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嫁入り当日に旦那を殴り倒すのはありだろうか?  作者: 透坂雨音


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01 嫁入り当日に旦那を殴り倒すのはありだろうか?それともなしだろうか



 私の名前はチェスティスだ。

 家名はブルームで、チェスティス・ブルームという。


 変わり者の貴族令嬢でけんかっ早い。

 物心がつく前から、男児向けの絵本を抱えて眠り、言葉を喋り始めてすぐに竜や邪神を倒す夢を熱く語りだしたのだから、私のけんかっ速さは遺伝子レベルの設定なのだろう。


 そんな人間を花嫁として迎え入れ、好いてくれるような人間など、そうそういるわけがない。

 そのため、結婚できる年齢になっても、嫁として嫁ぐ家がない状態だった。

 だが、奇跡的に私をもらってくれる家があるらしい。


 私の旦那になる人間はとある理由で強いらしいから、今から顔を会わせるのが楽しみだ。


 そういうわけで、善は急げだ。


 私は相棒の妖精イレイザーをつれて、嫁入りの日に馬車を自分で走らせた。

 なに説明してほしい箇所が数か所あるだと?


 私にとっては至極当然の事実だから、つい端折ってしまったようだな。

 しょうがないな、どこが分からないんだ?


 妖精?

 妖精は妖精だ。

 羽が生えていて、小さい。

 この世界に存在する珍しい生き物だな。


 自分の姿を好きに変える事ができる生き物だから、武器に代わってもらっている。

 子供のころに野良犬に襲われているのを助けなつかれてな。

 動揺するとどうやら自分の姿を変える事ができなくなるらしい。

 あの頃はイレイザーも未熟だったものだから、仕方がない。

 今はクマやイノシシを目の前しても、まったく普段通りだというのに。


 そんなイレイザーとの付き合いは、8歳の時に出会ってからもう10年以上になるのか。

 喧嘩になった時は度々武器に変身してもらっているから、今はいないと困るくらいの相棒的存在だ。


 そんなイレイザーを嫁入り先に連れて行かないのは考えられない。


 だから一緒に連れていくんだ。


 あと、自分で馬車を走らせるのかって?

 ああそうだ。


 我が家で雇っている御者もいるにはいるんだが、私がやった方が上手だし早い。

 旦那様のところは結構遠いし、私を送った後再び長い距離を走らせるのは可哀想だと思ってな。


 これが意外に、ウマと共に景色を眺められて楽しいから不満なんてないぞ。


 これで、疑問点はないか?


 こんな風に馬車を走らせていたら、道の途中で竜が暴れていたんだから驚いた。


 なんて幸先のいい景色なんだと感動した私は、とりあえずその竜を殴り倒す事にしたよ。


 強い奴を殴り倒すのは私の趣味なんだが、他の人の迷惑になる奴を排除するという正義感ももちろん持ち合わせている。


 なので、余計な被害が発生する前にきちんと倒しておくことにしたのだ。

 しかし、その竜の正体がまさか私の旦那になる男性ロンバルドだったとは思わなかったな。


 これは、困ったぞ。

 普通世間一般のお嬢様は、嫁入り当日に旦那様を殴り飛ばしたりはしないだろう?


 嫁入り初日で旦那を殴り倒すのはありだろうか?

 それともなしだろうか。



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