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悲劇の英雄が死ぬまでの長い長い物語  作者: サン
第一章 雑用時代

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第零話 追憶


前作の過去編なため前作の『神話の戦士と今の勇者』を読んだ後に読むことをお勧めします。

一応、これを最初に読んでも大丈夫なように書く予定です。


俺は人類を憎むアンデッド……なはずだ。


今、雪の降る中俺はとある人間と戦っていた。

相手は黒髪の少女だった。


カタナという武器片手に俺に懸命に立ち向かっていた。

回復魔法も使えるらしくどれだけ傷つけてもまた立ち上がる。


そしてカタナを持っているその姿にはどこか見覚えがあった。


どこで見たのだろうか。

彼女とは初対面のはずだ。


最初はこちらが圧倒していた。


だが少しずつこちらの動きに慣れてきていた。

どれだけ攻めても倒しきれない。


俺は人類が憎い。

俺たちを貶めた人間が憎い。

俺たちを嘲笑った人間が憎い。

俺たちを傷つけた人間が憎い。

俺たちを迫害した人間が憎い。


だが、彼女には憎悪以外の感情が出ていることに気づいた。


そもそも俺は誰だろう。


この体を動かしているのは俺では無い。

そして憎悪を抱いているのも俺では無い。

どれも俺じゃない誰かのものだ。


ならばこうしてぼんやりと考えている俺は誰だ?

俺は何者だ?

俺は……なぜここにいる?

名前も、思い出も何もかもが思い出せない。


しばらくして戦いは苛烈になっていった。

だが俺から見ても俺の体……といっても俺のかは分からないがひとまずこの体の動きは悪い。

ただ誰かの真似をして無理矢理動いているように見える。

話から聞くと人格も褒められたものではないらしい。

にしてもこいつのことも俺は知らないはずなのにこいつのことを俺は憎んでいる。

それも心の底から。


こいつが彼女を傷つけるたびにこいつを焼き尽くさんばかりの怒りを覚える。


しばらくして彼女の剣がこの体の心臓を貫いた。


その時、俺に意識が覚醒するかのような感覚が襲い、激痛が走った。

次々と色々な景色が頭の中をよぎる。

これは自分の記憶を思い出しているのだと気づいた。

自分は何者なのかも分かる。


そしてその記憶は楽しくもあり、悲しくもあるはるか昔の記憶だった。


序盤はかなりテンポよくいきます。


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