表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
109/124

509-54 魔法の素養

明日上げるって言っておきながら、投稿失敗してたじゃないの!!

……申し訳ありませんでした_(:3」∠)_

 ともあれ今日はもう夜なので、詳しいことは明日以降に、と話をまとめて、ミリアちゃんには客間で休んでもらうことにした。

 簡単に家の中の説明をしてあげて、お風呂に入ってもらったり、寝巻き代わりにわたしの服を貸してあげたり、一日の終わりに向けて準備をする。

 そしてそろそろ寝ようかというときになって、ちょっと問題が起きた。

 どうやら、ミリアちゃんはひとりで寝るのが怖いらしい。本人がそうはっきり言ったわけではないけれど、要はそういうことだと思われる。


「いつもは、寝るまで人がいたから、同じが良い……」

「なんじゃ小娘、泊りなしで来れるくらいには近場から来とったんか」

「ここまでは教会で……あ、か、関係ないでしょ……」


 ミリアちゃんが少なくとも1日以上は掛かるところから来たらしいことを覚えておきつつ、じゃあどうしようかと考える。

 と言っても、手っ取り早いのは一緒に寝てしまうことなのだけれど……。


「一緒に寝るにも、わたしもいつもはエイラちゃんと一緒に寝てるから、さすがに3人一緒に寝るには狭いよね……」


 1日、2日ならなんとかなりそうだけれど、それ以上となるとちょっとつらいかもしれない、と思っていたら、そばにいたエイラちゃんがわたしのほうに振り向いた。


「……オータ様と一緒に寝ていただくのは如何でしょうか」

「……いいのかな?」

「良くあるか!」


 ちょうど名前が出てきたタイミングで、ヤヨイちゃんが長湯から上がってきた。

 どうやら聞こえていたようで、案の定、嫌そうな顔をしている。

 そこに間髪を入れずにエイラちゃんが迫る。


「お願いします」

「いや、何で儂が」

「お願いします」

「嫌じゃと──」

「もう工房のお手伝いしませんよ」

「……」

「お願いします」


 あからさまに苦い顔になったヤヨイちゃんだったけれど、エイラちゃんの圧に負けたのか、ふん! と鼻を鳴らして身を翻した。

 そしてわたしたちに背を向けたかと思ったら、振り向いてミリアちゃんの方へ睨むように目を向ける。


「おい小娘! こっちの寝台は寝づらくてかなわん。儂の部屋のベッドで寝るから行くぞ!」


 そう言って、ずかずかと廊下の奥の通用口へ向かって行ってしまった。

 ミリアちゃんはちょっと戸惑っていたけれど、わたしは大丈夫だと思ったので頷いていたし、エイラちゃんもついていくように促していたので、少し遅れてヤヨイちゃんについて行った。



 翌日、ちょっと風はあったけれど天気も良かったので、ヤヨイちゃんの工房の屋外作業場に集まって、まずはミリアちゃんの今の魔法の実力を確認してみる。

 なんでもいいので、何か使える魔法を使って見せて、と言ってみたのだけれど……。


「…………い」

「ん?」

「なにも……使えない……」

「……んぇ?」


 ……ちょっと詳しく訊いてみたのだけれど、ミリアちゃんは一切の魔法が使えないとのことだった。

 ただでさえ魔法の教え方には覚えがないのだけれど、まったく魔法が使えないという人に魔法の使い方を教えるなんて、相応しい方法が思いつくはずもなく……文字通り頭を抱えそうになっていたところでヤヨイちゃんに腰を叩かれた。


「そも素養からしてないんじゃないか?」


 魔法の素養というのは……王都の魔法学院にいた時に教わったような。魔力を微かにでも操れる〝素養のある〟人は、全体の7割とかだったっけ……。

 残る3割の人には魔法の素養はなくて、基本的に素養のない人はどれだけ訓練を重ねても魔法が使えるようになることはないとかなんとか、マリューに教わったような気がする。


「あれ、でもミリアちゃんのご両親は魔法が得意って……?」

「……サクラ様、確かに両親ともに素養がある場合はその子も素養があることが大半ですが、僅かながら例外もあると言います。それに……」


 エイラちゃんの説明に、へぇ、と頷いたのだけれど、直後エイラちゃんが口ごもった。

 ん? と思っていたら、ミリアちゃんが叫ぶ。


「あ、あたしは間違いなくお父さまとお母さまの子供よ!? 目元と鼻筋はお父さまによく似ているって言われるし、口元と性格はお母さまにそっくりってみんなから言われるんだから!」

「……親父さん大変そうじゃな」


 ヤヨイちゃんがぼそりとつぶやいた。

 エイラちゃんが少し口ごもった理由に納得しつつ、でもここからどうしたものか分からなくて結局頭を抱えてしまう。

 ……そうしたら、改めてヤヨイちゃんにひとつ、提案をされた。


「ほれ、なんか魔力の流れで身体を診るような魔法があったじゃろ……。あれの応用で、多少なりと魔力を操れるかくらいは分からんのか? それでどれだけ魔力を起こそうとしても全く魔力の流れができなんだら、そん時は諦めるしかないってことじゃろ」

「んー……? あ、《|フィジカル=マギスコープ《身体透視》》のこと?」


《|フィジカル=マギスコープ《身体透視》》の魔法は、体内に流れる魔力の流れを読み取って不調箇所を見つけたりするのに使う魔法だ。

 確かに魔法を使うときには体内に魔力が流れるようなイメージがあるし……素養があって自発的に魔力を操れるなら、その動きで素養の有無が分かる……のかもしれない。

 他に方法も思いつかないので、試してみることにする。

 まずはミリアちゃんに魔力を操るイメージ──こちらに来たばかりのころに買った〝魔法入門書〟を持って来て、その序論の引用──をしてもらって、頑張ってもらっている間にわたしも魔法を使う。

 確かこの魔法をマリューに教わったときには、こちらから魔力を流し込んでその流れを見ていたけれど、今回の趣旨的にわたしから魔力を流し込むと紛らわしいので、その部分の詠唱と宣言は省く。


「えーっと……。『かの者の身体に流れる魔力、夜空の星の光の如く浮かび上がらせ我の知る所とせよ』……、《|フィジカル=マギスコープ《身体透視》》」


 発動から、ミリアちゃんの身体に流れる魔力にじっと集中する。


「……?」


 ……何も感じない?

 もっと集中して感じ取ろうとしてみる……。


「…………」


 ……やっぱり何も感じないような気がする。

 これはつまり、ミリアちゃんには素養がないということなんだろうか、と思う。

 ただ、それを伝えるのは簡単だけれど──むしろ、伝えるにも簡単にならざるを得なくて、それはとても酷な気がして、わたしもすごく気が滅入ると言うか……。

 でもそれが事実なら伝えないわけにもいかなくて、責任をもって伝えると言うのなら、魔力の流れを感じないことをはっきり確認しないといけなくて、……なんて考えていたら、そもそも、本当に魔力の流れがないのか、ちょっと不安になってきた。

 ……実はわたしの勘違いだったりしたりするのでは?

 この魔法を教わったときには、自分から流し込んだ魔力を読み取っていたのである。そしてわたしは、その方法でしかこの魔法を使ったためしがない。

 そもそも他人の魔力の流れなんて感じ取れるものなのかな……?

 それすらも分からなくなってきて、一旦魔法を中断して、ちょっとエイラちゃんに声を掛けた。


「……如何なさいましたか?」

「うん、ちょっとね……。エイラちゃん、ちょっと魔法を使ってみてくれない?」

「……? ええ、承知しました」


 今度はエイラちゃんに対して《|フィジカル=マギスコープ《身体透視》》を発動させて、続いてエイラちゃんが簡略化した詠唱をする。


「『火種を』《ティンダー(点火)》」


 火種と言いつつ、そこそこ大きな灯火がエイラちゃんの両手の間に浮かび上がった。

 ……と、それを見ていたミリアちゃんが驚きの声を上げた。


「すごい、空中に火を灯すなんて……!」


 ミリアちゃんが向かい合っているわたしたちの間に飛び込みそうな勢いで駆け寄ってくる。

 そのまま灯火に突っ込むかと思って驚いたものだから、わたしの魔法は集中が乱れて半端なところで霧散してしまった。

 でも……うん。


「ねぇ、ミリアちゃん。もう一度入門書の通りに魔法を使おうとしてみてくれる……?」


 再度、《|フィジカル=マギスコープ《身体透視》》を発動させて、この上ないくらい、真剣に集中して魔力の流れを読み取ろうとした。

 エイラちゃんに協力してもらってはっきりしたけれど、他人の魔力もきちんと認識できた。その流れも、自分で魔力を流したのと変わらないくらい、綺麗に読み取ることができたのだ。

 それを確認した上で、改めてミリアちゃんの魔力の流れをじっくり観察して、確信を持ててしまった。


 どうやらミリアちゃんには、魔法の素養はまったくないみたいだった……。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ