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朝倉の退部
キャンパスに木枯し吹く頃も拳法部は激しい稽古を続けていた。
依然、朝倉は道場に姿を表さなかった。
ある日、稽古が終わり帰途についていた平野は突然、「先輩」の声で振り向いた。
そこには、朝倉と女性が立っていた。
「稽古に来ないから心配してたぞ」と平野が言うと朝倉は「すいません」と謝った。
「やはり、退部させて頂きます」と朝倉が言うと「そうか。俺は来る者は拒まず、去る者は追わず、の主義だ。だが、退部届けは出せ。俺が預かる」と平野は言った。
「はい。明日にでも、お届けします」と朝倉は言い、一礼して、女性と去って行った。
二人の後ろ姿を見て、(しょうがないな)と平野は思った。




