悲劇は唐突で、救いもまた唐突で
想いを伝えてすぐに俺はリベルと唇を重ねた。お互いに貪るように初めてのキスを、相手を求めた。脳がとろけそうになるほどの甘い甘いキスだった。ようやく離れた時には名残惜しくてはもう一度したくなった。何度も、何度もリベルが欲しくなった。
「ずるいですねお兄ちゃんは」
「リベルが可愛いから悪いんだ」
「なんですかそれ。ふふ、これで私もタツのお嫁さんですね」
「嬉しいか?」
「はい!とっても」
本当に嬉しそうに笑うリベルの頭を撫でてやる。何度もやっているが全然飽きない。この気持ちはどれだけ思ってなくなることはない。とても素晴らしい気持ちだ。
「今にしてみれば不老も悪くないな。リベルとずっと一緒に入れる」
「そうですね。私の体は育ちませんけどね」
「そんなことはどうでもいいんだ。リベルがリベルだから好きなんだからな」
俺ってこんなに口説きレベル高かったっけ?と思わずにはいられない。リベルがデレデレである。可愛い過ぎるリベル。俺の嫁リベル。いい響きだ。自慢したくなる。全国のみなさんに紹介して回りたいレベルで。
「まぁさっきから口に出ていますよ?」
「まじか」
「はい!」
キュッと抱きついてくる。そろそろ営んでもいい気がしてきた。だって、相思相愛だし。あーでも。
「まずは一泡吹かせてやらないとな」
「私は今のままでもいいのですけど」
「まぁね。でも目標がないとつまらなくなるだろ?それに俺はリベルに誓ったことを取り下げたくはないんだ」
「なら、私も新たに誓ってもいいですか?」
「何だ。突然」
「私、タツのお嫁さんになります。だから、ずっとそばにいてください」
ああ本当に可愛い。とてもいい子だ。その誓いを組んでしっかりと言葉にしよう。
「ああ、分かった。ずっと一緒にいよう」
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そして、唐突に空間が裂かれた。
「えっ」
「リベル!」
空間と空間が裂かれて俺とリベルを隔たてる。俺は必死に何とかしようとしたがどうにもできない。絶望的な壁、まるで世界を隔たてるかのようにある裂け目は強固でどうにもならなかった。
急に声が聞こえる。あの、忌々しい声が。
『ふははは。好いた女子と別れる気分はどうだ?ワシもちょうど女子を食べたかった頃じゃ。お前の前で犯してやろう。そして、細切れに切り裂いて殺してやろう』
俺は怒り狂った。何度も壁を殴る、蹴る、殴る、殴る、蹴る、ど突く、ど突く、殴る。けれど、壁は壊れない。二人の距離は縮まらない。そして俺は咆哮した。怒りの声が空間を震わす。だが、それだけだった。
「くそ神ぃぃぃぃぃい!!、許さん!許さねえぞ!」
『ふははは。貴様如きが我が作った結界を壊せるはずがなかろう。今、目の前で絶望を繰り広げてやる。えんえんと泣きながらお前の名を呼ぶ女子がどう壊れて行くのか楽しみで仕方がない』
神が得意気に現れた。笑いながら。その容姿を目に焼き付ける。白い髪にじじいの顔、まるで仙人のようなその姿を目に焼き付ける。
俺の中で一つの種が芽吹いた。そして突然、新たな力が入り込む。嵐のような力に全身から血を吹き出す。危うく気絶ほどの量を吹き出して止まる。そして、理解した。新しき力の意味を。
空間が白に染まった。
『その力は!貴様、憎き邪神の力を使いよったな!』
誰かが何かを叫んでいる。俺には何も認識できなかった。だが、敵は認識できた。黒くして白くして灰色の力を虚空へと解き放つ。矛盾した色の正体は神の力。かつて神により葬り去られたはずの絶対正義の力を俺は解き放った。
『己!貴様だけは殺してやる!絶望の淵に叩き込み、何度も何度も心を砕いて紙屑のようにぐちゃぐちゃにして殺してやる!覚えていろぉぉぉぉおおお!!!!!!!!』
喚く神がぼろ雑巾のように傷ついていく。そして、空間から去った。空間の裂け目は消え去り、絶対正義の力は効力を失った。
「お兄ちゃん!」
「ああ、リベル。良かった」
リベルの姿を見て安心して眠りについた。夢の中で待っているであろう絶対正義と会うために。




