『ピッツァ! ピッツァ? シティ!?』18
[アカネ]チャコ、ナキさんに話す時間取れそう?
[チャコ]いけるよ~
コリちゃんを床に下ろして立ち上がるけど、足にくっついて離れないから、結局抱き上げ茶子と合流してナキさんの居る場所へ向かった。
「チャコさん、アカネさん、ありがとうございます。大変助かりました」
「ううん、楽しかったよ~」
「私も、用が無ければ続けたいくらい」
抱き上げたコリちゃんもだけど、他の子たちとも、もっと遊びたい。ナキさんにしたら遊びじゃないから、あんまり邪魔しても気を使わせちゃうだろうけどね。手伝えることがあったら手伝いたいよね。
「それで~、ナキさんに聞きたいことがあるんだけど~」
「聞きたいことですか? 何でしょう」
「ナキさんの襟のバッジは、孤児院の印なんですか?」
ナキさんを含め、ある程度の年齢をした子どもは、先輩たちが付けているバッジと同じものを付けている。先輩たちのピンバッジと違って、サイズが大きめで安全ピンを使うタイプだけど、それでもコリちゃんみたいな子どもには危ないから付けてない。
私も茶子も孤児院の印とは考えていないけど、聞き方としてはこれくらい遠回しのがいい。
「これは前に寄付をしてくれた方が配ってくださったものなんです」
「寄付ですか~、遊び道具とかですか~?」
「食べ物ですね。見たことない食べ物で子どもたちはすごく喜んでいました」
「見たことない食べ物?」
「はい。その方はパスタって言ってました。手で持てないので食べるのに苦労しましたけど。具材はトマトソースとチーズでピザと同じだったのですが、別物でしたね」
「パスタ……どんな形でした?」
「糸みたいな食べ物です」
[アカネ]食べ物って、ピザしか見たいことないよね?
[チャコ]パスタなんて初めてだよね~。
「子どもたちもうれしそうに食べていて、その時にみんなにバッジをくれたのです」
「なるほど~。そのパスタって、売ってるんですか~?」
「作り方は教えてもらいましたけど、売ってる所はみたことないです。それに、作るのも水が多く必要なので、気軽に作れないんです」
雨水を効率的に集めているとはいえ、この都市では水は貴重である。茹でるために水を大量に使うのは水道代をかなり使いそうだ。
「将来たくさん食べれるって言ってたよ!」
私たちの話を聞いていた男の子が、話に入ってきた。
「将来?」
「うん。パスタだけじゃなくて、他のも食べさせてくれるって言ってた」
「このバッジはその時の約束にってくれたんだ!」
別の子も話に入ってきた。バッジはその約束の印なのか。ピザ以外の食べ物を食べられるようになる……今のこの世界でできるのかな?
「ナキさんはそのことで他に話を聞いてたりしますか~?」
「そうですね……大昔はパスタが普通に食べられていたって言ってましたね。リゾ……なんとかって料理も復活させたいとか」
[アカネ]リゾット?
[チャコ]お米が必要だね~。
[アカネ]米を生産してるところなんて見たことないよね。
[チャコ]作りたいのか、作る予定が立ってるのか、どっちだろう~。
[アカネ]先輩たちは、料理のレパートリーが増えることに賛同した?
[チャコ]軍人さんが秘密にする話かな~?
[アカネ]ピザ以外を食べると出世できなくなるとか?
[チャコ]ナキさん見る限り、宗教的には問題なさそう~。
ズン!!!
茶子と話していると、いきなり地面が揺れた! 地震!? 空中都市だよね?
子どもたちが地面に座り込んでいる。揺れたのは一瞬で、長引くことはなかったけれど何が起こったんだろう?
「最近、なぜか揺れることが多いんです」
ナキさんは近くに居た子どもを抱え込みながらそう話してくれた。
「数日前に揺れたときは35番通りだけの揺れだったので、36番通りの工事があるから揺れているって噂だったのですが、最近はこの33番通りでも揺れるようになりまして。どうして揺れるんでしょう」
「昔はなかったんですか?」
「そうですね。20年近くこの辺りに住んでいますが、地面が揺れることはなかったです風の強い雨の日でも、家は多少揺れますが地面が揺れたことはありません。」
それって、かなり非常事態なのでは? 日常で起こっていないことがここ数日連続してあるって何かの前触れだよね。とはいえ、地震についてはこれ以上分かることはなかった。ナキさんも、他の修道士にとっても初の出来事だから前例もないため理由が思いつかないのだ。
そうして話しているうちに、時間が過ぎて午前中が終わろうとしている。ミテラさんのお見舞いに行くので、そろそろお別れの時間だ。
「あかねちゃん、もっとあそぼ~」
「ちゃこちゃん、いっちゃやだー」
嬉しいことに、子どもたちと仲良くなったから引き留められてしまった。特にまだ昼間なので、子どもたちはまだ沢山遊んでもらえると思っていたみたいだ。
用事があることを説明し、また遊びに来るからと約束して、なんとか納得してもらい出ることができた。孤児院を出るまで手を振ってくれるのが可愛い。
キックボードを取り出して病院へ向かう途中、ちょっと気になったことがあったので茶子に止まるようお願いしてその場所へ向かった。
「どうしたの~?」
「うん。ちょっとね」
想像通りなら……ここかな。
場所は、32番通りと33番通りの境目の場所。本来なら地面と地面がピッタリ重なって、平らな道路になっているはず。
「ズレてるね~」
「段差があるよね」
本来ピッタリとくっついている地面が、33番通り側が沈むようにしてずれている。大きな段差ではないけれど、普通ではない
「これが原因?」
「多分ね~」
地上の地震は、プレートがずれることで起きている。この都市も土台が重なって出来ていることを考えると、それがズレて地震が発生したんだろう。
とはいえ、なぜズレてしまったんだろう。
「これも、護衛艦と一緒の出来事かな?」
「だったら~、落ちるよね~?」
「「……」」
「各通りって、何で支えてるの~?」
「確かデリバリーで聞いたのは、プレートをロック板にして挟み込んで、アームで押さえるって聞いたよ」
「アームって事故多くない~? ビルと、護衛艦。これもそうなら3つ目だよ~」
確かに、それぞれ別の場所だけど、アームが事故を起こしてる気がする。いや、アームが壊れていたとしても、護衛艦の固定金属や各通りを支えるプレートがあるはず。それはどうなっているんだろう。
[アカネ]思い出したけど、最近プレート交換が頻繁だって言ってた。
[チャコ]それって~、ちゃんと普通のプレートに交換してるのかな~?
[アカネ]そうじゃなかったとして……誰に相談すればいいんだろう?
[チャコ]工事関係者だよね~。
[アカネ]だとすると、リーマトさん? 事故は絶対に困るよね。
[チャコ]または奥様かな~? 息子さんの命をどう思ってるか次第だけどね~。
[アカネ]……ちょっと怖いよね、それ。
[チャコ]そうかなぁ? ドラマでありがちじゃない~?
現状わかることは、何らかの理由で各通りの繋がりがずれていること。おそくらその影響で地震が発生していること。相談できそうな相手は、アンダーピールで工事を請け負うほど大きな会社のリーマトさんが候補にあることかな?
[チャコ]他の通りも見ながら戻ろう~。
31と32番通りの境目も同じくズレていたけど、30と31番通りの境目はズレることなくピッタリくっついていた。念のため、29と30番通りも確認してズレていないことを確認し、それからは真っすぐお店に立ち寄って私服に着替えてから病院へと向かった。
『ストーリーミッション:CLEAR!』
水不足ではないですが、水の単価が高めの街ですね。孤児の子たちにパスタがいきわたるように茹でると結構大変でしょうね。




