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宮野君の生徒会ハーレム日常譚  作者: くるみや


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40/40

第40話 姉対弟

 おはようみんな。


 現在時刻は朝の九時半。本来なら大遅刻確定の絶望的な時間に起床した訳だが、俺はまったく気にしていない。


 なぜなら、今日は学校が休みなのだ!学園祭の振り替え休日というやつだな。


 だから、俺はこの時間に起きて尚、優雅に二度寝をしようとしている。当然だ。それに俺はまだ体調が悪いんだ。頭が痛てえんだ。


 さよならベイベー。また俺が起きるその時まで、アデュー!


「かーくんおはよー!お姉ちゃんが起こしに来たわよー!」


 来んと思った時はすぐに来た。


 寝起きの脳に刺さる高音が、部屋中に響き渡った。俺の頭痛はこの声のせいなのかもしれない。


 俺が休みということは、同じ学校に通う姉も当然休みなのだ。


 全く失念していたぜ。


「…」

「狸寝入りしたってダメよー!ほーら、起きなさーい!」


 掛け布団にくるまって身体を丸め全力で抵抗する。


 しばらくすると、部屋には静寂が訪れた。


「いなくなったか…」

「隙アリー!そりゃー!」


 姉はさながら忍者のように音と気配を消して潜んでいたのだ。そして、俺が頭を出した一瞬を突いて思い切り抱き着いてきた。


 起こしに来たのか、抱き着きに来たのか。答えは明白だろう。


「ちょっ、姉さんやめろって!」

「んーん、かーくんが起きるまで離してあげないんだからね!」


 しかし、これは罠である。


 ここでもし、俺が「起きる」と言っても抱き着くのをやめないだろう。


 家での姉は、一度抱き着いてきたら満足するまでは強靭な力で俺を掴んで離さない。


 そして朝、起こしに来ることはこれまで何度もあった。常にチャンスを伺い、隙を見せた瞬間に飛びつく。これまで何度も喰らってきた。


「かーくんが起きるまで離してあげないんだからね!」という言葉、何度聞いたことか。最初の頃は素直に「起きるから離して」などと言っていたが、言っても離してもらったことは無かった。


 じゃあどうするのか。姉が満足するまで待つしかないのか。


 否!今の俺には切り札がある。この姉をも黙らせ退ける武器がな!


「あの、姉さん」

「ん~どうしたの~?」

「頭が痛いから離れてくれないかな。薬飲みたいから」


 そう!今の俺には「頭痛」という切り札があるのだ!


 思った通り、姉は静かになり、ゆっくり俺から離れた。


「ちょっと待っててね」


 そう言って姉は俺の部屋から出て行った。


 勝った。ついに俺は姉を撃退したのだ。これまで為す術なかった姉を、ついに引き剝がしたのだ。


 デバフだと思っていた頭痛がまさか最強武器だったとはな。


 今日は良い日になりそうだ。そう思っていた。


 この時までは。


 俺がベッドから降りようとしたと同時に、部屋のドアが開いた。


「かーくん♡お姉ちゃんが看病してあげますよ♡」


 姉は静かに部屋に入ってきた。手には水と薬と冷えピタを載せたトレー。


 言動こそ静かだが視線はとても強く、鎖で拘束されたかのように動けなかった。「私が看病する」という強い念なのだろうか。


 姉から薬と水を渡され、言われるがまま飲む。


「さあ、お布団に入りましょう!お姉ちゃんが寝かしつけてあげますよ!」


 布団に入ると、額に冷えピタを貼られた。


「とんとん、とんとん。はやくげんきになーれ♡とんとん、とんとん。いたいのいたいのとんでけー♡」


 薬の作用と姉の寝かしつけにより、俺は眠りについた。


 今日もまた、姉のされるがまま敗北した。


 あまりに上手くいきすぎだと思ったのだ。これも罠だった。俺が姉に勝てる日は来るのだろうか。

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