ちょぉーっとばかしおふざけが過ぎただけ
凄惨な見た目に反して快活なリクコから、今までに起こったことを聞かされたキューは意気消沈しながらも、今度は自分の身に降りかかったことの全てを包み隠さず話した。
八号ーーオクトの手先であるミーナとサヤが襲いかかって来、ノリがそれを止めたこと。そして、自らの意思で単身敵地に身を投じたことーー。
リクコはさして驚きもせずただ黙って感情的に話すキューを眺めていた。
「キューちゃん……少し落ち着きなよ。身体は全快したとはいえ、心はそうはいかないんだ。いや……急に色々話した私も悪かったな」
言って物思いにふけるリクコにキューはふと違和感を感じた。
全身包帯だらけで判別のつき兼ねる状態であるが、それでも声や身体的特徴ーー醸し出す雰囲気などで何とはなしにリクコ当人だと認識できるのだが、払拭しきれないモヤのような薄ぼんやりとまとわりつく何かが離れず残っているのだ。
ーーだから、咄嗟に口に出てしまった。
「リクコ…………あなた、本当にリクコなのですか?」
「どうしたんだい、藪から棒に。私はずっと変わらず私のままさ」
「……まだそんなウソつくの?」
「……誰ですッ!?」
気配もなく唐突に現れた声に反応し、キューが振り向きざまに尻尾を鞭のようにしてその声の主を叩く。油断してなるものかというキューの姿勢が如実に現れていた。
しかし尻尾での攻撃は不発に終わった。実に片手で易々と受け止めたのである。
「いやあ、ご挨拶ね」
声の主は奥に居るリクコに目配せすると、掴んだ尻尾を離した。そして呆れた調子のリクコが気怠そうに言った。
「その子は敵じゃないよキューちゃん。寧ろ頼もしい味方……っていうか何であの力作のボデーから替えちゃったのさ……アルちゃん」
キューは目を見開いてあるの方を凝視した。黒髪のおかっぱ頭でキューのと同じロリータ服を着込んでいる。
もう変態じゃない。スク水着ていない。生臭くない。
ーー素晴らしい!
キューは欣喜雀躍した。
「あー……、リクコさん? キューちゃんは、その……大丈夫なのよね」
「もちろんさ。ちょぉーっとばかしおふざけが過ぎただけ」
「それで変態扱いされる私の身にもなって頂戴。あの姿ならキューちゃんが喜ぶからって教えられて毎日お世話してたのに」
「変態さんも大変なんですね、お察しします」
「あっれぇ〜? まだ変態呼びから解放されてないんですけど」
「心中お察ししますわ、変態アルお姉様」
リクコはケタケタと楽しそうに笑う。キューも呼応して笑い、そうして自分がからかわれたのだとわかるとアルは膨れっ面になりながらも微笑した。




