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マレーン・サーガ 祝1.6万PV達成  作者: いのそらん
第15章 王都出発
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王都出発 その10 新情報の整理


 いちばん早く自分を取り戻したガリンが、


「とにかく、座って話をしましょう。」


 皆にそう促すと、それぞれがテラスの円卓に輪になるようにして座るのだった。

 レイレイが沈黙した後も、空気にはまだ微かな熱が残っていた。殊更、1名は特に・・・、


「ガリンよ。唐突であったな。しかし無礼だな。我はまな板ではないのだ。そう、着痩せ、着痩せをするのだ。良いか。そなたは誤解するでないぞ。」


 ルルテの第一声はやはりこれだった。

 短い時間ではあったが、レイレイの話の中には、ガリンですら予想しなかった重要な情報がいくつもあったのにも関わらず、食いついたのはそこだ。

 まあ、年頃の少女にとっては、多少は敏感になる話題なのかもしれないが・・・。


 とにかくガリンは、


「少しだけ、今の話を整理する時間をください。」


 ルルテを含む3人に向けて、少し難しい顔をした。


 まず、レイレイは『当代の巫女』と言った。つまりこれは、巫女が代替わりしたことを知っているのだ。

 これはどういうことだろう。


 可能性としては、他の巫女とレイレイが既知の仲であるか、あるいは見知った関係であるということだ。

 もう1つは、知識として巫女が代々予言と言われるものを守り、『竜鱗を持つ者』を探しているということを知っていたからだ。

 その後のレイレイの会話を聞いていると、前者である可能性が強い気がする。


 また、レイレイの名前が判った。これは大きい。もしかしたら歴史を紐解く鍵になるかもしれない。これは後で師にも相談して、文献をあたる必要があるだろう。今、考えることではない。


 そしてこれが一番不可解だ。サラは、始祖であるミアンのことを『先代』と呼んだ。

 これでは、ミアンも代替わりしているように聞こえる。

 レイレイは、サラが知らない素振りを見せると、執着せず話を終えた。これでは、重要なのか、重要ではないのかはっきりしない。

 それに、『予言』に関しても、少なくとも何か知っていそうだ。


 まだある。

 サラが、自分のことを『尊父』と呼んだ時に、ちょっと微妙な反応を見せた。

 少なくとも、遺伝子提供者である自分は『父』と呼んでも差し支えない存在であるはずだ。

 そして、改めてレイレイは『いろいろな意味で』と言葉にして言い直したのだ。

 遺伝子提供者、培養した晶角士、養父として、確かにいろいろな意味で『父』と言えるのだが、どうもニュアンスが違うように聞こえた。


 次に、『頭冠』の話だ。

 エバと頭冠の話をした時には、まだ培養していたレイレイの身体はまったく形を成していなかった。レイレイはどうやって会話を聞いていたのであろうか。

 そもそも意識は元力石に封じられていたのだ。半分微睡んでいるとは言っていたが、まるですべてを見通しているかのような発言だった。

 レイレイはミアンの従者と考えていたが、本当はどうなのだろう。これも怪しくなってきた。


 最後は、爆弾発言だ。

 レイレイは、自分は『竜化』できると思っているのだ。

 しかも、部分的な『竜化』さえ可能だという。まるでお伽噺の世界のような話だ。

 それは能力だという。


 サラは以前、自身の変化のことを、


『意思力の補充がないと変化できない』


 と説明した。つまり、これは意思力を利用した能力だ。

 しかし、レイレイは、


『意思力ではなく能力だ』


 と言い切ったのだ。これでは筋が通らない。

 能力を発動するのが意思力ではないのか?

 そうすると、ガリンの考えていた固有種の能力はどこから発動しているのだ?

 まったくわからない。


 考えれば考えるほど、わからなくなってくる。

 レイレイは、短い会話の中に、多くの疑問を置いていったのだ。


「ガリンよ。そろそろ良いか?」


 ルルテが、ガリンを思考の海から呼び戻す。


「ああ、ルルテ。すみません。あまりにも情報量が多かったものですから・・・。」


 ガリンが、眉間に皺を寄せて頭を掻くと、


「まさかとは思うが、発育、特に胸の発育に関して考えていたのではあるまいな?」


 ルルテがちょっとだけ頬を紅くする。


「いや、そこは考えていません。」


 ガリンがあっさりと否定する。


「そ、それなら良いのだが・・・そこには興味ないらしいな・・」


「はい?最後の方が声が小さくて聞こえなかったのですが?」


「いや、そこは気にするでない。はよ、話を戻さんか。そこの胸部自慢の傭兵が待っておるぞ。」


 ルルテがサラを指さして、強引に話を打ち切った。


「え?胸?あたしの胸も全然見てくれなかったさね・・・。」


 サラが、いきなり振られて驚いたように、ついつい口にしてしまう。


「いつ見せたのだ。そなた我のガリンを誘惑しておるのか?」


 ルルテがすかさず言葉を被せる。


「え?い、いや、ほら今も見てないさね。その護士はずっと姫さんを見てたさね。」


 サラは狼狽えたように誤魔化した。


「む?そうなのか。我も罪な女だな。」


 ルルテは、急に笑顔を浮かべると目を伏せるのだった。


「で、護士さんよ。今日はあたしを呼んで何をするつもりだったんだい。もうあのお方には会うことができたし、満足したさね。旅の同行の許可は出たんだろ?他には何かあるさね?」


 早口で、矢継ぎ早に話題を引き戻した。


誤字脱字の修正。ルルテの言葉の前に、ちょっとだけ強調する1文を追加。語尾の修正。2026.3.30

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