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第34話「いい剣だ。特に、あの魔物を攻略するにはぴったりだ」

 この剣は、小柄の私には、重くて大きい。

 でも、なかなかいい剣だ。特に、あの魔物を攻略(・・・・・・・)するには、ぴったりだ。

 誰のチョイスだろうか。


 周囲から、何か声が聞こえてくるような、気がする。

 でも、気のせいだ。私には、あの魔物の雄叫びしか聞こえない。

 キン、ガラン、と、耳につく。鱗があるが、金属系の魔物だろうか。


 重力任せに、上から乱暴に、攻撃してくる。

 図体ばかり大きい魔物は、腐るほど相手にした。要は、受け流せばいい。


 重くて持ち上がらない剣を、それでも少し地面に突き立てるよう持ち上げ、魔物に向ける。

 その図太い腕が剣に触れた瞬間、剣を傾ける。この角度。この力加減。

 剣で流された魔物は、少し離れた地面に突き刺さる。豪快な音を立てて。

 そこから更に、体を傾けるように攻撃してくる。しかし、それも受け流し、地面に叩きつける。


 二匹目が頭上からやってくる。何匹来ても同じだ。待ち構え、受け流し、叩き伏せる。

 剣のような、盾のような、使い回し。防御力を極限まで下げた私には、必要なスキルだ。

 しかし、この魔物は地面に弱い。一度叩き伏せれば、もう何も攻撃してこない。


 少し間を置いて、第2陣が攻めてくる。今度は、小さい魔物がいくつか混じっている。

 こいつらは無視していいだろう。主な魔物を倒しているうちに、巻き込まれて息絶える。

 地面から弾け出すような攻撃は、文字通り、剣を盾にして防ぐ。小柄な私には大変有利だ。

 スキを突くように第3陣、第4陣が攻撃してくるが、関係ない。魔物の攻撃は、いつも単純だ。


 さて、次は…。

 

 …

 ……

 ………


 もう、終わり?

 今日は、簡単だったな。小規模な群れだったのだろうか。


 大きな剣を、ゆっくり鞘に収めて…


「よ、よう、嬢ちゃん、助かったぜ。おかげで、ケガひとつしなくて済んだ」


 …誰?

 こんな奴、パーティにいたっけ?


「しかし、すっげーなあ。リアルでそれだけ動けるなら、FWOでも攻略組になれるんじゃないか?プレイヤースキルってやつでさ」


 …何、言ってるの?この男。

 私は、今まさに、攻略していた。

 この世(FWO)の全ての魔を、攻略する。

 それが、私の望みだ。なぜなら―――


「なあ、俺と組まねえか?金なら好きなだけやるからよ。あのケインとかいう、自分にしか金かけないようなやつより、よっぽど―――」


 しゅん


 鞘に収めたままのその剣の()の先を、男の眉間に、ギリギリ当たらないよう、瞬時に突きつける。剣先を突きつけると、PKとみなされる。誰かに見られて、通報されても困る。


「あたしは、ケインのために、戦っているから」


 柄の先の勢いに恐れたのか、私の物言いに押されたのか、男は、ぺたんと、尻餅をつく。

 顔は、蒼白だ。身体も、震えている。この程度で、こんなものなのか。


 さて、討伐数は少なかったが、銀貨数枚くらいは報酬が得られるだろう。

 ケインの服飾ラインナップは増やせないけど、アクセサリくらいなら手に入るはずだ。

 そういえば、ケインの露店の三軒隣の店で――――――



 …あれ?

 私、何やってたんだっけ?

 えっと、確か、美里を突き飛ばして、ハリボテのドラゴンが倒れてきて、それから…。


 周囲を、見回す。

 立ちすくむ人々。美里を含む元クラスメート達、健人くん、高橋さん、田中さん、ハリボテを作っていた人々、そして、受付嬢の方々。あれ、高橋さんだけなんか踊ってる。何踊りだろ、アレ。

 ん?荒くれ者のひとりが、目の前で尻餅をついている。もうひとりは…入口に向かって走ってっちゃった。まあ、防犯ビデオにばっちり写っているだろう。警察に通報すればすぐ捕まるよね。


 そして、散乱している魔物…じゃないや、ドラゴン模様の鉄骨とか鉄板とか…うえぇ!?鉄骨!?ボルトみたいなのも散らばってる!?


 え、何!?何があったの!?

 いや、何が、というか、何を、私、は…。


 …

 ……

 ………


 徐々に、さっきまでの記憶と、周囲の状況が、頭の中で、馴染んでいく。


 概ね馴染んだかなー、と思った瞬間、頭を抱えようとして、


「は、春香!春香ぁ!」


 美里が、抱きついてきた。私の名前を叫びながら、泣きじゃくりながら。

 おおう、抱きつかれたのは初めてだなあ。とても、数か月前までほとんど喋らなかった元クラスメートとは思えないほど、熱烈だ。

 うん、現実逃避はやめよう。


「え、あ、み、美里、無事で、良かった…ね?」

「…!何が!無事で!良かった!よ!?信じらんない、信じらんない、信じらんない!!ここは現実なのよ!?落ちてくるたくさんの鉄骨を剣一本で蹴散らすなんて、FWOの中だけにしなさいよ!!」


 ええ、全くもって、おっしゃる通りでございます。

 はー…私のロールプレイ、なんかおかしいなあ。精神鑑定受けた方がいいんだろうか。そんな気がしてきた。積もり積もった黒歴史とトラウマが原因なんだろうなということは予想できるけど。


「それと、それ、と…」


 え、まだ、なんかあるの?


「『アクセサリくらいなら手に入る』って、なんなのよ!!春香、あんた、ケインの中の人に貢ぎまくってるっていうの!?そのためだけに、あんなに戦ってるっていうの!?女として、悲しすぎるわよ!!」


 あ、ヤバい。ケインとリーネのイメージがガタ落ちだ。

 ていうか…また私、口に出してたああああ!?



891: 名無しの歩兵

>>890

は?


892: 名無しの弓使い

>>890

は?


893: 名無しの重騎兵

>>890

は?

ていうかイミフ


894: 名無しの魔導師

そうだよイミフだよそうとしか

とりあえず映画は期待しとけ


895: 名無しの魚屋

この世の全ての魔を

攻略する

安寧なるスローライフを

この手に


896: 名無しの釣り師

>>895

キャッチコピーの続きか?



994: 名無しの斥候

姉弟また消えたか


995: 名無しの弓使い

いいかげん次スレ立てろよ


996: 名無しの船職人

次も映画化の話題か?


997: 名無しの重騎兵

他にないし、とりあえずそれでいいんじゃね


998: 名無しの肉屋

公式に映画化PVが上がtxuuuucz


999: 名無しの八百屋

なんだこれ

なにこれ


1000: 名無しの漁師

おい


おい


1001:

レスが1000を超えています

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