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宮野君の生徒会ハーレム日常譚  作者: くるみや


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第1話 男子一人の生徒会

 多くの人が新生活への期待を寄せる春。俺もそのうちの一人である。義務教育を終え、一段階自由度の増す高校生。ワクワクする気持ちを胸に家を出る。慣れない通学路を自転車で駆け抜け、学校へと向かう。


 駐輪場に自転車を停め、昇降口へ向かおうとすると後ろから不意に肩を叩かれる。


「よう、おはよう」


 俺に挨拶してきたのは、中学からの友達の今野蒼(こんのあお)だ。残念ながら同じクラスではないものの俺の中学からは結構な人数がこの高校に進学しているため、話せる人は俺のクラスにも何人かいるだろう。雑談しながら俺達の教室のある四階まで上がり、またな、と別れを告げ自分の教室である一年二組へ向かった。


 ここ山梨県立西高校は一学年二百人程度の普通の公立高校である。一クラスはだいたい四十人くらいで、見た感じ若干女子の方が多い。地元では進学校として名が通っており、県内に住んでいる祖母に西高へ進学することを伝えると大喜びしてくれた。勉強を頑張ってよかったと思えた。


 今日は入学式の翌日であるが、「入学おめでとうテスト」なるものがあるらしい。まず自己紹介とかそういうのからやるだろと思いつつ教室へ入り、自分の席に座る。残念ながら話せそうな知り合いはいなさそうだ。


 テストまでまだ時間があるのでスマホをいじっていると急に声をかけられた。


「お、おはよう。宮野(みやの)君?だよね」


 声の主は隣の席の女子だ。綺麗な黒髪に整った顔立ちをしている。俺の出会ってきた人たちの中でもかなり上位に食い込む美少女だ。俺は彼女の名前を知らないが、なぜ彼女は俺の名前を知っているのだ。


「おはよう。えーっと、、」

「あっ、自己紹介がまだだったよね。私の名前は西園寺風香(さいおんじふうか)。よろしくね!」

「よ、よろしく、西園寺さん。俺は宮野かなめ。どうして俺の名前を知っているの?」

「教室の前の座席表に書いてあったのを見たんだ。私、このクラスにあんまり話せる人いないんだよね。だから、まずはお隣の人とお話してみようかなーって」

「なるほどね。俺も友達はこのクラスにいないしどうしようかなって考えてたところなんだよね」

「じゃあ、私と友達になってくれますか、、なんていきなりすぎるかなあ」

「そんなことないよ。むしろこっちからお願いしたいくらいだよ。よろしくね」

「うん!これからよろしく!えへへ」


 こうして俺は隣の席の美少女と友達になった。高校生活の出だしとしてはかなり好調だろう。


 もう少し西園寺さんと話そうとしたところで担任の先生がやってきてテストについて話し始めた。一気にテストへ気持ちを持ってかれ、憂鬱な気分になりながらその後のテストを終えた。


 今日はテストで一日終わり一年生は下校するが、俺にはまだ行かなければならない場所がある。生徒会室である。今日の放課後、生徒会に入りたい1年生向けの説明会というものがあるらしい。俺は中学三年間生徒会に所属していた。はじめは「内申点のため」に入ったが、いざ活動してみると意外と楽しかった。一般生徒では体験できない行事の運営や諸活動は特別感があり面白いものだった。


 だから俺は、高校に入っても生徒会に入ろうと入学前から決めていたのだ。意気揚々と説明会会場である生徒会室へ行くと


「お、かなめじゃん」

「会長だ、よっす」

「もう会長じゃねえよ」


 俺が会長と呼んだこの子は宇垣悠月(うがきゆづき)。俺の中学校で生徒会長をやっていた女子だ。彼女も生徒会をやるらしい。とりあえず見知った顔がいると安心する。彼女は俺の知らない女子と話していた。彼女の後ろの席に座ると隣には見覚えのある顔の女子が座っていた。


「あ!宮野君だ!宮野君も生徒会興味あるんだね!」


 なんと隣には西園寺さんがいた。


「うん。西園寺さんも生徒会に興味あったんだね」

「うん!宮野君も一緒かあ、えへへ」

「ん、かなめその子と知り合いなのか?」

「同じクラスで隣の席なんだよ。今日友達になった」

「なんと。うちのかなめをよろしくね」

「いつから悠月のものになったんだよ」

「えっと、、宮野君、その子は、、」

「紹介するよ、俺と同じ中学の宇垣悠月だ」

「どうも、一年四組の宇垣です」

「よ、よろしく、宇垣さん。私は西園寺風香」

「西園寺さんか。よろしく」


 友達の友達が話しているのを見るとなんだか気分が良くなるな。そう思っていると。


「一年生の皆さんお集まりいただきありがとうございます。私は生徒会担当の後藤です」


 と教師が話し始めた。話を聞きながら周りにいる人を眺めると、俺はあることに気づく。


「男子俺しかいなくね?」

「そうみたいだな。」


 周りにいる人数を数えてみる。悠月と西園寺さんと・・・周りには七人。全員女子だ。まじかよ。


「私からの説明は以上だ。生徒会に入ろうと思った者は前に名前を書きに来てくれ」


 うーむ、男子は俺だけとなると少々やりづらいなと考えていると。


「宮野君!名前書きに行こ!」


 西園寺さんがそう言ってきた。俺は今、とても悩んでいる。男子一人はさすがに、、気まずさもあるしなあ。どうしたものか。


「宮野君?どうしたの?もしかして、生徒会やっぱり入らないの?」

「ちょっと待ってくれないか。西園寺さん」

「そっかあ、宮野君と一緒ならとっても楽しいと思ったんだけどなあ」


 そう言ってとても残念そうな顔で俺の方を見つめてくる。美少女がそんな顔で見つめてきたら、俺としてもとてもいたたまれない気持ちになる。


「よし、やるよ生徒会。行こうか西園寺さん」

「ホント!やったー!」


 西園寺さんはとても喜んでいた。どうしてそんなに喜んでいるかは分からないが、とりあえず彼女が笑顔になって良かった。


 どうやら、今日説明会にいた人全員が生徒会に入るそうだ。とりあえず各々でLINE交換をしてグループLINEを作った。今日だけで六人もの女子のLINEをゲットしてしまった(悠月とは既に交換済)。まだ高校生活始めて二日目だぞ。さすがに上手くいきすぎているな。


 説明会を終えて、帰宅中ふとこんなことに気づく。


「これってもしかして、ハーレム?」


 これからの学校生活を想像し、浮ついた気分になりながら俺は自転車を漕いだ。


 この時の俺はまだ知らない。この生徒会が、俺の高校生活をとんでもない方へ進めていくことを。

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