111話 戦い終わって
戦いが終わり、戦士たちはひとまず艦橋へと向かう。
誰かがそこに集まろう、といったわけではなかったが自然とそういう流れになっていた。
戦士たちは疲労はしているものの、大きな怪我を負った者はいなかった。
完勝と言っても過言ではないだろう。
「むしゃむしゃ」
「がつがつ」
だが、桃吉郎とトウキの両名。
アナザーの生肉を、むしゃむしゃ、しながら歩くのはどうかと思われる。
もう軽くホラーだ。
「雑魚だったなー」
「ねー」
「しかも、あんまり肉美味くない」
「あじが、うすいねー」
しかもダメ出しだ。
顔面血塗れで生肉をくちゃくちゃしながらの和やかな会話は、SAN値チェック待った無しである(1D100)。
「おまえら、ちゃんと調理してから食え」
「待てるわけないだろ! 俺たちは今、飢えているんだ!」
「そうだ、そうだー」
凍矢はgorillaの顔面に正拳突きを。
トウキにはTKBぎゅっの刑を執行したという。
「前が見えねぇ……」
「いてー!」
「……ちゃんと、おりこうさんにしてないから」
トーヤにプークスクスされたgorillaと能天気エロガキは、ちょっぴり凹んだ。
そのようなやり取りを、ちょっぴり呆けた様子で見ていたのは褐色全裸トラ娘である。
というか、殆ど服着てねぇな、こいつら。
「(女性でもTKBを抓まれたら痛いんだ)」
当たり前だろ。
どうやら寅吉君ちゃんは混乱が収まっていないもよう。
果たして、彼女が男に戻れる可能性はあるのであろうか。
ドクター・モモは外道なので、性能さえよければどうでもいい、との考えを持つ。
したがって、有用なExtraスキルを持つトラ娘はそのままを維持される可能性が高いだろう。
「というか、おまえ誰だ?」
にゅっ、と桃吉郎が寅吉君ちゃんの顔を覗き込んだ。
不意を突かれたトラ娘は野性味溢れる男の顔にハッとする。
桃吉郎の顔は正直、悪くない。
案外、整っている。
それは凍矢が丁寧に拳を突き入れているからだろう。
彼女がgorillaに制裁を加える度に、彼は顔が美化していっているのだ。
とはいえ、桃吉郎が男前の域を逸脱することはない。
gorillaはgorillaでしかないのだ。
だが、野生が強調され過ぎている今の寅吉君ちゃんにとって、桃吉郎の男臭さは危険だ。
「(はっ!? 交尾したい!)」
やはり、野生の本能を刺激されたようだ。
本能がDNAを欲しがってしまっているのである。
だが、寅吉君ちゃんは理性でそれを振り払った。
うがー、と言いながら首をぶんぶん振っている。
桃吉郎はその姿に、ほんのりとだがビクッとした。
「と、寅吉ですっ!」
「ふーん」
桃吉郎は特に驚いた様子を見せなかった。
周りの者たちもそうだ。
―――――が。
それも3秒ほどのことで。
「ぬぁにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!?」
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」
驚愕の悲鳴が鋼鉄の通路に響いたという。
まぁ、そうもなろうというものだ。
小さな男の娘が、ほんの僅かな時間で褐色くそエロトラ娘になってしまったのだ。
「なんだこれ!? マジもんの猫耳かっ!?」
「しっぽもあるー!」
「……ぞうさん、ないない」
「やめてくださいっ」
「……ねばねば」
「らめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」
「それはっ! OKてことですね!? はぁはぁ!」
「エティルさんっ! 落ち着いて……あ―――――」
それは本当にヤヴァイので【しばらくお待ちください】。
暫しの時を経て、gorillaたちは落ち着くを取り戻した。
そして、凍矢を除く全員の頭部に大きなタンコブが出来上がっていた。
そう、彼女の鉄拳制裁が火を噴いたのだ。
今は鉄の床の上で正座をさせられている。
こんな様で本当に地球人類の未来を変えることが出来るのであろうか?
制限時間は刻一刻と迫っていた。




