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マレーン・サーガ 祝1.8万PV達成  作者: いのそらん
第15章 王都出発
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王都出発 その1 ガリンの振り返り

・登場人物


国王(男 47歳) ルラケスメータ・メルタ・マレーン・コグソ

宮廷晶角士(男 113歳) イクスレンザ・レン・エンジシ

晶角士(男 26歳) ガリエタローング・ガリン・ララス・ナジシ

王女(女 14歳) ルルシャメルテーゼ・ルルテ・マレーン・ソノゥ

女官A(女 34歳)  ジレルンマーナ・ジレ

女官B(女 69歳)  セラミナーニャ・セル

衛士(男 43歳)  ストレバウス・オウジシ

ガリン養女(女 推定8歳) レトマルレインザ・レイレイ・ララス・ナジシ

傭兵(女 ??歳) サラニュート・ヨーク


数え年で歳をとっていくマレーン次元文明では、新年を経て、登場人物たちは皆1歳、歳を取りました。

ルルテは、とうとう14歳ですね。


 マレーン文明歴13年も、明日にはマレーン文明歴14年となる日、ガリンは自室の排気口の前の机に座り、ここ2年を振り返っていた。


 まず、護士になった。そしてルルテと出会ったのだ。その時のルルテはまだ12歳だった。その後、闘技大会での惨劇に遭い、学院の地下書庫では、今はレイレイの核となっている元力石を手に入れた。もちろん、正確には、レイレイが宿った元力石であるが・・・。


 レイレイの身体を手に入れるために学院に通い、そして結果、今のレイレイの培養に成功したのだ。自身の力だけでは成しえなかっただろう。レンやエバ、そしてもちろんルルテの力もあっての成功であった。そうして誕生したレイレイは、ジレやセルの手助けを借りながら、今はこの後の旅に耐えられるだけの成長を遂げていた。武力に関しては既にストレバウスを超えており、少女とは思えない実力を身に付けている。まあ、竜の素体と宿っている意識体の力も作用しているのだろうが、強いことには違いはない。


 そんな忙しい中、ルルテはしっかりと学業も修め、たった1年で初等教育機関を卒業するに至った。ルルテは卒業後は予定通りに元服し、元服後の7大文化圏会議では見事な宣誓をしてみせた。


 まあ、元服の儀では、ガリンも予想していない『生涯の片翼』としての『血の宣誓』をしてしまい、王宮の政治に巻き込まれることとなったのではあったが。その際には、レイレイも無事にガリンの養女となり、生力石を得てマレーン国民となった。


 レイレイの鱗が導く『旅の友連れ』を探しに城下街に降りたのは記憶に新しい。自身の市井に関する常識の欠如を知り、また『鱗の巫女』であるサラとも出会った。昨日は、王からもサラの巡察の旅への同行を、レンの手助けを借りてなんとか許可ももらったのだった。


 まさに、これから巡察の旅に向けての最終の準備が始まっていくのだ。


 サラに関しては、昨日決めたようにまずは学院でレンが面談を行う。その後屋敷に招き、今後の打ち合わせをすることとなっているのだから、彼女の合流はもう少し後になるのだろう。サラへの連絡に関しては、今日の朝一番でストレバウスに頼んで、軍角士であるリアに言伝をしてもらっている。おそらく、年が明けて、城の王座の間が国民に開放されている間に、一度話をすることになる。レンも、年があけて2、3日は公務で忙しいらしいので、4日後以降になるのだろう。その時は、再びリアたちに言伝を頼む必要が出てくるはずだ。


 今日は、年の最後の日である。昨年の新年は、ルルテとジレの妙ないたずらに巻き込まれ、慌ただしい新年を迎えたのも、たった1年前のことであるのに、ずいぶん昔に感じるほど懐かしい。それだけ、この1年の密度が濃かったのだ。


 もちろん、ルルテは今年も王と王妃である父と母の元には戻らず、屋敷で新年を迎えるため、今も今日の晩餐の用意に色々と口出しをしている。最近は、セルやジレにならって多少の料理ができるようになったというのだから、驚きである。ほんの一年前まで包丁の握り方すら怪しかった少女が、今では台所でセルやジレに混じって動いている。その成長が嬉しくもあり、どこか寂しくもあった。


 マレーン王国では、年が明ければ1歳年を取る。明日にはルルテも14歳になるのだ。一般的な貴族の元服は15歳が多い。対外的には元服をし既に大人として扱われているが、年齢として大人になるのもあと1年なのだ。少女が大人へと歩み始めている。


 もちろんガリンも歳を取るのだが、実はガリンは18歳ぐらいからほとんど肉体の状態が変わっていない。レンは、ガリンの生い立ちが特殊であることも踏まえ、長命種の血が入っているのかもしれないと考えているようだが、ガリンの身体的特徴にそれは見て取れない。


 これに関してガリンは、自身の意思力がけた外れに強いため、生力石の肉体調整が過度に働いているのだろうと別の推測もしていたが、どちらにせよ理由ははっきりとはしていない。この問題もいつかは調べてみなければならないが、今はそれだけの時間がとれず、いつも後回しになっているのだった。


 ガリンは、この謎を解決できれば人の革新にもなるのではないかと考えていた。だが同時に、寿命や肉体の調整に踏み込む研究は、時に人の在り方そのものを揺るがす危うさも孕んでいる。意思力の強弱が寿命の差となるのなら、それは新たな格差を生む可能性すらある。始祖レレルク・ミアンが刻んだ文様の解読が、禁忌に触れる可能性だって否定できない。それでも、研究に没頭できる時間がとれたら必ず取り組もうと、ガリンは心に決めていた。ガリンにとっては、自分自身ですら研究対象なのかもしれない。


 ・・・と、思い返せば、息つく暇もない2年であった。排気口から流れ込む冷たい風が、ようやく訪れた静寂を告げている。


 そうやって、この2年を振り返っていると、ルルテが勢いよく扉を開けて、


 「ガリンよ。そなたは一体なにをしておるのだ。晩餐の準備が整っておるぞ。はやく食堂にくるがよいぞ。」


 それだけを叫ぶように伝え、すぐに食堂に戻ってしまった。


誤字脱字、語尾の修正。回想シーンから現実に戻るところに1文を追加。2026.3.23

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