第14話
「初めまして。メアリと言います」
私の前に立つ小柄な少女がそう言って、手を差し出した。長く軽く巻かれた金髪に、白い肌、そして黄金の瞳を持った少女だった。
「こちらこそ」
少し舌足らず気味のような心配になる声に、私はそう短く答えて手を握り返した。
その少し小さな手は、私の手にすっぽりおさまった。
「後ろの日焼けしてるのがエマ、髪がボサボサの不潔なやつがソフィア。そして…」
そうメアリが話した。髪が…からのくだりの後におそらくソフィアであろう髪がボサボサの少女が「不潔じゃないよー」と嘆いていた。そこで一同が笑いに包まれた時、その少女が動いた。
その少女は大幅な足取りで私に迫ってきた。その灰色と黒の肩程の長さの髪が無造作に揺れる。少女は私の胸ぐらを掴んだ。顔をまじまじと見られた。ひどく敵対視した目で私の表情をくまなく観察した後に、こう言った。
「私はあなたを信用しない」
あまり、理解ができなかった。この戦いは団体戦であり、チームワークは必須となるからだ。その猫のように鋭い彼女の目を見つめ返した。
私は何も言わなかった。言えなかったのかもしれないが、そこのとこはわからなかった。ただ自分の中に、どうでもいい、無駄、といった感情が出てきた気がした。ただそれも確信にまで発展はなく、その追求さえも面倒のように感じた。
しばらく無言が続いた。一人はあちゃーと頭を抱えており、他の人も少し複雑そうな顔をしていた。その中でミレイだけは、いつも通り微笑んでいた。時間が経つにつれて形相がひどくなっていくこの少女とは逆に。
「こらやめろクロエ」
その幼なげな声が聞こえたと同時に、私とその少女との間に小さな手が割り込んできた。私の胸ぐらを掴んでいた手が上に弾き上げられ、私は少しの浮遊感と重力を感じて踵を地面につけた。
そうかこの少女はクロエというのか。
メアリはクロエの耳元で何かを話していた。それは私には聞こえない声量で、それを聞いた後にクロエは表情を曇らせていた。その後少し私を睨んだ後、彼女は後ろに止まっている車の方に大股で歩き出した。
「いやすまないね。彼女はいつもあんななんだ。あまり気にしないでくれ」
メアリがそう私に言った。そしてメアリに促されるまま、車に乗り込んだ。
大きなタイヤの車だった。




