第3話
改札機にカードを入れた財布をタッチした。ピッという音と共に私は駅を出た。
料金はカードから支払われる。このカードに上限はない。何に使おうと使えなくなることはないはずだ。
追ってきていたあの人達は、もういなかった。通勤時間なので電車が混雑しており、見失ったようだ。
中央区に降り立った私は、ワカに指定された住所に向かって歩き始めた。
そこは高級マンションだった。出てくる人はみんな、ばっちり髪をキメ、綺麗なスーツや洋服を着ていた。
対する私は、学校で使われるような薄汚れた体操服の下にジャケットを着てるだけだったので、コンビニ以来また目立ってしまった。
四桁にもなるの部屋番をインターホンに打ち、呼び出す。
「名前は?」とすぐに応答が来たので、自分の名前の二文字を短く応える。
するとガラスで出来た扉がスライドしたので、扉をくぐる。
エレベーターに乗り、彼女の部屋を目指す。
エレベーターの扉が開くと同時に、箱の中に風が吹き込んできた。
さすが高層階というだけあって、廊下から見える景色はとても綺麗だった。
ワカからは、茶髪のツインテールが部屋の前に立ってると聞いてたで、それらしき人物を探す。
彼女の容姿は分かりやすかったので部屋を見逃すと言うことはなかった。
彼女は中で話そうと言い、快く中に入れてくれた。
「適当に座っといて〜。」
そう言って彼女は私をソファに案内した。その後、彼女は台所に消えていった。
窓が大きかった。絵に描いたような高級マンションの部屋をしていて、そこから見える景色も廊下と比じゃなかった。
部屋はとても質素でおしゃれな棚や、植物があった。
天井からはシーリングファンやペンダンライトが吊るされていて、落ち着く雰囲気があった。
彼女はお茶を乗せたお盆を持って戻ってきた。
「綺麗な部屋だね。」
「ありがとう。試合期間中時間見つけたら頑張って手入れしてるんだ〜。」
そう言って彼女は私の前にに座った。
雑貨を揃える費用も例のカードで支払える。それだけ聞けばかなり自由だが、十日で少人数とは言え戦略を練り、世界で戦わなければならない。
「ワカさんは、これで何回目だっけ。」
「ワカでいいよ。私はね三十回目。そう言えばシアは何回目なの?」
そう言えば言ってなかったなと思い、私は答えた。
「…0回目、かな。」
「ずいぶんと自信のない言い方だね。まぁいっか。」
彼女は、じゃあ私の方が先輩なんだと続けた後に、今更だけど楽にしていいよと言った。
私はその言葉に甘えて、ジャケットのチャックを下ろした。そしてソファに本格的に身体を預けた時、私の前に座る彼女の方から「キャッ」という声が聞こえた。
その声に反応して私が前を見ると、顔を手で隠して、耳まで真っ赤に染める彼女がいた。
私が不思議そうな顔をしていると、彼女がワナワナと言った感じで言った。
「な、なんて格好してるの!?」
私はなんのことやらと言った感じで、自分の身体を見た。
するとそこには豊満な二つの大きな膨らみが…ということはなく、少し控えめな膨らみが主張していた。
そう言えば、上はジャケットだけだったなーと思い、何と言ったらいいか分からず、あぁごめんと小さめに謝罪した。
「あぁごめん、じゃないよ!シア電車でここにきたんだよね!?」
「そうだけど…」
そうすると彼女はまるで、もしかしてという顔で、私に起立を命じた。そうして私の前に立ち、一気に私の下を下ろした。
ただでさえ赤かった顔がさらに赤くなった。
「…シア、もしかして露出狂?」
「?、違うよ?」
「電車で痴漢に…」
「会ってないよ、女性専用車両に乗ったから。」
「そこはちゃんとするのになんで…」
彼女は、何と言ったらいいのか…、と言った感じで眉間を押さえてソファへと戻った。
「とりあえず、服着よっか。」
ほとんど裸の私に向かって、彼女はそう言った。
一応着てきたんだけどな…




