独りでできること
「何とか勝ったねぇ」
「危うくフォックス撃つとこやったわ」
「独りでどんだけ前におるねんw」
「ずっと味方に撃たれそうで怖かったわw」
「って言うかどんなルート通ればあんな前に出れるんや?」
「スタートした時は俺等の後ろやったやろ?」
「あーあれね」
「待つの嫌だったから途中から登った」
「えっ?」
「下から登るかよw」
「そんで登ったら戦場のど真ん中でねw」
「アイツ等今回早かったもんなぁ」
「って事はアレか」
「途中いた奴等ほとんどフォックスに暗殺されてたんか」
「ここはトリッキーな人は少ないみたいだね」
「結構近付き放題だわ」
次は下からのスタート
ここまでのゲームで身内との遭遇は案外少ない
私がここまで戦局を引っ掻き回せたのは一重に同じタイプのプレイヤーがいなかったからだろう
しかし先程銃弾の下を匍匐前進で接近しようとした人がいた
それは今までのプレイと違い接近戦に挑む人が出てきたと言うこと
そして警戒されていると言う事でもある
「さてとー」
「下からかぁ・・・」
次はどうしてやろうか?
後1戦か2戦だろう
連勝とは言え結構際どかった・・・
次から2連敗って可能性もある
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「フォックス・・・」
「お前銃はどうした?」
「さっきから殆ど撃ってないから要らないかなってw」
「はぁ・・・・・・」
「またか」
「だなw」
「カウント始まったね」
「それじゃ気合い入れて行くか!」
「頑張れなーw」
ダヤンの応援を背に受け走り出す私とマーベリック
味方を追い抜きながら2人は通路を走り抜ける
「そろそろかな・・・」
1つ目のカーブを抜けて2つ目のコーナーが激戦区となるだろう
「バイバーイ♪」
マーベリックに別れを告げると一気に坂を駆け上がる
結構な急坂だが両手に何も持っていないため容易く登っていく
「アイツはまた・・・」
それを見て呆れたマーベリックはコーナーを曲がらず稜線に入る
シュガガガガガッ
シュトトトトトトッ
予想通り敵と遭遇して撃ち合いが始まった
直ぐに味方が追い付き戦闘が激しくなる
「フッンッヨッ!」
「よいしょ登りきった♪」
そのまま狙撃ポイントを通り抜け獣道に差し掛かるとCOLTポケットを抜き放つ
「こっちは未だみたいだね」
そのまま四つん這いのなると高速匍匐前進で先を目指した
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ガサガサッ
ガサササササッ
ヂャリッ
銃声より先に敵の気配がする
味方の侵攻が遅い
このままでは圧倒的不利だ
かと言ってここで立ち止まりたくは無い
「攻めて来る気配が無い」
「待ち伏せしてるみたいだな・・・」
コッソリと気配を消しながら警戒はいつもより厳重に
ゆっくりと進んでいく
S字カーブの度に銃を左右に持ち変え気配を探りながら前を目指す
ガサゴソッ
カサカサッ
ガサッ
しかし本当に気配を消せていない人だな
進んで行くとS字の出口に黒い物がある
どう見てもM16の銃身だ
ニュッと伸びてきてゾリゾリゾリッと音がする
ニュッと伸びて・・・
カサッ
伸びた銃身を左手で逸らしながら前へ飛び出しCOLTポケットを相手の顔に突き付ける
「フリーズ」
「で良いよね?」
小声で囁くと素直に頷く
飛び出した拍子に膝立ちになってしまったが直ぐに腹這いに戻る
手を挙げる彼の横をすり抜けると続くS字へと向かった
「相変わらず向こうは派手にやってるなぁ・・・」
遠くに聞こえる銃声が通路側の激戦を示していた
次の狙撃ポイントが見えてくるがここはあえてスルーして先を目指す
「積極性に欠けて守備も少ない」
「こりゃ下の通路にだいぶ人数割いてるね」
多少雑になるが先を急ぐ
「急いだ方が良さそうね・・・」
S字を抜ける出口に気配は無い
「少人数での防衛・・・」
「匍匐前進での前進・・・」
「と言うことは・・・ここかな?」
遠目に覗き見るとやはりヘルメットらしき物が見える
反対側は・・・
やっぱりいるね
「これ外したら終わるなw」
同時に二方向のターゲットにイメージで狙いを付ける
先に左を撃ち続いて右側
プシュプシュ
プシュプシュプシュ
「はえっ?!」
「ヒット!」
「ヒット?!」
2人を仕留め中腰で通り抜ける
「この先はフラッグ前か・・・」
「ここは絶対いるよね」
多少の音は仕方がないのでフラッグから死角になる場所から左側の斜面を登る
「見付からなかったっぽいね」
かなり上の方まで登ったので時間が心配ではあるがフラッグアタックをかけてみる
走るのではなく這いながら確実に仕留めることにする
ガサッカサカサ
カサッゴソッ
斜面もこの辺りになると警戒されていない
出口の守備も配置しているので尚更だろう
「1・2・3・4・・・」
「やっぱりフラッグガードは多いな」
確認できただけでも6人
見付けられなかったのがいると更に厳しい状況になる
「まぁ良いか」
「確実に仕留めよう」
更に大きく回り込み小さな谷を越えて奥側の斜面にとりつく
この辺りは木が少なく見付からないかと緊張する
「こっちは見ないでね・・・」
谷を渡ると素早く木の影に隠れる
この奥側の斜面は勾配が強く這うことは出来ない
その代わり細い立ち木が多く遮蔽物には困らない
1本・・・2本・・・・
僅かな物音に神経を磨り減らす
3人の敵が射程に入る
完全に後ろを取った状態だが銃がCOLTポケットなので電動相手には心許ない
「腹を括るか」
大きく深呼吸をして銃を構える
狙いを定めて引き金にかけた指に力を込める
刹那
遠くでブザーが鳴り響きフラッグ脇の無線が終了を告げる
フラッグ目前にして黄色チームは負けたのだった
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「今回は流石に大丈夫やったなw」
「中央一点突破やったからな」
「フラッグガードは楽なもんよ♪」
「ほんと」
「骨折り損のくたびれ儲けだわ」
「違いないw」
「・・・・・・・・・・・・?」
「・・・・・・・・・・???」
「・・・・・・・・・?!?!」
「何で後ろから黄色が帰ってくるんや?」
「折角ここまで来たのに落とされるなんて」
「不甲斐ない男共ね」
「え?え?」
「ちょっとまって?」
「何で山側の守備隊より早く黄色の姉さんが帰ってきてるんや?」
「まさか・・・?」
「もう少し時間稼いでくれてたらなぁー」
赤チームの真っ只中に立った1人の黄色い腕章
その意味を理解した時
フラッグガードの面々は背中に冷たい汗が流れるのを感じたのだった




