よくもまあ厄介なの連れてきたわね
【前回のあらすじ】
闇落ち再登場
ユキノはホールの円の中央でななちゃんを何体も左右に侍らせ、昨日とは打って変わって半袖のシャツにカーゴパンツという出で立ちで不敵に口角を吊り上げ、足を組んでパイプ椅子に座っている。
左の手には拳銃が握られていた。
「どう、この服似合う? ミリタリーショップで見つけたのよ。やっぱりこのご時世実用性重視よね」
「ユキノッ――!!」
一歩前に出ようとする僕をキューが制して止める。
「何かがおかしいです。これじゃまるで、ななちゃんが……」
ユキノに従っている!?
「こいつらを包囲しなさい――」
そう言ってユキノが目配せすると、それに応じるように周囲に居たななちゃんたちがノリたちを遠巻きに囲み、円を作って完全に逃げ道をなくしてしまった。
キューの言う通りななちゃんは明らかにユキノの支配下に置かれている。
これには流石のリクコも狼狽えたようで、震えながら眼前の光景を指差してまごついている。そうしてわなわなと震えながらこう言った。
「ひぃふぅみぃ……っと。うっへぇ、後方待機の連中も引っ張ってきたねこりゃ……インフラのメンテどうすんのさあ。シフト管理難しんだぞ」
「あん? ノリ、何よそいつ。一つ目――あぁ、そうか六号。六号……ね。まったく、よくもまあよりにもよって一番厄介なの連れてきたわね」
ユキノがリクコを一瞥して心底厭そうに吐き捨てる。
二人は面識がなかったはずであるのに、何故ユキノはリクコの存在を知り得ているのだろうか。
ノリの中にふつりと湧き出たそんな疑問は他ならぬリクコの言葉によって、一瞬にして氷解した。
「寛大な私はななちゃんシフトの件は許してあげるよー。だからさ、お前が旅館街にあるドクターのラボから盗んだN細胞寄生体研究データと注入用ナノマシン…………今すぐカエセ!」
途端全身に鳥肌が立ち、酷い悪寒がした。
常時の素っ頓狂だけれど世話焼きなリクコからは想像できないほどの冷酷な声――。
周囲を取り囲んでいたななちゃんたちもその気迫に押され数歩後ずさる。
キューは大丈夫なのかと思ったが、よく見ると小さく小刻みに震えていたので、やはり怖いのだろう。
「流石寄生体の中でも要注意の個体ね。癖がありすぎて懐柔はほぼ不可能だろうからって物量をとったけど、選択間違ったかしら? まあいいわ。まずは手始めに……っと」
ユキノの手合図で一体のななちゃんが戸惑いながらもリクコに飛びかかる。
勢いよく助走をつけ高く飛び、落下の速さと重量を加算した前脚の斬撃は鋼鉄であろうといとも容易く粉砕せしめる威力となる。
当たれば――であるが。
目で追うことすら許されないななちゃんの接近を更に上回るスピードでリクコの迎撃は放たれた。
そうして消え去ったという表現がぴったりなほど、ななちゃんは瞬時に塵となって霧散した。
単眼ちゃん強い




