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あちーぶ!  作者: キル
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『ピッツァ! ピッツァ? シティ!?』35

 今はピザを求める人も居なくなったので、少し離れますと筆談で伝えてから探索を開始した。32階はまだ行ったことが無いので確認したい。


 エレベーターのパズルみたいな仕組みは、今なくなっているので普通に32階まで移動出来た。

 エレベーターを降りた場所から見える廊下は31階と同じに見えるけれど、中央の廊下の先は行き止まりになっていて左右へ伸びる廊下がなさそうだ。横を向けばお手洗いはあるけれど、階段は無い。部屋の扉を開けていくつか探索したけど、ほとんどが空き部屋で机も何もない。やはり本命は正面の部屋か。


 正面の部屋に向かうため廊下を進み、開きっぱなしの扉から顔を覗かせると、いろんな人が仕事をしていた。その中にはリーマトさんと……パルトさんも居る。


 パルトさんはモニターにむかって何やら作業をしているため、私たちには気が付かないようだけど、リーマトさんはこっちに気が付いたようで、ゆっくり歩いてきた。


 リーマトさんに向けて、口に指を立てて話をしないで欲しいとポーズした後、廊下に移動するようにジェスチャーをした。


 リーマトさんもこちらに黙ってきてくれたので、入口から離れた場所まで誘導した。


「すいません、忙しいときに来てもらって」


「いや、もう作業もひと段落付いたからね。何か話があるのですか」


「えっと~、パルトさんってわかりますか~?」


 茶子が小声で話す。距離的に大丈夫だろうけど、心配だからね。


「ええ。彼は職員ではない外部のプログラマーですね」


 リーマトさんも、少し小声で答えてくれた。


「前にお話した、建築現場の1名があの人です」


「だとすると、やはり」


「下位が上位を操作できる実験してた人ですね~」


「……今回、このコントロールルームに下位の制御装置が設置されている様子はありませんでした。天井裏や床下など、出来る範囲で隅々まで探したが発見できていません。無線による情報の送信も、電話回線を除けば屋上の電波塔だけしか使われていません。もし下位があるなら、確実に有線接続です」


「じゃあ、私達も探してみますね~」


「お願いします。信頼できる部下にも指示しておきます」


 リーマトさんは、そのまま離れて31階へと降りていったので、それを見送った。


「あれ? ふたりともなんでここに居るんですか?」


 後ろから声を掛けられて、びっくりして振り返ると、パルトさんが居た。スーツの上着を脱いで、ネクタイもラフな感じにほどいてる。


「ピザのデリバリーとケータリングで来てました。下で配布してたんですけど、見ませんでした?」


 とりあえず、普通の会話をする。まだ心臓がドキドキしてる気がするけど、取り繕えてるかな?


「あぁ、作業に集中しすぎて行かなかったよ」


「そっか~。えっと、パルトさんはなんでここに~?」


「ん? あぁ、実はプログラマーなんです。言ってませんでしたか?」


 目が笑って無い気がする。探られてる?


「車両の操縦や点検業務をしてるって話は聞きました」


「そういえばそうだったかも? あれも僕の仕事の範囲だからね。設定し、問題が無いか操作する。なんでも屋みたいなものかな」


「何でもできてすごいです~」


 茶子が甘えた声音を出してる。ごまかしきるつもりだ!


「それで、君たちはリーマトさんと知り合いだったのかい?」


 あぁ、リーマトさんと会ってた様子も見られたのか。やっぱり怪しまれてそう。


「リーマトさんの息子さんの恋人が、私たちの知り合いなんです」


「ふたりがくっつくキューピッドみたいな感じかな~? どちらかというとリーマトさんの奥さんの方が親しいです~」


「あぁ、そういう縁か……。それで、デリバリーやケータリングも頼まれたと」


 少し雰囲気が変わった気がする。気がするだけで本当は違うかもしれないけど。


「はい。次に忙しくなる前に休憩中なんです」


「邪魔にならない範囲なら見学していいって聞いたので~」


「なるほどね。それなら色々見て回ると良いよ。普段は入れない場所だからね」


「はい。パルトさんもお仕事頑張ってください」


「ありがとう。じゃあ、またね」


 廊下の先、お手洗いかな? に進むパルトさんに、ふと、声をかけたくなった。


「そういえば、お忙しいならピザ持っていきましょうか?」


 返事はわかりきってる。


「ありがとう。でも、忙しいから後にするよ」


 ……その後、32階を調べまわったけど何も見つからず、調べていない所はリーマトさんやパルトさんが仕事をしている部屋だけとなった。ただ、ここは触っていけないものが多いので、周りを見渡すだけだ。

 こちらへ戻ってきたリーマトさんも、モニターに集中しているパルトさんも、私たちを少し見ただけだった。手動によるアームの操作が始まっているんだろう。


 機械を見てもよくわからないし、天井裏や床下を見るのは怪しすぎて見学とは言えない。明らかに何か探ってるってわかっちゃうからね。


 ここでは目的のものはないかな。そう思って周辺の壁を見ると……何かがひっかかる。なんだろ、この違和感。


[アカネ]なにか、違和感がある。

[チャコ]あたしは感じないな~。

[アカネ]気のせいかなぁ?

[チャコ]違うと思う~。多分、アカネにしかわからないことだよ~。

[アカネ]うーん。機械とか詳しくないからなぁ。

[チャコ]アカネは、ここにデリバリーに来た時に、何をしたの~?

[アカネ]32階までデリバリーして、証明書でセキュリティ少し解除して、バイクで外から手助けして……それだ!


 部屋の角にある換気口を見る。今は換気の役割ではなく、無数のコードの通り道になっている。このコードは、私が外でバイクを飛ばしながら31階との橋渡しをした。だから、外からこの換気口を見てるからこそ、違和感を感じたんだ。


[アカネ]この換気口、今は角にあるんだけど、外からみたら曲がり角より3メートルは横にずれていたんだ。

[チャコ]じゃあ、隠し部屋があるってこと~?

[アカネ]多分!


 この部屋の奥に、隠し部屋がある。その前提で改めて部屋を確認をするが、少なくともこの部屋から奥の部屋に入れそうな場所は見つからなかった。


 部屋をなにげなく歩く振りをして、部屋の横幅の歩数を数えて距離を測る。

 換気口側は自分も作業をしたのでそちらに空洞はないとわかっているが、反対側はわからない。L型に隠し通路があるかもしれないため、入口が他の部屋の可能性もある。

 それを踏まえて他の部屋と比べて距離を測ったけれど、特に距離がおかしいことはなかった。


[チャコ]屋上から降りるとか~?


 31階に戻り、バイクと一緒にエレベーターで屋上まで移動して、隠し部屋がありそうな場所を探索する。茶子は屋上の床を、私は外壁を確認した。


[アカネ]特に入れそうな空間はないね。

[チャコ]こっちも無い~。


 元々32階全体が隠し部屋だったので、窓ガラスが無い構造だ。換気口はどうしても必要だったため外から目立ちにくい場所にあったけれど、それ以外はどう見ても何もない壁でしかない。

 その壁も、外見をごまかすためか、黒っぽい色が塗られて屋上の柵との境界があいまいになっている。


 31階はガラス窓や換気口がいくつもある。ピザ窯があるから、煙突の排出口が見えるので、そこから煙も立ち上っているけど、32階に影響がある様子はない。


[チャコ]そうなると、31階から入るのかな~?

[アカネ]天井裏を見てみようか。


 31階に戻り、バイクを置いて奥の会議室や小会議室へと進む。この位置が、上の隠し部屋がある位置だからだ。小会議室は左右にふたつあるので、お互い別行動をする。


 この階を探索したときに使われた梯子を登って、天井にある扉へ顔を覗かせ、携帯電話のライトを点灯させて中を見る。思ったより広い。というか、少し屈めば普通に歩けそうな高さだ。

 ただ、天井の板の部分は乗るとすぐ壊れそう。乗るなら、上からつり下げられている『田』の形状をした鉄の棒の部分が丈夫そうだけれど、直接乗るには細い気がする。


 板や金属を触っていると、反対側からも明かりが見えた。


[アカネ]天井って繋がってるんだね。

[チャコ]部屋の壁は天井とは関係ないんだね~。

[アカネ]登って調べられるかな?

[チャコ]こっちには金属の板が何枚もあるけど、それに乗って移動できそう~。

[アカネ]金属の板……あった!


 真後ろに、移動に使えそうな板が数枚ある。これを『田』の上に置きながら歩いて進むのか。


[アカネ]上から直接つり下がってる部分の方が丈夫そうだよね?

[チャコ]下の部分は危なそうだよね~。


 『田』の字に見えるけれど、実際は天井からつり下がってる鉄の棒は『川』の字で、その釣り下げられた『川』の字と90度交差するように、別の鉄の棒の『川』の字が、最初の『川』の字にくっついている。

 見た目で、下部分の『川』の字は危なそうに感じるので、移動用の板は上部分に乗せて移動する。


 光を照らしながら、ビルの角まで移動した。そこから3メートル幅をゆっくり時間をかけて確認を開始する。

 換気用のダクトや、電気の配線を越えて、最終的に茶子と合流した。


[アカネ]天井に入口はなかったね。

[チャコ]あれが怪しいんだけどね~。


 茶子が指さすのは、ピザ窯の煙突部分。石を組んで作られた窯の煙突は、そのまま天井に突き刺さっている。その天井付近から金属ダクトが天井付近を伝ってビルの外に向けて伸びている。さっき外から見た煙の排気口の出口はこの場所だろう。


 怪しすぎるのに、ここだと断言できない理由は、石で組まれた煙突のどこにも隙間が無いのだ。外れる様子もない。

 仮に外れたとして、金属ダクトが中にあると考えると、煙突内を通過できそうなほどの幅が無い。私や茶子ならなんとかなる可能性もあるけれど、成人男性が入るとなると非常に厳しい。


 何度も煙突を確認したけど、どうすればいいかもわからないので一旦下へ降りることにした。

 天井裏は、茜と茶子が上った会議室同士が繋がっているだけで、他の部屋には壁に阻まれて移動はできません。

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