0.新たなる出会い
文章がおかしい、誤字脱字等ありましたら申し訳ございません。
帝都 皇城内 ソリオ園 第一秘書官 ???
椅子にもたれ、書物の頁をめくる音だけがソリオ園に溶けている。眼鏡の奥の瞳が淡い青で静かに光っていた。
彼の身にまとうは帝紫官衣。近づけば衣の縁が月明かりのように淡く光り、庭の影を一層深く見せる。
その傍らに、小さな二つの影が跳ね込んできた。
「「じい様!」」
白銀の髪が光を集める。老人は顔をほころばせ、子らの無邪気な声に応えた。
「おや、これはこれは――皇子様、皇女様。いと高き御身に女神ルミエラの祝福を」
「そんな堅苦しいのは嫌です!」
小さな男の子、今年で5歳を迎えたばかりの子が答えた。
「そうです! じい様!」
もう一人、同い年の女の子も被せるように声を張る。
「ははは。そうかそうか。それでお二人はどうしたのかな?」
老人は快活に笑いながら答えた。
「陛下のお話を聞きたい!」
「うん! 皆教えてくれるけど……難しく話すんだもん!」
二人ともかわいらしい眉を八の字にひそめて言う。
「あぁ。そうだろうな……」
皇宮内で陛下のことをよく知る者は、私よりも人前に出て話す者が多い。言葉遣いも当然、気を使うだろう。
『じい様が陛下と出会ったところから知りたい!!』と皇子が跳ねるように言った。皇女も目を輝かせて頷く。老人は目尻を下げて笑った。
あの時代――あの場所での出会いを知るものなんて、本当にごく一部だ。
昔はもっと知る者がいたが、皆女神に導かれて光となり、今は語り継ぐ者が少ない。現皇妃もその一人だろう。
「よし。いいだろう」
「「やった!」」
「そうだな、どこから話すか。初めて会ったとき、俺もあいつも小汚いガキだったんだ――」
そういえば、陛下は今でも私――俺のことをずっと【悪友】って呼ぶよな。
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帝都 城壁外 スラム街 レオ
この時期の朝は、川から漂う霧がかかっていて視界が悪い。
「おーい。ボラム! なんか見つかったか?」
明け方、いつものように川辺に向かって宝物を探していたら、遠くで船が爆発した。
こういう時は沈んだ船から戦利品が流れてくることがある。
船が何隻も爆発に巻き込まれていたようだったから、宝物はいつもより期待できる。
だから俺は、いったんアジトに帰って同志を集ったんだが、話に乗ってきたのはこいつだけか……。
遠くで大柄な影がビクッと震えた。
「全然無いよぉ。もう諦めようよー」
大きな影は情けない声をあげる。
「何言ってんだ! お前はそこからほとんど動いてないだろう!」
レオは、草を掻き分けるための木の棒をボラムに向けた。
「早く帰らないとカイに怒られるよー」
ボラム――こいつは体ばかり大きくて本当に小心者だ。背を曲げているせいか、より小さく縮こまっているように見えてしまう。
「ボラム! お前、もっと探せよ! 金目の物を持っていけばカイだって分かってくれるって!」
ボラムは一瞬顔を輝かせたが、すぐにしょんぼりとした顔になった。
「だってよー。怖いじゃんかー。爆発があった場所なんて……。カイも近づくなって……」
「ったく、カイカイカイ! どこへいってもカイ! いい加減うんざりだぜ。」
レオは石を蹴飛ばした。
「なら、お前は帰れよ! 俺だけ探す! その代わりカイには言うな。」
「いやー、それはレオが心配だよー」
よくこんな奴がスラムで生きていけるものだ、とレオは内心で呆れる。まぁ、それもカイのおかげか。
スラムで十歳前後のガキが生き残る道なんて決まってる。男は大勢力の使い走り、女は身を売る。それがこの街の“普通”だ。
その点、レオたちはまだ恵まれている。
木の棒で川辺の草を払う。
「…まぁ、そう簡単には見つからねぇよなぁ」
霧が立ち込める川辺で、俺は草を掻き分けた。赤い跡が見えた。
血だ。
そこに倒れていたのは、上等な服を着た二人の子供だった――二人とも、かすかに息をしているように見えた。
二人は固く手を握り締めてと倒れていた。
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――ザクザクと、土を踏みしめる音が聞こえる。
「どうするんだよー。レオ」
「仕方ねぇだろ、ほっとけねぇし」
「そうだけど…カイに怒られないかなぁ」
誰かに背負われている。汗の匂いがする。
――メルの姿が見えない。
「メル!」
「んー? 起きたのか? 大丈夫――「メル!」」
背負われている奴の声をさえぎり、メルを探す。
囚われたのか、マズい。逃げる方法なんて――。
「落ち着けよ。女の子のことだろ?ここにいるぜ」
自分――いや、僕を背負っている大柄な奴の前から、僕より少し背の高い男の子が顔を出した。メルは、そいつに背負われてスヤスヤ寝ていた。
それを見て心底安心した。
「そうだよー。俺たちは助けてやったんだよー」
どうやら奴らの仲間ではないらしい。
メルは、この世界で僕に残った唯一の家族だ。何かあれば、僕はきっと壊れてしまう。
ここは、隙を見て逃げれるだけの体力が戻るのを待つことにする。
信じられたのは、サリエラ、マルク、アリアだけだ。
サリエラが夜に読み聞かせをしてくれたこと、マルクが食べ物を分けてくれたこと、アリアが料理をしながら笑ってくれたこと――その全部が、僕の支えだった。
「お、おい! なんかお前の背中のやつ泣いてるぞ!」
「えぇ。何処か痛いのか? 大丈夫かー?」
二人とも慌てた様子で僕の顔を見始める。
「んん…アルス? アルス! アルスに何したの!? 悪い人たちめ!」
メルが起きて、僕が泣いてるのを見て激昂している。
「待て! 俺たちは何も! してねぇ!」
メルを背負っていた少年の髪を、メルが掴んで引っ張っていた。
「お前たち……何してんだよ?」
ギャーギャーと騒いでいたら、ところどころ色の抜けた黒髪の少年が立っていた。霧の中でもはっきりと光る薄い青の瞳が、妙に印象に残る。
その背後には、2人の男の子と女の子を連れていた。
――この時の出会いが“悪友”との始まりになるなんて。人生なんて、本当に分からないものだ。
今日色々時間がなくて…。
明日このエピソードは改稿します。
自由で申し訳ありません!
明日時間をとって仲間達との出会いを追加します。




