表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あちーぶ!  作者: キル
98/388

『亡国の異世界 7つの王国と大陸の覇者』28

~~~チャコ~~~


 冒険者ギルドに向かい、蜜柑先輩の戦争参加の登録をしたついでに、戦争についてもう少し詳しい情報を調べることになった。

 特に、戦争を繰り返して人口はどうなってしまうのかについて、未来を聞いたことで余計に気になったんだよね~。


 ちなみに、蜜柑先輩の種族はケンダー。背が低い種族だけれど、あたしほど背が小さいことはない。それでも、身長190センチの蜜柑先輩が身長130センチほどになるのは衝撃的だ。


「こちらが『帰還石マーキュラス』となります」


 冒険者ギルドの職員が差し出すのは、小さくて楕円形の、緑色の石。これはあたしたちの復活拠点リバ石と似たような性質を持つアイテムで~、死ぬようなダメージを受けた場合、生きたままマーキュラスへ強制転移してくれるアイテムみたい~。ストレージに入れたままでは発動することなく、装備する必要があるのがちょっと面倒かな~。


 ただ、ストレージ内のアイテムを失うことはないけど、ストレージ外の全てのアイテムはその場でドロップしてしまうのが欠点。それでも、全部ストレージに入れれば良いから、リバ石登録とは別にマーキュラスへ好きな時に移動できると思うと便利。

 問題点は、死亡しないと発動できないことだけど、それはリバ石も似たようなものだけどね。

 っと、受付のお姉さんの説明が続いてるから聞かないとね~。


「そのため、戦争に負けても人的な被害は抑えられますが、武器防具を失い続けることで国力は低下します。当然、勝てば相手の装備を手に入れることができるので、次からの戦争は有利になります」


「こちらは、どこで買えるのですか?」


「戦争の参加を登録する場所で購入できます。戦争参加者の皆様には20G、そうでなければ200Gです。戦争に参加しない場合は、王都だけでしか販売しません」


 命と引き換えと考えればかなり安いよね~。魔物が居る世界で殺されるかもしれないリスクを無くせるのは良いと思う。

 もしこのアイテムを使って交易をする場合、交通費よりは高額だけれど、戻る時間は一瞬だから時間をお金に換算した場合かなり効率が良いと思う。それだけ考えると時間一択に思えるけど、そのために死ぬ思いをしなければならないのはちょっと苦しいよね。交易の度に自殺しなきゃならないって、心が病みそうだよ~。


「それでは、私たち3人は参加しているので、3ついいですか?」


「はい。それでは……確かに60G受け取りました。こちらが帰還石です」


 黄金音先輩が帰還石を3つ購入した。


チャコ:お金ないのに今いるのかな~? リバ石のがアイテム込みで戻れるよね~

ミカン:王都確定ってのは便利だから、安売りのときに買うのはありだぞ。

コガネ:まぁ、今回は私たち用ではないですけど。

チャコ:そうなの~?


 その後も、コガネ先輩は冒険者ギルドのショップでいくつか買い物を続ける。方位磁針、鏡、陶器の壺……壺なんかどうするんだろ~?


「コガネ先輩、その壺どうするんすか?」


「これは、お試しタイムカプセルだよ」


「タイムカプセル~!」


「なるほど! 送れたら面白いすね」


 未来のアオナたちにこれが届いたら、色々できることが広がるな~。その場でどうしても持ち出せないものでも、工夫すれば手に入れることが可能ってことになるよね~。


「あとは、どこに入れるかだけど」


「妖精の庭にお願いしたらどうかな~?」


「そうだね、保管場所でも聞いてみようか」


 住宅街に入り、先ほど妖精の石像があった庭に向かう。中に入ると、見知ったおじさんが、別の男性と談笑していた。ちょっとだけ太っているおじさんだ~。


「こんにちわ~」


「おや、お嬢さんたちかい。ようこそ」


 おじさんは片手を椅子代わりの丸太に指す。中に入って、あたしは椅子の丸太の上に座るけど、黄金音先輩は立ったままだ。


「こんにちは。申し訳ありません、この壺を埋めたいのですが、どこか良い場所はご存じないでしょうか?」


 壺を手に、おじさんに中身が見えるようにして差し出す。怪しいものは入っていないアピールだ。


「ふむ。こんなもの入れてどうするんだ?」


「未来に向けてのプレゼントです。何十年後の誰かが開けると良いなって思って」


「なるほどな! それならこの庭に埋めて良いよ、面白そうだ。どこが良いかな……」


 快く許可を出してくれたおじさんは、庭を見渡し場所の検討を始めてくれた。そのおじさんの肩を、一緒に居たおじさんが軽くたたく。


「ちょっと待ってくれないか? 良いもの持ってくるから」


 そう言って、ちょっと太ったおじさんが家に向かって走っていく。しばらくしてから戻ってきたその手には、なにやら箱を手にしている。


「どうせならこれを入れよう。未来の親友へのサプライズだ!」


「なにこれ~?」


 飛んで箱の中を見てみると、帰還石とビー玉サイズの青くて丸いころころした物が、それぞれ5つ入っている。ふとったおじさんは中のビー玉のひとつを指でつまみ、あたしの前に見せてくれる。


「これは、魔石を研磨した物さ。若いころに集めた魔石を丸く研磨するのが趣味でね。こうやって研磨した魔石は、この状態で使われずに100年以上放置したら、魔石が魔玉って名前に変わることがあるんだ」


「必ずじゃないんですか?」


「うん、本当にまれにしか変化しないらしい。ギルドでも色々蓄えているらしいんだけど、全てが変わるわけじゃない。古ければ古いほど、大きければ大きいほど成功率は上がるらしいけれど、本当かどうかは確かめようがない」


 おじさんはあたしの両手にポンと魔石を置いてくれた。つるつるしてまん丸で、すごく綺麗~。


「若い頃って、冒険者でもしてたんすか?」


「この庭を囲んでる家に住んでるのは、一緒に冒険したパーティーの仲間さ」


 最初に出会ったおじさん、ウッツさんは魔法剣士で、ふとったおじさんのアスジスさんは戦鍛冶士だったらしい。冒険したパーティーメンバーが集まって暮らしているって良いよね。

 引退後は鍛冶に専念しているそうだから、研磨道具は揃っているとか。もし研ぎなおしたい武器とかあれば、依頼すれば完璧に仕上げてくれるんだって~。


 研磨した魔石を5つ壺の中に入れてくれた。


「魔石に魔法掛けても大丈夫~?」


「もちろん。魔石の持続時間が伸びるって聞いたことがあるね」


 それじゃあってことで、魔法を掛ける。魔石がアスジスさんの手を離れて壺に入った時点で黄金音先輩の所有になっている。黄金音先輩への妖精の好感度は高い状態なので成功率に問題はない。5つに魔法を掛けたところで好感度は下がらないのだ~。


「帰還石もいいのですか?」


「3つ程度じゃ、どれか壊れてしまうかもしれないだろ? 念のため多い方が良いに決まっている」


「ありがとうございます」


「なに。もう戦闘も戦争にも参加しないのに、大量に余らせているだけだから気にしなくてよろしい」


 ウッツさんがそう言うと、持ってきたアスジスさんも頷く。この帰還石はパーティーの共用アイテムなのかもしれないな~。


「この下が良いかな。端にあるし、石像の下ならちょうどいい」


 カエルっぽい石像をずらして、穴を掘るウッツさん。出来上がった穴に蓋をした壺を入れる。カエルの石像がまるっこくて可愛い~。


「ちょっとまってな……[シール]。よし、これで雨水や虫が入ることはないはずだ」


 ウッツさんが何気なく魔法を使って蓋を封印する。魔力を込めれば簡単に開く程度の封印らしいけれど、何かの拍子に偶然開いてしまう事故を防げるそうだ。


 あとは土で埋めて、その上にカエルの石像を乗せる。


「ありがとうございました」

「ありがとうございます」

「ありがと~」


 3人横並びでお礼を言う。


「いや、俺たちも面白かったよ」


「そうだね。また遊びにおいで? 他の知り合いにも君たちを紹介しよう」


「はい、ぜひお願いします」


 少し庭を見学した後で、庭を後にする。これがアオナたちの時代にどうなるか楽しみだ~。


 庭を出てから、黄金音先輩がログに書き込みに戻るついでに、ゲーム時間内も遅くなったので宿屋か何かで泊まって翌日に備える。今は学校ログインだから、家に帰れば丁度ゲーム時間内の朝になるんだよね~。


 なお、あたしは[妖精の隠れ家]があるので宿屋に宿泊しなくても問題ないし、ピクシー族なら他の誰かと同じ部屋で宿泊する場合、宿泊費を無料にしているところも多い。妖精用の無料空間がある宿もある。相変わらず優遇されすぎてるな~。

 帰還石はお守りのように首に下げるNPCが多いです。身分のある人は、他人からはわからないような場所に秘匿しながら装備することがあります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ