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第28話「まさか恋人や夫婦扱いにもなっているアバター同士が…」

【完成形】FWO総合スレPart2810【春香様】


236: 名無しの呪術師

我らが春香様は完成された

皆の者、崇めろ


237: 名無しの魔導師

>>236

信奉スレ住人は出てけヽ(`Д´)ノ


238: 名無しの重騎士

>>237

アンタ感激してたじゃん


239: 名無しの魔導師

>>238

春香は愛でるもの

これ常識


240: 名無しの門番

>>236

>>239

違いがわからん

コーヒーに入れるクリームとミルクの違い程度に


241: 名無しの商人

みんな許してやってくれ

高校時代の後悔が後悔でなくなるんだ

俺も…俺も…


242: 名無しの八百屋

ああ、確かに高校の制服ってのはいいよな

元のアバターが紙装甲の初心者装備なのをうまく利用したものだ


243: 名無しの釣り師

>>242

アバターが制服って、春香ちゃんの趣味?


244: 【運営No.00】

>>243

違う

断じて違う


245: 名無しの釣り師

!?

No.00って、春香ちゃん、いや、春香様!?


246: 名無しの商人

>>244

え!?先輩が掲示板!?


247: 名無しの魔導師

>>244

どうしたのよ春香!?


248: 【運営No.00】

たまたま見ただけ

アレは田中さんの趣味

そういうことだから>>魚屋


249: 名無しの魚屋

>>248

らじゃ

うふふふふふふふふ


250: 名無しの魔導師

春香、外してるわよ


251: 【運営No.00】

え?



 携帯端末でたまたま見た掲示板で、ちょうど田中さんの悪行を晒すタイミングがあったから高橋さんに伝えたのに…外してる?わからん。あとで美里というかミリーに直接聞いてみよう。


 それにしても…。

 ぺったん、ぺったん。

 誰も、『コレ』のことは言及してなかったなあ。気を遣ってくれてるのかな。ぐっすん。


「春香さん、どうしました?」

「…ううん、なんでも。それで、今日は?」

「あの仮想世界の件で、当局から報告がありました」


 ようやく、かあ。いくら私の情報提供が遅れたからって、ずいぶんと時間がかかったものだ。

 これはやっぱり、FWOグループで独自の諜報・防衛組織を作るべきなのだろうか。いやいや、厨二病的な発想じゃなくて。人様に語れないという意味での黒歴史はまた増えそうだが。

 実際、私のおかしな…あれやこれやの能力を、警察や関係組織に明確に伝えていないのが、渡辺 凛という人物の捜索がなかなか進まない原因かもしれない。


「関係当局にとっては、渡辺女史の目的がはっきりしていませんからね。彼女の起こした事件それぞれが個別に発生したものと解釈するしかないでしょう」

「でも、それぞれの事件は、あまりにハイリスク・ローリターン。こればかりで、申し訳ないけど」

「もしかすると、彼女が手を組んだ者達のメリットとなるものが他にもあって、それをエサに、女史にそそのかされたのかもしれません。世界有数のVR専門家として、なんらかの技術を隠し持っている可能性さえありますし」


 であれば、なおさら私を追い詰めるようなことをする理由がわからない。ホント、なんだろうなあ。

 やっぱり、私の能力を関係当局に示すべきなのだろうか。そうすれば、共通する動機を実行犯達に問い詰めたり、状況証拠を探ったりしてくれるかもしれない。まあ、これは後日検討だ。


「それで、あの仮想世界はやはりというか、あの隣国の一方の勢力に乗っ取られていたようです。渡辺女史が改造したのでしょう」

「一般プレイヤーらしきアバターが、紛れ込んでいた理由は?やっぱり実地訓練?」

「そうですね。公の戦争VRでは味わえない、非合法な設定のVRゲームに参加できるという噂が流れていました。ころころ変わる接続情報と共に」


 あの横たわっていたプレイヤー達は、それでも楽しかったのだろうか。仮想世界とは言え、本物の軍隊の攻撃対象とされたことが。


「ですが、現地当局は、その勢力に対して勧告することしかできませんでした。ひとつの国としての権威が存在しませんからね」

「渡辺 凛が関わっていることも、はっきりできない」

「ええ。彼女の目的は、春香さん、あなたをおびき寄せることでしょう。伊藤先生の部屋からフルダイブすることも知っていて、あなたを直接調べようとするために」


 もう何度か繰り返した結論だが、やっぱりわからない。確かに私の能力は、悪用しようとすればいくらでもできる。しかし逆に言えば、それだけだ。

 それだけで、あんなスパイのようなことを個人的にするものなのか?しかも、彼女自身が世界の様々な組織を裏で操る黒幕のようだ。御都合主義とも言えるほどのラスボス役だ。

 なんらかの画期的な技術を隠し持っていたとして、そんな悪役に徹するのはなぜ?そして、そのターゲットが私?わからない。疑念が、ループする。


「そう言えば、渡辺女史はこう言っていたのですよね?『「リーネ」と「ハルカ」が同時に存在した時はまさかと思った』と」

「そう言っていたけど、それが何…あっ」

「渡辺女史ですら、春香さんのロールプレイには気づかないということですね。私達は、直接知っていたり聞かされたりして、事実として把握しているだけですから」


 私、佐藤春香が、ケインの中の人でもあることに気づいていない?

 私のアバター同時接続能力を知っただけでは、私がどのアバターの中の人かは全くわからない、ということ?あれだけリーネとケインが密接に関わっているのに?


「実際、あの詐欺事件でケイン宛にメッセージが送られたのは、全くの偶然…というか、クルーズ船中継の件で有名になったのがきっかけだったようです」

「渡辺 凛の、指示ではなかった?」

「あの男性独自の判断だったようです。詐欺自体を裏で操っていたのは彼女だったようですが。春香さんがケインと知っていたらヤブヘビもいいところです。実際そうなって詐欺がバレて、逃亡生活を余儀なくされているわけですし」


 確かにねえ。いくらコネありまくりの悪役好きでも、自ら好んで逃亡することはあるまい。専門家としても実績のある、大手VRゲーム会社の社員だったわけだし。


「春香さん自身だけでなく、周囲が全くの別人として扱っているというのも大きいかもですね。というか、渡辺女史も、まさか恋人や夫婦扱いにもなっているアバター同士が同プレイヤーなどと…」


 ごふっ。

 そうか、そうなのか。私の最大の黒歴史は、リーネとケインの同時接続に代わったのか。まあ、それまでの黒歴史もリーネとケインだったわけだけど。因縁とはこういうことなのか。違うか。

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