『亡国の異世界 7つの王国と大陸の覇者』26
~~~ギンカ~~~
『1vmhtui2.M!a93bn!tbunam02wvraw8l!jdfpwjdfpwm・pa3a93bn!sndhlsndhlthj7u!khwalsndhlkhwalbn02q!a93bn!tbunawnqhd』
脳裏に理解できない声が響き、なんとか洞窟へ戻れたけど、ふらついて倒れる。声が消えた……。
「どうしたんよ、ぎん子!」
未黒先輩が話しかけてきたけれど、頭がぐわんぐわんして、ちょっとまだ返事ができない。
「ギンガ! どうしたの!?」
茜もダンジョンに戻ってきて、倒れてるギンカの横まで駆けつけてきた。茜の子猫姿をみて、ちょっと落ち着いた。酷い精神ダメージだった。
「すごい声が聞こえたのだけれど、大丈夫?」
「うん……いまはだいじょぶ」
紫帆先輩も戻ってきた。まだ多少ふらふらしてるけど、元に戻ってきた。
落ち着いて考えれば、理由はわかる。
左腕に装着したブレスレットを撫でる。あれは、アクアの叫び声だ。
「アクアちゃん?」
「うん」
ブレスレットを触っただけで、茜に見抜かれた。多分、触ってなくても茜なら気が付いたかな。
「アクアさんの状況がこの時代は芳しくないってことですわね」
「考察は後。叫び声で魔物が来たんよ」
あぁ、ギンカが叫んだからだ。
「ごめんなさい」
「不可抗力なんよ。むしろ話のヒントと思えばいいんよ」
立ち上がろうとして、紫帆先輩に止められる。
「コボルド3体程度だから、そのまま寝てなさい」
うん。今の状態で戦闘はやっぱりきついから、お任せすることにした。さほど時間を置かずに、戦闘音が消える。ここに来るまでに何回か戦ったから、コボルドの癖も分かっているんだろう。
深呼吸をする。うん、動ける。体を起こし立ち上がる。
「大丈夫?」
心配する茜を拾い上げて、肩に乗せる。猫の手が光ってるから、何か魔法を使ってくれていたんだろう。
「もう大丈夫。洞窟に入ったら声が消えたから」
何が起こったのかを説明する。分かったことはほとんどないけれど、それでもアクアが通常の状況にはないことだけはわかった。
うん。まだ気持ちは戻ってない。昔の感じだ。
茜を両手で持ち上げて、背伸びをする。うーーーん! 茜の体もよく伸びてる!
よっし! 無理やり切り替え完了!
「選択肢としては、ブレスレットを外して外に出るか、下の階で別の時代に行くかなんよね」
未黒先輩がギンガを見て問いかけてくる。下の階に行くと、同じような状況になるからね!
「いつか行くんだったら、先に下の階に行こう! さっきは不意打ちだったけれど、今なら短時間は耐えれる!」
未黒先輩の目を見て返事をする。頑張れる!
「じゃあ、下の階に行こう。魔物が強いかもしれないから、最初は入口で戦闘して耐えられるかどうかの確認するんよ」
道を戻り、下りの通路を降りる。やがて坂道が途切れ横道に入れるようになっていた。
「時代は3つですね」
「ちょうど別れた数と等しいわね」
「戦前、戦中、戦後なんよ」
「「「……」」」
改めて、入口付近でコボルドを見つけ戦闘をする。さっきの階よりさらに強力だけれど、倒せないことはない。初心者用の、それも寂れたダンジョンだからこの程度で終わってるけれど、ベータのように何十階層もあるダンジョンの最下層だと、ギンガたちのレベルでは太刀打ちできない強さって聞いたことがある!
時代を移動するだけの小さなダンジョンが見つかってちょうどよかった。
3階を探索し、黒い壁を発見した。サイズは相変わらずだ。念のため、また叫んでもいいように周辺のコボルドを探して倒しておく。これで声に釣られて寄ってきても、少数のコボルドしか来ないはずだ。
今回も、最初は茜が外に出る。
アカネ:うわぁ……。
ミク:危ない?
アカネ:いえ、危険はないんですけど……荒野です。
シホ:草木も川もないのかしら?
アカネ:草はありますけど、木は遠くに見えるくらいですね。
ギンガ:キリ先輩、木がない山って言ってたけど、ほとんどなかったんだ!
ミク:モエギの島にも木がなかったんよ。
アカネ:これは人も居なくなりますよね。
何となくしんみりした雰囲気になる。
アカネ:あ、あと称号やアチーブを獲得しました。称号が『時空開拓者』アチーブが『時空を超えし者』です。
ミク:3つ渡ったからかな? さっき入ってなかったから、後でわたしも入らないと。
ギンガ:じゃあ、今回はギンガが最後に入るよ。
ミク:また倒れるかもしれないから、さっきの順で良いと思うんよ。
ギンガ:ううん。頑張る。
シホ:そう。じゃあ先に行かせてもらうわね。
紫帆先輩が黒い壁に入っていく。チャットで無事に外に出たと伝えてきたので、次は未黒先輩。
そして最後にギンガだ。ブレスレットに自然に手が伸び、何があっても大丈夫だと意気込む。
黒い壁を通過する……なんともない。称号とアチーブが手に入っただけだ。
『……アクア?』
呼びかけるが、返事がない。その後も何回か呼びかけるけれど、変わらなかった。アクアを呼び出せるブレスレットの機能を何度も起動させたが、アクアの姿が現れることはなかった。
「返事がない……」
頭が痛くなるほどの叫びもつらいけど、これもつらい。返事ができないだけなのか、それとも……。
「距離の問題や睡眠中って線もあるから、返事が無いのは判断がつかないんよ」
「そうね。とりあえず今は2階に入ってそっちのメンバーと合流したいわね。時間を空ければ返事があるかもしれないわ」
「うん……わかった!」
先輩たちの言う通り、返事がないだけだから今は気にしないでおこう。今はダンジョンに戻ってやることをやる! そう思いダンジョンを見ると、茜が何やら木の板を取り出してダンジョンの入口に乗せている。
「何してるの?」
「このダンジョン、何もないから蓋をしようかと」
「変に目立たないかしら?」
「目印がないから、アオナたちがここを探せないかと思って」
「そうね。……板以外もあれば分かりやすいかしら」
確かに川も何も目印がないから、ここにたどり着くのは大変そう! キョロキョロと見回して、膝よりやや低い手ごろな丸い岩を発見! ゴロゴロと転がしてダンジョン付近まで移動させた。
「これで蓋をしよう! 高さもあるし入口をすっぽり隠せそう!」
「蓋だと筋力無いと開けられないから、蓋は木にするんよ。でも目印には良いね。あと3~4つ集めて目立たせるんよ」
近くの石をいくつか集めて、石と木を組み合わせて入口を作った。うん、分かりやすくなった!
作ってる最中に晴れていた空が曇ってきた。
「雨が降る前に入りましょう」
紫帆先輩はそう言うと茜を見て、茜もそれを受けてダンジョンに偵察に入る。何もいないと返事があったので、全員ダンジョンに入った。
ブレスレットの、アクアを呼び出す機能はお互いの意思があって呼び出せるものなので、仮にアクアが眠っていたら呼び出すことは出来ません。




