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念願かない
組手稽古が始まると先輩は様々な蹴りを出し、新入部員を翻弄した。
半飛び足刀で蹴られ、壁に吹っ飛ぶ者。
回転後ろ蹴りを脇腹に入れられ悶絶する者。
前蹴りを出し、足指を先輩の裏拳で叩かれる者。
面を付けて無いのに廻し蹴りで顔面を蹴られる者。
殆どの新入部員は立っているのが、やっとの有り様だった。
平野は主将から「攻撃して来い」と言われ、蹴りを出したが、捌かれて当たらない。
廻し蹴りを出したら、足の甲を肘で叩かれてしまった。
「痛っ」と平野が言うと主将は「廻し蹴りのスピードが遅いし、引きが無い。廻し蹴りを出す時は注意しろ」と言った。
痛い思いをしたが、平野は楽しかった。
永年、他のスポーツをやりながら空手が出来る日を待っていた。
稽古はキツかったが、ようやく念願かない喜びと充実感を平野は感じていた。




