表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現在、魔法使いは絶滅危惧種です。  作者: 絢無晴蘿
第二話 「音川がお前を守るという事は、こういう事だ。その意味をよく考えろ」
15/42

理由、それを聞いても……。



呆然とする私の前で、ヤガミと名乗った彼は笑った。

かがんで地面に落ちた剣を回収する。

すごく、綺麗な装飾……本物の剣?


ぶ、物騒すぎる。

なんて考えていると、唐突に口を開く。


「君は、魔法があると思うか?」

「は?」

「……」


小時朗は、何言ってんだこいつ、と不審げに目を向けている。

まあ、当たり前だろう。

得体のしれない人が突然現れて、魔法だなんだなんて言ったら完全にデンパだと思うだろう。

私だって、あの化け蜘蛛と自称先祖に会ってなかったら、そう反応してただろうし。

そう考えているうちに、ヤガミは興味を失ったようにさっさと歩いていく。


「この穴は、誰が開けた?」

「オ、オレだけど……」


さっき出てきた穴まで戻ると、愉快そうに聞いてきた。


「そう。珍しいな」

「ちょっと待てよ! いきなり現れて……ほんものの剣なんか持って、お前一体何もんだ! さっきのは、なんだったんだ!」

「あれは、人間を喰らう化物とでも考えればいい。僕は、夜神。ただの言霊使いだ」


言霊使い?

なにそれ……。

訳分からないけど、たぶん彼も音川輪とか心麗みたいな『魔法使い』ってこと?

そこに、誰かが駆けてきた。


「お、おじじさまー!! いきなりどこ行くんですか! って、なんでアルトちゃん? い、糸柳先輩までっ?!」

「し、シンリ? どうしてここに……お、おじじさまって……っ?!」


まさか、よく心麗が言ってたおじじさまって……この人?

どうみても……私と幾つも違わない。

十八か十九か……それくらいの姿だ。

おじじさまと呼ばれる年じゃないだろ。

心麗のいとこかはとこか……?


「おじじさまはおじじさまだよ」

「おい、水埜」

「うぇ、な、なんですか? せ、先輩……」


心麗は、日頃話しかけた事のない小時朗に話しかけられて、びくりと体を震わす。

まったく、人見知りが激しい子だ。


「この人……お前の親戚か何かなのか?」

「う、うん」


なぜか、夜神さんとやらを小時朗は見つめる。

なんだか、嫌な予感しかない。


「……す」

「す?」

「すげぇっ!!」


きらきら、してる……。


「コトダマツカイって、まさか、言霊使いですか?! あの、水埜の家に住んでるんですか? 同い年くらいに見えますけど、どこの高校に?」

「コ、コジロウ?」


な、なんで?

めちゃくちゃ興奮してる?

さ、さっきの警戒はなんだったの?


「あの、コジロウ、妹さんはどうなったの」

「あ……そ、そうだった」


な、何忘れてんの。

襲われたりしたのは、菜奈を探していたって事を忘れたのか!?

それにしても、小時朗って……こんな性格だったっけ?

よく、解らない。


「妹……?」

「あ、その、オレの妹が、行方不明になって、それを探してたんです……」


小時朗はいつものぞんざいな態度はなく、なんだかすごく丁寧に言った。


「心麗、さっきの子か?」

「あ、はい」

「さっき?」


その言葉に、小時朗が目の色を変えた。


「えっと、糸柳先輩、妹さんってナナちゃんっていう子ですよね? 夜の街を迷子になっていたので、先ほど送り届けました」

「えっ?」


迷子?

もう、家に帰った?


「心麗」

「はい、おじじさま」

「彼に事情を説明して。……彼には、魔法使いの才能があるかもしれない」

「は、はい。あの、糸柳先輩、こちらに」

「は? ま、魔法使い? ちょ、まてよ、どういうことだよ?!」

「糸柳先輩、少し離れた所で話しましょう。全てとはいきませんが、なるべく先輩の疑問に答えますから」

「……」


小時朗と心麗がどこかに行くと、夜神と二人になる。


ふ、二人だけ?

彼はというと、小時朗の開けた穴を調べて思案顔をしていた。



「……あんたも、私に魔法使いになれとか何とか言うの?」

「まさか」

「そ、う」


ほっとした半面、なんだか拍子抜けした。

会う人会う人、……魔法使いに会うたびに、私に魔法使いになれとか言うから、彼もかと思ったけど、違うらしい。


「私は魔法使いだか風術師だかになるつもりはないから」

「なぜ?」

「だって……べつに、なんでもいいでしょ。関係ない」


関係ない。

そう、関係ない。

私、個人の問題なんだから、いいじゃん。

夜神は無言で見つめてくる。


「……なに?」

「気づいているか?」

「なに、が?」

「お前のまわりで、事件が起こっている事を」

「……」


気づいているというよりも、言われたから、知っている。


「お前が魔法使いになるか、ここから去るかしない限り、ここで事件は起こるだろうな。そのたびに、まわりの者が傷つく――それでも、お前は関係ないというのか?」

「それ、は……」


言えない。

答えられない。


「現在のお前は、ただここにいるだけでさっきの様な化け物を集める。呼び寄せる。そして、周りに害をなす。だからこそ、お前とお前以外の者を守るために『音川(あいつ)』がいる」

「え……」

「音川がお前を一生守るという事は、お前と、お前の周りにいるモノを守るためにという事だ。その意味をよく考えろ」


なにも、答えられなかった。


どうして?

どうして私なの?


化け物は、どうして私を……。











私は、どうすればいいの?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ