ちょっとした頼み事
「それで、次はどこへ行けばいいですか?」
「次は3番世界だ。3番世界にはNO.1がいる。確か役割は…傭兵、だったかな。」
「分かりました。」
どうやら1号は相変わらずのようだ。
「それで、その後はどこに行くの?」
突然2号が割り込んでくる。私は呆れたように、
「もちろん、3番世界に行くに決まってるでしょ?」
すると2号は憮然として、
「僕だってそれくらいは分かってるよ!そうじゃなくて、3番世界の後はどの世界に行くのかなと思ってさ。ここで次の世界について聞いておけば、わざわざSK本部に寄らなくても済むでしょ?」
「あ。」
確かに2号の言うとおりだ。私はアランを見る。アランはため息をついた。
「そうしたいのはやまやまなんだけどね、残念ながらそういう訳にもいかないんだ。」
「?どうしてですか?」
「実は…もう一人の生き残りであるNO.3の居場所が分かってないんだよ。」
「え…。」「あらら。」
「本当はNO.1の居場所もわかってなかったんだけど、君たちがここに戻ってくるほんの少し前にNO.1の目撃情報があってね。それで分かったという訳さ。」
どうやらアランの計画は思っていたよりも行き当たりばったりだったらしい。
「今僕の計画を、行き当たりばったりだとか思っただろ。」
「うわ。」
エスパーですか?ちょっと引くわー。
「…なんか余計な誤解を招いたような気がするけど、気のせいだと思いたい。」
「大丈夫ですよ!!ほら、僕だって4号からさんざん引かれてますから!」
「それ慰めになってないよ…。」
ぐったりとアランはうなだれた。
「ああ、それともう一つ…。」
うなだれたままアランが言った。
「3番世界に行くついでに、もう一人のモブ役の子を連れていって欲しいんだ。どうやら臨時で3番世界の依頼を受けたらしい。3番世界は融合しているせいで通信機器は使えないけど、大世界との行き来はまだ出来るからね。彼は新人だから、色々面倒見てくれないか。」
「別にいいですけど…。」
世界の危機ともいえるときに、そんなこと頼みます?普通。
「警戒感ないよねー。こっちは命の危機だってのに。」
2号がのほほんとした口調で言う。いや、2号も絶対危機を感じてないでしょ…。
===
新人モブ役の子とは、3番世界ゲート前で待ち合わせることになっていた。
「どんな子なんだろうねー。」
2号は相変わらず能天気だ。
「…というか、そもそも融合した世界に新人の何も知らないモブっ子入れたらダメだと思うんだけど。」
アランも何というか…忙しいのは分かるがそういうのはちゃんと考えてほしい。
「ねー。僕もそう思う。…もしかしたら、所長さんには目的があったんじゃない?新人を連れていくのとは別の目的が。」
「…何それ。」
「なんとなく思っただけだよ。でも、あの所長さんが、いくらついでとはいえ、僕たちをこんなパシリみたいなことに使うかなぁ、って思っただけ。」
どうなんだろう。…でも昔から、2号は勘が鋭いところがあった。
「あ、あの子じゃない?」
2号が指をさす。
確かに、3番世界のゲート前にモブ役らしき少年の姿がある。
新人らしく、どこか不安げに辺りを見回していた。
見た目的な年齢から言えば15、6歳といったところだが、その様子から察するに生まれてから1年もたっていなさそう。
見た目と実年齢が食い違うことは、モブ役ならよくあることだ。
事実2号も、見た目だけならアランと同じくらいだけど実際は2号のほうが大分年齢が上だ。
多分「人魔大戦」はアランが生まれるかどうかの時期に作られたんじゃなかったかな?
こう見えて、2号も結構年寄りなのだ。
…ん?私?
やだなあ、私は永遠の17歳に決まってるでしょ。
「…どうしたの?なんか4号の顔、怖いよ?」
「何でもないよ。」
「え、でも…。」
「なんでも、ないよ?」
「え、あ・・・。うん。」
2号はまだなにか言いたそうだったが、口をつぐんだ。
…繰り返して言うが、私は威圧なんてしていない。
「ねえ、もしかして臨時依頼を受けた子かな?」
少年のそばに近づくと、2号が声をかける。
少年はビクッと身を震わせたがこくんと頷いた。
「はい。僕がそうですけど・・・えっと、あなた方は?」
「僕たちは、君と一緒に行動するように言われたんだ。僕たちもこれから3番世界に行くんだけど、僕たちの方が先輩だからってことでさ。君、見た所新人さんだよね?」
「え、はい。そうです・・・。まだ生まれて1年もたってないと思います。」
やっぱりそうか。
少年は訝し気に眉を寄せた。
「あの、でもどうしてあなた方も一緒に?臨時依頼なんて、別に珍しくもなんともないはずですよね?」
「うーん。僕もよくわからないんだけどさ。SKの人に頼まれちゃって。」
おい。そのこと隠した方が良かったと思うんだけど。
・・・でも所長に頼まれたとまでは話してないから、何か考えがあるのかな・・・あるよね?
「SKの人にですか?」
少年は驚いた顔をした。
普通に生活していたら、SKの人とはそんなに親密になったりしないもんね。
「分かりました。それなら・・・。あの、よろしくお願いします。」
少年はぺこりと頭を下げた。
・・・性格面は問題なし、か。じゃあ何が理由だろう?
その理由は、思ったより早く分かった。
少年が次に行った言葉で、私も2号も固まってしまったからだ。
「あの、お二人のお名前を教えてください!」




