2月15日 一泊二日(蒸気)
アイツとの旅行を終えた僕は、合格報告も兼ねて久しぶりに学校に来た。今日は僕以外にも多くの人が来ていた。なんか、バレンタインチョコを渡しているのを見ると、昨日のアイツの話に全て納得がいったのだった。
ー2月13日ー
電車を乗り継いで、私たちは薄い曇り空の下、路地を歩いていた。まさか、こんなところに入るとはな。僕の想像を少し超えていた。
僕 「こんなところにあるの?」
アイツ「あるよ、だってスマホが指してるし」
とてもじゃないけど、こんな路地裏にありそうには見えないけどな。
アイツ「あっ、ここの角を曲がれば着くよ」
僕 「そうなの?」
アイツ「うん」
アイツの言われる通り進んでいくと路地裏の角にたどり着いた。そして、その角を曲がると肉まん屋が、昼下がりの静けさを打ち消していた。赤いのれんが揺れるたび、店内の光が一瞬だけ白く跳ね僕たちを眩しくさせる。
アイツ「わー、凄い」
僕 「凄いな、賑わってるね」
ガラス窓には蒸気の結晶が走る。僕たちは揃えた足取りで近づいてきた。黒いジャンパーを羽織った男性は、時折りポケットからスマートフォンを取り出しては画面越しに何かをしているようだ。もう一人はジャケットに、長袖シャツの首元だけが開けて見える。寒くはないのだろうか?
僕 「どうする?」
アイツ「えー、何がいいかな」
店内の棚には肉まんが整然と並び、蒸気のカーテンが前を通る者の視界をやさしく濡らしていた。店主の顔はまるで長い夜を越えてきた耐え性の証のように、穏やかだけど崩れない。僕は、二人を見ると、静かな微笑みを浮かべてしまっていた。「いらっしゃいませ」!!店内から低い声が、蒸気とともにやってくる。
アイツ「優斗は決めた?」
僕 「うーん、普通のやつでいいよ」
アイツ「普通のやつかぁ」
なんか、納得がいかなさそうだったけど。僕にはあまりよくわからなかった。
僕 「何にするの?」
アイツ「私は、普通のやつとチャーシューまんにする」
僕 「えっ?2つも食べるの」
何がしたいのか、さっぱりだ。
アイツ「いや、優斗のだよ」
僕 「おいおい、なんで僕のとるんだよ」
アイツ「えー、いいじゃん!!」
「チャーシューまんと肉まん二つください」。気がつけば、アイツは大きな声で注文しだしていたのだった。




