第55話 その先へ⋯
いつも読んでいただきありがとうございました。
No.13は静かに微笑みながら口を開いた。
No.13 「私の答えが正しいとは限らない。」
「人にはそれぞれ答えがある。」
「それを受け入れるのも、拒絶するのも自由だ。」
「だが、それを理由に人を拒絶してはいけない。」
「考え方は、人それぞれ違うものだからな。」
「無よ──」
「自分の考えを、人に押し付けるな。」
「それだけは忘れるな。」
No.13はドアの前から静かに身を引き、無へ進むよう促した。
無 「……いいのか?」
No.13 「もちろんだ。」
「判らないことを、判らないと言える。」
「自分の考えに固執せず、新しい答えを受け入れられる。」
「それが、この扉を通る条件だ。」
「理に縛られ、自分だけの答えを絶対だと思った者たちは、この扉を通ることは出来ない。」
「いや……通ろうとも思わないだろう。」
無は静かに頷く。
無 「そうか。」
「この先は?」
No.13は優しく笑った。
No.13 「その先は、自分で見つけるんだ。」
「自分の目で見ろ。」
「耳で聞け。」
「鼻で感じろ。」
「口で味わえ。」
「肌で触れろ。」
「経験して、自分だけの答えを見つけるんだ。」
「答えは、人から教わるものではない。」
「自分で歩いて、自分で見つけるものだ。」
無は少しだけ寂しそうな表情を見せる。
無 「……残るのか。」
「もう……会えないのか。」
No.13は穏やかに頷いた。
No.13 「私はここに残る。」
「まだ、この扉を目指す者がいるからな。」
「会うことはない。」
「だが、お前のことは見えている。」
「ここから、ずっと見守っているよ。」
無はゆっくりと頷いた。
無 「判った。」
「……行く。」
No.13は、まるで父親のような優しい笑顔を浮かべる。
No.13 「行ってこい。」
「これから辛いこともある。」
「悲しいこともある。」
「悔しいこともある。」
「それでも、お前なら大丈夫だ。」
「頑張れ。」
無は真っ直ぐNo.13を見つめ、
小さく微笑みながら答えた。
無 「はい。」
無は扉へ手を伸ばす。
ゆっくりと開かれた扉の向こうには、眩しい光が広がっていた。
しかし、その光は目を焼くようなものではない。
まるで朝日に包まれるような、温かく優しい光だった。
無は1歩、また1歩と歩き出す。
扉をくぐる瞬間。
振り返ると、No.13は最後まで優しい笑顔で見送っていた。
朝日が部屋へ差し込む。
一人の少年が目を擦りながら目を覚ました。
ゆっくりと階段を降り、リビングへ向かう。
母親が朝食を並べながら微笑む。
母 「おはよう。」
少年 「おはよう。」
母 「ご飯できてるよ。」
少年 「ありがとう。」
母 「今日も遅刻しないでね。」
少年 「うん。」
どこにでもある、ごく普通の朝。
学校へ行き、
友達と笑い、
授業を受け、
放課後になる。
少年 「今日も行くか?」
友達 「もちろん!」
「本当にいい店を見つけたよな。」
少年 「うん。」
「あの雰囲気、なんか落ち着くんだ。」
友達 「他の喫茶店とは違うよな。」
2人は笑いながら歩き出す。
やがて、一軒の喫茶店へ辿り着く。
カラン――。
扉のベルが優しく鳴る。
カウンターの向こうで、マスターが穏やかに微笑んだ。
マスター 「いらっしゃいませ。」
「また来てくれたんだね。」
「今日は、いつものクリームソーダでいいかな?」
少年は嬉しそうに笑顔を浮かべる。
少年 「はい!」
「ここのクリームソーダ、大好きなんです!」
マスターは静かに頷き、クリームソーダを作り始める。
窓から差し込む柔らかな夕陽。
グラスの中で揺れる、透き通った緑色。
ゆっくりと浮かぶバニラアイス。
少年はその景色を見つめながら、自然と笑みをこぼした。
その少年の名は──
理無。
理を知り、
それでもなお、学び続ける者。
彼の旅は終わった。
そして――
ここから、本当の人生が始まる。
END
ナンバーズ完結となります。
今まで読んでいただき本当にありがとうございました。
評価していただきありがとうございます。あまり評価されないので、めちゃくちゃうれしいです。




