純平の過去 2 『シアワセノカタチ』
僕は産まれながらにして両親を亡くした。
生まれたての僕を拾ってくれたのは母方の親戚だった。
最初こそ優しく接してくれたが3歳くらいのときに離婚してから、おばさんの当たりが酷くなった。
食事は3日に1度馬の餌のようなものを与えられるだけ。
夜になると暴力を振るいながら「お前のせいだ」と嘆き続けた。
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。
毎日何度も謝った。最初の頃は何故自分が悪いのか何もわからなかった。
逆恨みだということに5歳の頃に気がついた
。その頃にはおばのことが大嫌いだった。
だが可哀想だとも思った。
「おまえさえいなければ! おまえが私の幸せを奪った!」
おばはどんどんヒステリックになっていった。
ごめんなさい、ごめんなさい、幸せを奪ってごめんなさい。産まれてきてごめんなさい。
毎日が苦痛だった。何故こんな目に合わないといけないのか。僕は学校にもろくに通えなかった。
そして去年、11歳になる頃に僕は家から、おばから逃げた。
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キラキラと明るい建物内に所狭しと並ぶ店。
純平は初めて見るデパートにテンションが上がる。
「すげえー! いろいろあるー! 贅沢だな、おい!」
普段大人ぶった態度の純平の子供らしい姿につい笑みをこぼす。
「おい、何笑ってんだよ。」
「んー? ふふ、なんでもなーい。」
「つーか僕金ないんだけど。」
「大丈夫! そこは私に任せて!」
そう言った少女は洋服の店をあちこちと周り、純平は彼女の思うがままに振り回された。
終始笑顔で楽しそうな彼女に感化されたのか、純平も時折笑顔を見せた。
「じゃあ次はゲームセンターに連れて行ってあげる!」
「ゲームセンター?」
「そ。お金を入れると出来るゲーム機がいっぱいある楽しいとこだよ! こっち!」
と言って少女は純平の腕を引く。
「ちょ、引っ張んなよ。」
純平は少女に連れて走りだす。
忘れていた幸せの味が身体中に広まるのを感じる。
それが悲劇の3日前の話だった。
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ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイー!!
「……ろしてやる。」
そのあとのことなんか知るか。
理性が飛ぶのに抵抗はしない。
怒りに身を任せれば楽になれるから。




