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いくぶん、朝夕の風が涼しくなると稽古は楽になって来る。
それでも稽古が終わると胴着は濡れ雑巾の様になる。
そんな折り、一年生の朝倉が平野に相談があるとやって来た。
朝倉は眉目秀麗で品が良いだけでなく、根性もあるナイスガイだった。
「どうしたんだ。朝倉」平野が聞く。
朝倉は「先輩。実は女が出来まして」と切り出した。
「それは目出たいな」と平野が言った。
「ところが空手辞めろと言い出して」朝倉が言うと平野は「う~ん」と考え、口を開いた。
「自分で判断するしかないが空手を続けても良い様に説得してはどうか?それでも辞めろと言うなら大した女じゃないな。と俺は思う」と平野は答えた。
「わかりました」と言い、朝倉は道場から出て行った。
平野は、その後ろ姿を見て複雑な気分になった。




