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入部
昭和の時代
春
広島
桜
修道大学
武道場
拳法部の看板の前に立つ学生
「すいません」
奥から空手着を着た男が玄関に出てきた。
「何の用だ」男が学生に聞くと「入部希望なんですけど」と学生は答えた。
「珍しい奴だ。自分から入部を希望してくる奴は、お前が初めてだ。空手をやった事あるのか?」
「ありませんけど、見た事はあります」
「ふうん。でも見るのと、やるのでは大違いだ。稽古は想像以上にキツイぞ」
「はい。頑張ります」
「よし。入部を許そう。お前の名前は?」
「はい。平野と言います」
「よし、平野。古い空手着があるから着替えて、早速、今日の稽古に参加しろ。中に入れ」
「わかりました。失礼します」
男は平野を連れて、武道場の中にいる空手着を着た男達の前で「コイツは平野と言う。自分から入部を志願してきた変わり者だ。皆、可愛がってやれ」と言った。
皆が「平野。頑張れよ」と言い、歓迎した。




