぷ」


「それ説明?」


「とっても大事でぷ」


「分かったからしまって」


黄色は大切そうに袋へ戻した。


「あと」


緑が声を少し落とす。


「噂では、普通のBとは違う物もあるでぷ」


「違う?」


「エラーB」


「エラー?」


「俺も見たことないでぷ」


「どれくらい高いの?」


黄色が首を横に振る。


「値段をつけられないって言われてるでぷ」


「そんなお金あるの?」


「だから噂でぷ」


黄色は。


珍しく真面目だった。


「もし本当に見つけたら」


「うん」


「触る前に俺を呼ぶでぷ」


「なんで?」


「俺が先に触るでぷ」


「絶対呼ばない」


◇◇◇


それから。


私は。


おばあちゃんにもらった羊皮紙を見せた。


「これなんだけど」


三匹が覗き込む。


白紙。


「紙でぷ」


「知ってる」


「古い紙でぷ」


「それも知ってる」


「売れそうでぷ」


「売らない!」


黄色から取り上げる。


「向こうから来る途中、一回だけ地図みたいになったの」


「地図?」


「うん」


「見せるでぷ」


「だから今は出ないんだって」


振る。


白紙。


裏返す。


白紙。


「ほら」


緑が。


紙をじっと見る。


「不思議でぷ」


「何か分かる?」


「分からないでぷ」


「緑でも?」


「知らないものは知らないでぷ」


その言い方が。


少しだけ気に入った。


分からないことを。


分かったふりをしない。


おばあちゃんも。


似たようなことを言っていた。


「じゃあ、こっちは?」


私は古い本を出した。


「この本で、この世界に――」


三匹の動きが。


一瞬だけ止まった。


「……?」


赤。


緑。


黄色。


全員が。


本を見ている。


「どうしたの?」


「……」


「この本、知ってる?」


赤が緑を見る。


緑が黄色を見る。


黄色が赤を見る。


「知らないでぷ」


「本当に?」


「知らないでぷ」


緑はそう答えた。


でも。


何か変だった。


「ふーん……」


私は本を見る。


ただの古い本。


題名もない。


特別な印もない。


……ように見える。


「まあ、いいか」


私は本をしまった。


三匹は。


何も言わなかった。


◇◇◇


「腹減ったでぷ!」


赤が突然叫んだ。


「さっき肉食べてたじゃん!」


「動いたから減ったでぷ」


「ほとんど動いてないよ!」


赤が骨付き肉を差し出す。


「食べるでぷ?」


「いいの?」


「半分でぷ」


「ありがとう」


受け取る。


少しかじる。


「……おいしい!」


「でぷ!」


赤が嬉しそうに笑った。


この世界で。


初めて食べるご飯。


ゴブリンにもらった。


骨付き肉。


たぶん。


一生忘れない。


「これ何の肉?」


「知らないでぷ」


私は。


噛むのを止めた。


「……知らない?」


「拾ったでぷ」


「ちょっと待って」


赤を見る。


肉を見る。


赤。


肉。


「これ大丈夫なやつ!?」


「今日の朝から食べてるけど元気でぷ!」


「そういう問題!?」


緑と黄色が笑う。


「フールは面白いでぷ」


「私は普通!」


「それは怪しいでぷ」


「なんで!?」


その時。


ガサッ。


「……」


笑い声が。


止まった。


茂み。


さっき。


三匹が出てきた場所とは違う。


もっと奥。


ガサガサ。


「またゴブリン?」


私は聞く。


三匹は。


答えない。


赤が。


食べかけの肉を地面へ置いた。


緑が。


大きな本を開く。


黄色が。


金の袋を腰へしまう。


空気が。


変わった。


「……みんな?」


「フール」


赤が。


私の前へ出る。


「俺たちの後ろにいるでぷ」


「え?」


低い唸り声。


グルルルル……。


茂みの暗闇から。


二つ。


赤い目が光った。


「なに……?」


大きな影。


四本の脚。


黒い毛。


口から。


長い牙。


「モンスターでぷ」


緑が言った。


「え」


「こいつは人を食うでぷ」


「え!?」


「だから」


黄色が。


私の前へ立つ。


三匹。


並んだ。


さっきまで。


ふざけて。


笑って。


肉を食べていた。


小さなゴブリン。


でも。


今は。


全然違った。


赤が。


小さな剣を抜く。


緑が。


本のページを開く。


黄色が。


両手を前へ構える。


怪物が。


大きく口を開いた。


ガァァァァァッ!!


私は。


足が動かなかった。


怖い。


逃げたい。


なのに。


三匹は逃げない。


赤が。


剣を構えたまま。


笑った。


「安心するでぷ」


緑。


「フールは後ろにいるでぷ」


黄色。


「俺たちがいるでぷ」


そして。


三匹が同時に叫んだ。


「フールには、指一本触らせないでぷ!」


怪物が。


砂を蹴った。


私の。


この世界で初めての戦いが。


始まった。

フールが本の世界に行って可愛い3匹のゴブリンと出会った所は自分的に良いかなっと思ってます!

良かったら最後まで読んで欲しいのでブックマークお願いします!

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