1月20日 誕生日
もう真夜中になりそうだ。外の星々を見ながら、僕は山川の誕生日に温かなメッセージを送ろうとしていた。なんて言う文章をかけばいいか全然思いつかない。「ハッピーバースデー!」。3分前に書いたけど、なんか違うなと思い、すぐさま"×"の文字を押して文章を消していく。颯爽と消えていく文字を見ていると、さっきの時間が何だったのかと思てしまう。
僕は、休憩しながら山川のことが頭に浮かんでいた。山川は、とてもいい奴。けど、これからはもう頻繁に会えなくなる。僕が選択した大学は、どちらも一人暮らしをしないといけない距離だ。もし、会うとなっても俺が実家に帰省した時ぐらいだろう。当たり前のことだけど、そうした時期が少しずつ近づいてきている。山川は、どう思っているんだろうか?僕は、スマホに打ちこんだ文章を確認して送信ボタンを押したのだった。迷ったあげく、送ったものは簡単なものにしたのだった。
宛先: 世田優斗
内容: Happy Birthday! 素敵な一年を過ごしてね。また、会える日楽しみにしてる!
時刻は、もう11時32分。スマホのアプリでラジオをかけることにした。この時間帯のラジオはあまりいいのがない。以前録音されていたラクユーのラジオを聴くことにした。今聞いているのは、11月8日の収録分みたいだった。ラクユーのトークを聞いていると、ラジオゲストは、Smileyellowという女性アイドルグループだった。昨年の年間優秀賞のグループ。アミとナナカの二人が来ていた。私は、ラジオの声量を調整して、スマホを置いた。「リスナーの皆さん。今日は、Smileyellowの二人にお越しいただきながら、楽しい朝を迎えております。皆さんは、どういう朝ですかね?今日も楽しんでくださいね」。収録している時は、朝なのか。こっちは、正反対の夜だ。そんなことを考えていると、山川から返信の通知がきたのだった。速いな、山川。
シンバルの音が聞こえる。アップビートなリズムがラジオから流れているのを聞きながら、僕は山川の返信を見たのだった。
山川は、とても嬉しかったのか音符マークや絵文字マークがたくさんついていた。僕は、素直に嬉しいと思えなかった。僕と同じように、たくさんの人から連絡はきているはず。特別な連絡でないことくらい、僕でもわかる。それでも、山川に喜んでもらえたらという思いで送ったのだった。