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現在、魔法使いは絶滅危惧種です。  作者: 絢無晴蘿
第一話 「お前には、二つの選択肢がある。オレに一生守られるか、魔法使いになるか」
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オトカワの事情

番外編。

第一話の後日譚になります。

それは、アルトと『音川』が出遭ったあの日までさかのぼる。




生徒の入らぬ校長室。

その日、そこには不審な少年がいた。

金髪碧眼、そこまではいい。長剣を片手に、半眼で窓の外を睨んでいる。

それは、音川と名乗る少年だった。


「まさか、ここの結界が破られるとはな」

「面目ない限りです」


そんな音川の言葉に、この部屋の主である風守眞弓良は音川に頭を下げた。

校舎の境目に、視える者には視える揺らぎ。

それを視界の端に捕らえ、音川は目を細める。


学園を覆う巨大な結界。

それが破られたのは、つい先ほどのことだ。


「べつに、オレは良い。それよりも、あいつにどやされるぞ。あいつは身内のことになるとうるさいからな」

「それを言うなら、この流留歌に禍物の侵入を許した貴方にも文句は行くんじゃないですか?」

「う……そ、それより、もっと重要な事があるだろ!」

「……アルトさんの事ですね」


そこまでの軽い雰囲気は霧散し、一揆に空気が引き締まる。

外を見ていた音川は、真弓良を真っすぐに見た。


「もともと守護の為に施しておいた術が解けた」


音川アルトを守るための術。

それは、アルトという存在を隠してきたものだ。

アルトは知らないが、幼い頃から施されてきたその術が解けた。


「しかも、何か知らんが視ることも出来るようになっていやがる」


もしもアルトが禍物や精霊、霊と呼ばれる者達を視れないままなら、もう一度その術をかけ直せばいい事だった。

しかし、彼女は彼等を視てしまった。


視るという事は存在を認識すること。

認識すれば、彼等からも認識される。

認識されてしまった以上、彼等はもう一度術をかけ直したとしてもアルトを見つけ出すだろう。


「……これ以上、陰で守るのは無理だろうな」

「では、以前より計画していたとおりに……ここの生徒としてもぐりこむ。ということでいいんですか?」

「頼む」

「解りました。転校の手続きをとっておきます。それで、名前の事なのですが、どうします?」

「どうって?」

「本名は名乗らない。そう言っていたじゃないですか。適当に言っておいたんですけど良いですよね?」


いつの間にか、先ほどまでの緊張は無くなっていた。

真弓良はどこか意地の悪い顔で笑う。


「待て。なんで適当なんだよ」

「他の先生方にはすでに伝えておいたので、三日後くらいにはすぐにこれますよ」

「そうか。否定権なしか。まあ、別にいいんだけど……変な名前にしてねぇよな?」

「さて、どうでしょう?」

「お前……」



『失礼する』



「ん?」「おや」


部屋に入って来たのは銀髪の青年だった。

真弓良と音川を見ると、ふと微笑む。


「久しぶりだな、音川、風守」

「お久しぶりです、夜神(やがみ)さん。世界一周旅行はどうでしたか?」

「おう、久しぶりだな、夜神。水埜家には行ったのか?」

「世界一周は、そうそうに引き上げて来た。それより、心麗が帰ってこない」


音川の言葉を間髪いれずに遮ると、夜神は笑顔のままつかつかと音川の元へと歩み寄る。


「音川の術が解けた。禍物の侵入を許した。……帰って来たばかりだというのに、問題だらけなのだが?」

「えっと、その……」


夜神が、不気味なまでに笑顔。

その様子に、音川は頬をひきつらせて冷や汗をかく。


「……す、すまん」

「まったくだ。お前はいつでも行動が遅い。なにかあったらどうするんだ」


夜神はため息をつくとすぐに部屋を出ようとした。


「おい、ちょっとまて夜神!」

「なんだ。こちらはこれからどこかの誰かが放置していたために町中にうろつく禍物の祓いに行こうと思っているんだが」

「放置していたどこかの誰かです。すみませんでした。それで、前に頼んでいた件、やってくれるか?」


その言葉に、くすりと笑って彼は答えた。


「その為に帰って来たのだから、当然だろう? 見習い魔法使いへの講義なら、お手の物だ」


真弓良いわく、『いい先先』と呼ばれていた彼は、そのまま夜の町に消えて行った。



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