第18話
全身を駆け巡る冷気と、体を揺さぶるその人によって起こされた。
「そろそろ着くよ。起きて」
私の体を押す小さい手を見て、それがワカが言ったとわかった。また短く唸って返した私は、ふと外の景色を見た。針葉樹が規則正しく並んでいる小道で、私たちを迎え入れているような感じがした。
「ここがカナダなの」
私がふと漏らした疑問にワカは違うと否定してきた。私の頭には疑問が浮かんだ。私たちはカナダにいる相手の元に向かっていたはずだ。
–––––––ここはどこ
マップを見るとかなり上の方だが私はまだ米にいた。それと同時にもう一つの疑問ができた。相手の位置情報が移動していた。
位置情報は互いに日付変更と同時にその位置が公開されるはずだ。ならば、先程と位置が違うのはおかしいはずだ。そこから求められる理由は一つしかない。
「ワカ、私はどれくらいの寝ていたの」
私の予想ではおそらく…
「丸一日くらいだよ」
ワカは私の予想通りの回答をした。
「よく寝るんだね。もう一度眠りについてからさっきまで起きないなんて」
そうだねと短く返してから、私は車内を見渡した。運転しているクロエとワカと私以外、みんな眠っていた。心地良さそうとはあまりいえない顔をしながら眠っているのが殆どだった。それは、寒さと車の揺れのせいだろう。
その結論に至ったせいでジャケットからはみ出している脚が余計に寒く感じてジャケットにくるまるように脚を隠した。
自分の口から漏れる息は白く、全員の口からもそれが出ていた。
ワカも口から息を出しては手をこすり合わせ、時折「さむ」と口をこぼしている。
「暖房つけないの?」
そう私が聞くと、「あったかくなると眠くなるし、運転してるクロエが寝ると困るから」とワカに返された。
クロエはこちらを見ず、運転に集中している。その目には疲れが溜まっているように見えた。
再び窓の外を眺めた。
「みんなを起こすの手伝ってくれる?」
そのワカの誘いに、短く頷いて返した。




