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第29話「私の耳年増スキルもまだレベルが低かったようだ」

 ミリーに、掲示板での魚屋ミッキー高橋さんの反応のことを直接尋ねた。白目になった。私の耳年増スキルもまだレベルが低かったようだ。

 これはあれかな、リアル彼氏いない歴=年齢の乙女である私としては『不潔よ!もう話しかけないで!変態!変態!』と高橋さんを罵るべきかな。うん、ダメだな。心の内を見透かされそうだ。

 とにかく、掲示板はやはり見ないに限る。いつも何かを失っていくようだ。というか、半年以上前に覗いた時と比較にならないほど私の事しか書かれていない。わかってるさ、自業自得だよ。


「高橋さんに貸してないわよね?制服」

「ミリー、あなたこそ」

「私は自前で…きゃっ」


 うわあああああ、聞くんじゃなかったあああああ。

 もうこの話題はよそう。『フェルンベル・ワークス・オンライン』は全年齢指定です。…一部の宿屋以外は。



 映画『フェルンベル・ワークス・オンライン』第一回試写会が、私の通う大学で行われることとなった。

 ねえ、なんの冗談?ねえねえ。


「自由な学風のようですし、春香さんも既に気心の知れた場所ですので、ちょうどいいかと思ったんですが」

「…単純に、恥ずかしい。それに、ゲームの映画なんて」

「学長も二つ返事でしたが」

「学長も!?」


 個人用VRローカルサーバの寄贈がこんな形で跳ね返ってくるとは。恩を仇で返すとはまさにこのこと。え、向こうは仇と思っていない?なぜに。



「あたしも観に行くわよ!講義すっぽかして!」


 雑魚討伐中にミリーがやってきて、いきなりそんなことを叫んだ。


「ズル休み、ダメ、絶対」

「あ、健人も行くって。希望進学先の見学だって」

「え」


 お馴染み露店地域。


「リーネからこんなこと聞いたんだけど」

「ああ。これでようやく先輩の大学生活が拝めるぜ!」


 私はお地蔵様か何かか。

 それとも、えっと、健人くんは、まだ私のことを…。


「えっと、ミリーは何も言わないのか?その、君が春香のことをそんな風に…」

「そりゃあ、利害が一致してるから」

「利害!?」

「あ、もしかして俺に妬いてるのか?心配するな、そういうんじゃないから」


 やっぱり私は拝み地蔵か。ダメだなあ、私はもう健人くんのことを…違うよ!私がフッたんでしょうが!なんでこういう流れになるのよ!



 試写会当日。

 大学の講堂は大変な賑わいだった。あ、入口付近に露店が出てる。学祭か何かですか。もしくは、FWO第1エリア。

 ていうか、なんで講堂なんだろうなあ。まあ、これだけの人数が入れるのはここくらいだろうけど。でも、試写会というイメージをこれでもかと粉砕してるんですが。


「春香ー、ひさしぶりー!」

「美里、苦しい。というか、2週間ほど前にも、会った」

「あの時は田中さんに変なこと言われてゆっくりできなかったんだよー。ああ、アバターじゃない春香…!」

「先輩、諦めて下さい。姉貴、本当に心待ちにしていたんだから」


 なるほど、私は姉弟のお出かけのダシか。

 ん?そうすると、もしかして…。


「春香ちゃーん、お刺身食べてかなーい?」

「うお、リアル魚屋1号店!」

「ミッキー高橋さん、すごいすごい!」


 確かに凄いが、高橋さん、電器店の仕事は?それとも何?もう永久就職したの?


「年休に決まってるじゃない」

「そうですか…」


 ある意味、大人の対応をされた。しかも、ちゃんと兼業許可やら営業許可やらをとっていた。普通に凄かった。


「春香くん、今日は楽しませてもらうよ」

「あ、はい、伊藤先生。私が言うのも、変ですが。…あれ?もしかして、奥様ですか?」

「ああ。せっかくなのでね」

「こんにちは、春香ちゃん。あら、ごめんなさい、『ちゃん』付けで。夫によく話を聞かされていたので、つい」


 おお、伊藤先生の奥様も常識的な人だ。ウチの両親がはっちゃけ過ぎ(死語)とは言わないけどさ。

 …え?伊藤先生も田中さんのように独身じゃなかったのかって?誰よ、そんなこと言ったの。こんなステキなおじ様が独身なわけないじゃない。失礼だなあ。


「息子と娘も観に来たいと言っていたが、さすがにそんな理由で学校を休ませるわけにはいかなくてな」

「お二人とも、中学生、でしたっけ」

「ああ。それで、その…」


 ああはい、サインですね。伊藤先生のお子さんのためなら全然おっけーですよ!


「あの、僕たちは…」

「事務所を通して下さい」


 後ろにいた民族資料研究会、民資研の先輩方にはそのようにお伝えする。伊藤先生は私の秘密を全部知ってるからね、一蓮托生の報酬だよ。ていうか、田中さんにも許可はもらってる。


「あたし達は…」


 何枚欲しいのよ、美里に健人くん。



 試写会は滞りなく終わった。

 ああ、渡辺(なにがし)絡みの事件が起こったわけじゃなかったという意味ですよ、もちろん。

 整理券のダフ屋摘発が事件と言えば事件だったかな。いや、整理券は別に枚数制限していたわけじゃなかったんだけど、なぜか整理券を何枚も欲しがった輩が多かったらしい。なぜに。


「良かったわー。ケインくん、本当に美形ね」

「そうだなあ。私のアバターも少し改造してみるかな?」


 あ、ウチの両親も観に来ました。ふたりともやっぱり年休とって。恥ずかしい…。

次回から不定期&今回のようなほのぼのダラダラ回がしばらく続く予定です。第二部ラストに向けたタメといいますか(不穏な発言)。

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