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らしくない


「にしてもミカエラ、リィデアちゃんが強いこともあの2人に対処するだけの力があることも知ってるじゃん、あそこまでする必要あったのか?結局リィデアちゃん死にかけてるし」


「・・・」


「まあロイはちょっと言い過ぎではありますが一理ありますね。予備隊を呼んだのは良い判断でしょうけど」


 ・・・ロイやルイの言う通りではある。

 彼女は基地内の医務室に運ばれた後、一刻を争う事態だとしてすぐに近隣の総合病院へと運ばれていった。

 できることなら自分もついて行きたかったのだが、傷つけた張本人であるため、様々な聞き取りを受けることとなり身動きが取れなくなってしまった。

 処分は追って言い渡されるとのことだが、騎兵が一般市民・・・ともすると辺境伯令嬢に危害を加えたとなるとちょっとやそっとの処分にはならないだろう。


「ミカエラ、お前は何を考えているんだ」


「ゼオバルド部隊長・・・」


 自分のせいでゼオバルド部隊長にも迷惑をかけてしまった。

 一回落ち着けと言われ、聞き取り後、ルイやロイを巻き込んだ3人で基地内のいち会議室にて待機という名の隔離を命じられていた。


「全く、お前は優秀な奴だと思っていたんだがな。まあこれまでも色々あったが・・・今回ばかりは私にもできることが限られている。」


「・・・申し訳ありません。」


「迷惑だなんだというのはあまり気にしてはいない。どういうつもりなんだ、ミカエラ」


 ・・・とはいえ自分でもあの時の行動は所々理解できていないところがある。


 模擬演習の後、盛り上がる観衆や賞賛の声を聞きながら、どこか人の生き死にに関わりそうな雰囲気を感じた。

 イベント会場に似つかわしくない。真っ先に思い浮かんだのはリィデアのことだった。

 人の多いイベント会場ではたとえ騎衛部隊の基地といえど何かしらの悪意に晒されることがある。そのために我々や予備隊も巡回してはいるが、人の生き死にに関わるほどのものといえばリィデアくらいのものだろうと勘が働いた。

 

 演習後、片付けを終えイベント会場に向かおうとしていたルイとロイを連れ、リィデアを探しに出た。

 ・・・自分の勘は自分でもよく思うがよく当たる。


 彼女は、以前のあの2人と対峙していた。


 ナイフを使いこなす2人と、身ひとつで対処する彼女の姿を見るといくら彼女が強いといってもいても立ってもいられなくなってしまった。

 とりあえずルイとロイの2人に予備隊を呼びに行かせ、何かあればこの事態を止められるように考えていたのだが。


 ーー彼女は優しすぎるーー


 1人の青年の右手を使えなくしてしまったことに罪悪感を感じているようだった。

 しかし、ここは油断が許されない状況。相手の負傷などに気を取られている場合ではない。

 その一瞬の油断が敵の攻撃を許すこともある。


 そしておそらく彼女は気づいていなかった。

 彼らの次の攻撃が何を意味するものなのか。


 一見これまでのナイフのように見えたそれらにはおそらく毒針であろう針が射出できるようになっていた。

 2人で近接戦に持ち込み、針によって身動きを取れなくする作戦だろう。

 このままでは埒があかないとでも思ったのだろうか。

 このままの距離では簡単に針が刺さってしまう。・・・以前、敵の武器を奪ってだのなんだと話していたが、彼女は落ちているナイフを拾ってこの2人を完膚なきまでに叩きのめそうとまでは考えていないようだ。

 

 まるで、彼らの事情をわかっているかのように。


 その上で、どちらかが動けなくまで戦い続けるつもりなのだろう。それはどちらにとっても残酷で、かつ彼女には現状勝ち目は考えられない。


「・・・ミカエラ?」


「・・・自分が止めるしかない、と、思っていました」


「そうか」


「それで人殺しそうな勢いで剣を振ったってこと?」

「騎兵らしからぬ行動ですねえ」


ゼオバルド部隊長の短い返答と、ロイとルイの追求が続いた。


「彼女は・・・最後まで迷っていました。そして彼らが倒れるか自分が倒れるか、極限の状況まで持ち込むつもりのようでした。・・・しかし、あの状況では彼女が先に倒れてしまうことは明らかでした。彼女が迷って身動きが取れないのであれば、自分が止めに入るべきではないか、そう考えてあの行動をとりました。」


「そこへ、彼女が身を捨てるようにして青年を庇った結果、負傷したということかね」


「はい」


 自分の行動はどう考えても短絡的で暴力的なものであるとわかっている。

 彼女の傷つく姿など見たくないと思っているのに、自分が一番・・・それこそ死の淵まで傷つけている。

 

 だというのに。

 彼女は私の顔を見て目元を緩めた。これで良かったとでも言うように。



「ゼオバルド、失礼するぞ」


「ゴートンか、入れ」


 リィデアのいる広報部の事務長か・・・


「君、ミカエラ君か、うちのリィデアを派手に切ってくれたもんだよ本当に、肝が冷えたよ」


「つまりどうなんだ」


「あぁ、意識が戻った。大したもんだよ。・・・と、それから」


 ゴートンという男が私の目を睨みつける。それもそうだろう。


「リィデア君が君と話したいと言って聞かないんだ。そしてできればゼオバルドやロイ君にルイ君も同席して欲しいと言っていてね。私が聞くと言っても話してくれないんだ。大変不服だがついてきてくれるだろうか」


「構わん、行こう」

「俺らも?リィデアちゃんが無事なの確認したいし行くよ」

「そうですね。うちのばかが申し訳ないと言いに行きましょう」


 ・・・私はどんな顔で彼女に会えばいいのだろうか。彼女のことだ、きっと私のことも悪くないとでもいうつもりだろう。・・・それではいけない。


「ミカエラ、行くぞ〜」

「ダメですね。ロイ、引っ張っていきますよ」


「だっ・・・わかったよ、わかったからはなせ」


 リィデア・・・本当にすまない・・・

間が空きました、すみません・・・

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