↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/66

0.新たなる出会い

文章がおかしい、誤字脱字等ありましたら申し訳ございません。

帝都 皇城内 ソリオ園 第一秘書官 ???


 椅子にもたれ、書物の頁をめくる音だけがソリオ園に溶けている。眼鏡の奥の瞳が淡い青で静かに光っていた。

 彼の身にまとうは帝紫官衣(ていしかんい)。近づけば衣の縁が月明かりのように淡く光り、庭の影を一層深く見せる。

 その傍らに、小さな二つの影が跳ね込んできた。


「「じい様!」」


 白銀の髪が光を集める。老人は顔をほころばせ、子らの無邪気な声に応えた。


「おや、これはこれは――皇子様、皇女様。いと高き御身に女神ルミエラの祝福を」


「そんな堅苦しいのは嫌です!」


 小さな男の子、今年で5歳を迎えたばかりの子が答えた。


「そうです! じい様!」


 もう一人、同い年の女の子も被せるように声を張る。


「ははは。そうかそうか。それでお二人はどうしたのかな?」


 老人は快活に笑いながら答えた。


「陛下のお話を聞きたい!」


「うん! 皆教えてくれるけど……難しく話すんだもん!」


 二人ともかわいらしい眉を八の字にひそめて言う。


「あぁ。そうだろうな……」

 

 皇宮内で陛下のことをよく知る者は、私よりも人前に出て話す者が多い。言葉遣いも当然、気を使うだろう。


『じい様が陛下と出会ったところから知りたい!!』と皇子が跳ねるように言った。皇女も目を輝かせて頷く。老人は目尻を下げて笑った。


 あの時代――あの場所での出会いを知るものなんて、本当にごく一部だ。

 昔はもっと知る者がいたが、皆女神に導かれて光となり、今は語り継ぐ者が少ない。現皇妃もその一人だろう。


「よし。いいだろう」


「「やった!」」


「そうだな、どこから話すか。初めて会ったとき、俺もあいつも小汚いガキだったんだ――」


 そういえば、陛下は今でも私――俺のことをずっと【悪友】って呼ぶよな。



*************************************

帝都 城壁外 スラム街 レオ



 この時期の朝は、川から漂う霧がかかっていて視界が悪い。


「おーい。ボラム! なんか見つかったか?」


 明け方、いつものように川辺に向かって宝(・)物(・)を(・)探(・)し(・)て(・)い(・)た(・)ら、遠くで船が爆発した。


 こういう時は沈んだ船から戦利品が流れてくることがある。

 船が何隻も爆発に巻き込まれていたようだったから、宝物はいつもより期待できる。


 だから俺は、いったんアジトに帰って同志を集ったんだが、話に乗ってきたのはこいつだけか……。

 

 遠くで大柄な影がビクッと震えた。


「全然無いよぉ。もう諦めようよー」


 大きな影は情けない声をあげる。


「何言ってんだ! お前はそこからほとんど動いてないだろう!」


 レオは、草を掻き分けるための木の棒をボラムに向けた。


「早く帰らないとカイに怒られるよー」


 ボラム――こいつは体ばかり大きくて本当に小心者だ。背を曲げているせいか、より小さく縮こまっているように見えてしまう。


「ボラム! お前、もっと探せよ! 金目の物を持っていけばカイだって分かってくれるって!」


 ボラムは一瞬顔を輝かせたが、すぐにしょんぼりとした顔になった。


「だってよー。怖いじゃんかー。爆発があった場所なんて……。カイも近づくなって……」


「ったく、カイカイカイ! どこへいってもカイ! いい加減うんざりだぜ。」

 

 レオは石を蹴飛ばした。


「なら、お前は帰れよ! 俺だけ探す! その代わりカイには言うな。」


「いやー、それはレオが心配だよー」


 よくこんな奴がスラムで生きていけるものだ、とレオは内心で呆れる。まぁ、それもカ(・)イ(・)の(・)お(・)か(・)げ(・)か。


 スラムで十歳前後のガキが生き残る道なんて決まってる。男は大勢力の使い走り、女は身を売る。それがこの街の“普通”だ。

 その点、レオたちはまだ恵まれている。


 木の棒で川辺の草を払う。


「…まぁ、そう簡単には見つからねぇよなぁ」


 霧が立ち込める川辺で、俺は草を掻き分けた。赤い跡が見えた。

 血だ。


 そこに倒れていたのは、上等な服を着た二人の子供だった――二人とも、かすかに息をしているように見えた。

 二人は固く手を握り締めてと倒れていた。



*************************************


 ――ザクザクと、土を踏みしめる音が聞こえる。


「どうするんだよー。レオ」


「仕方ねぇだろ、ほっとけねぇし」


「そうだけど…カイに怒られないかなぁ」


 誰かに背負われている。汗の匂いがする。

 

 ――メルの姿が見えない。


「メル!」


「んー? 起きたのか? 大丈夫――「メル!」」


 背負われている奴の声をさえぎり、メルを探す。


 囚われたのか、マズい。逃げる方法なんて――。


「落ち着けよ。女の子のことだろ?ここにいるぜ」


 自分――いや、僕を背負っている大柄な奴の前から、僕より少し背の高い男の子が顔を出した。メルは、そいつに背負われてスヤスヤ寝ていた。

 それを見て心底安心した。


「そうだよー。俺たちは助けてやったんだよー」


 どうやら奴らの仲間ではないらしい。


 メルは、この世界で僕に残った唯一の家族だ。何かあれば、僕はきっと壊れてしまう。

 ここは、隙を見て逃げれるだけの体力が戻るのを待つことにする。


 信じられたのは、サリエラ、マルク、アリアだけだ。


 サリエラが夜に読み聞かせをしてくれたこと、マルクが食べ物を分けてくれたこと、アリアが料理をしながら笑ってくれたこと――その全部が、僕の支えだった。


「お、おい! なんかお前の背中のやつ泣いてるぞ!」


「えぇ。何処か痛いのか? 大丈夫かー?」


 二人とも慌てた様子で僕の顔を見始める。


「んん…アルス? アルス! アルスに何したの!? 悪い人たちめ!」


 メルが起きて、僕が泣いてるのを見て激昂している。

 

「待て! 俺たちは何も! してねぇ!」


 メルを背負っていた少年の髪を、メルが掴んで引っ張っていた。


「お前たち……何してんだよ?」


 ギャーギャーと騒いでいたら、ところどころ色の抜けた黒髪の少年が立っていた。霧の中でもはっきりと光る薄い青の瞳が、妙に印象に残る。


 その背後には、2人の男の子と女の子を連れていた。


 ――この時の出会いが“悪友”との始まりになるなんて。人生なんて、本当に分からないものだ。


今日色々時間がなくて…。

明日このエピソードは改稿します。

自由で申し訳ありません!


明日時間をとって仲間達との出会いを追加します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。