3次元戦闘
続く第2狙撃ポイント
この場所はさっきよりも低いがある程度沢を狙える
鬱蒼と繁る葉に囲まれたこの場所は幹側からは遮蔽物も少なく致命的である
それでも「上」に隠れていると疑う人はおらず盲点となる
太めの枝に寝転び枝葉よ隙間から沢を垣間見る
さっきと違い見付かる可能性があるので足はぴったりと枝に絡めて固定している
「流石に警戒してるよねー」
葉の隙間から微かに見える大木には人影らしきものは見えない
遠目で見ても気づく人はそうはいないだろう
遠距離索敵が得意なジジが仕留められている以上狩人隊に我々を見付けられるメンバーはほぼいない
狩人隊が後退したためこの位置からは全く見えない
スタート地点まで後退した後はどう出るだろうか?
残る狩人は韋駄天・家猫・隊長・山坊主・クレインの5人だけ
新人2人がどう動くのかはわからない
順当に考えれば沢と三角州の2隊に分けるだろう
カバー範囲から考えれば沢が3人か?
そうなれば陸上競技場から家猫と韋駄天の2人が高速で回り込んでくると考えるのが妥当か
新人2人は高速戦闘向きには見えなかった
山坊主は明かに潜伏狙撃型
隊長は読みきれないがクレインと変わらないと思っている
お姉様の位置は後ろからに弱い
ここはできるだけ三角州の2人は仕留めないと・・・
パシュンッ
チャキッ
これだけ近いと大木からの発射音が微かに聞こえてくる
斜角からしてスロープ辺りかな?
静かに枝を渡り反対側の三角州が狙える位置につける
此処から道路全体と三角州は見えるが「見えるだけ」だ
さっきの木と違い高さがない為三角州には届かない
陸上競技場から2つの影が飛び出してくる
予想通り韋駄天と家猫のようだ
機動力の韋駄天か・・・
総合力とエイム能力の家猫か・・・
選り好みする余裕は無いのだが優先順位は決めておきたい
やはり総合的に鑑みると家猫優先で狙う方が懸命かな
2人は三角州で一息つくとゆっくりと沢の交戦音に紛れて道路を渡り始めた
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「フォックスと女豹に加えて鉄人もおる」
「気合い入れとかんと瞬殺パターンやな」
「その3人はそんなに強いの?」
「お前らは初めてやからわからんやろうけどあな3人は強敵や」
「特に女豹は鷹の目でも名の知れたアタッカーやしな」
「フォックスの索敵能力は最早異常や」
「鉄人は?」
「2人には無い早さとタフネスがある」
「アレで狙撃もこなせるようになってきたから無視できん」
「そろそろ行こか」
「バンカーとクレリックの2人で陸上競技場の確認頼む」
「了解」
「ラジャッ!」
「三角州から東屋に入る」
「全周囲警戒索敵を密に」
「姫とムーンを中心に警戒陣をひく」
「家猫とジジは左舷、隊長と山坊主は右舷方向の警戒にあたってくれ」
「攻撃させてから叩く」
「各人生き残ることを優先!」
「作戦開始!!」
全員が小走りで三角州に集まる
手筈通りクレリックとバンカーは陸上競技場側を覗き込み奥側を中心に目を凝らす
「こっち側はいそうにないな・・・」
「クリアってことで良いかな」
この時既に鉄人は2人の真下にあたるブッシュにいた
斜面にではなく木の根本を掴み斜面とブッシュの境界線に対して横向きに張り付いていたのである
2人が三角州を越えたのを確認して素早くブッシュを越えて三角州へ入る鉄人
装備のシルエットと動き方からジジを探し出し狙いをつけた
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「反応無し」
「隊を分ける」
「韋駄天と家猫と隊長は俺に続いてスロープから下回りで侵攻する」
「残りは中央通路抜けて一先ず三角州で落ち合おう」
「了解!!」
パシュンッカキンッ
「ヒット???」
「敵襲!!」
「右舷方向から狙撃!!」
「牽制射撃!!」
「全員で押し込むぞ!!」
バシュンッビシッッ!!
「ヒットー!!」
「三角州に敵影!!数1!!」
「スロープ側へ下がるぞ!!」
「俺が援護する!!」
バシュンッビシッ
「ヒット!!」
「クソッ嵌められた!!」
「狙撃ポイントわかるか?」
「大木付近!!」
「大木に火力を集中しろ!!」
「三角州は俺と家猫が抑える!!」
「ヒットーー」
「鉄人が墜ちた?」
「韋駄天かっ!」
「総員撤退!!」
「三角州まで一時後退する!!」
「結局残ったのは6人か」
「体制を建て直したい下のスタート地点まで行くがどうする?」
「そのプランで行こう」
「了解!!」
「イタッ!」
「ヒット?」
「クソッここもか!」
「総員待避!!」
「銃声が聞こえんかったな」
「片方はフォックスやろ」
「なら射程は短いはず」
「中央通路脇のブッシュかな?」
「もう1人は大木やろ」
「時間をおいて移動されたくない二手に別れて大木を攻めよう」
「了解!!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「三角州に敵影無し」
「味方の牽制が始まったら前に出ようか」
「俺は芝生に入ってブッシュの稜線に沿って向かう」
「韋駄天はトイレ側から道路向こうの木を楯に攻めてくれるか?」
「了解」
「始まった」
「行こか!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
フヒュンッ
チュイーーーン
「スロープに入ったとたんコレか」
「向こうからは見えてるっぽいな」
「何処からかわかるか?」
「わからん」
「ジジがいたらなぁ・・・」
「やから先に討たれたんやろ」
「それもそうやな」
ヒュガガガガガッヒュガガガガガッ
シュドドドドシュドドドドッ
「回り込むまで牽制や!」
「撃って撃って撃ちまくれ!!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「うわぁ・・・・・」
「またスロープか」
「ちっかいなぁおい?」
「迂闊に動いたら蜂の巣やな」
「触らぬ神に祟りなし」
「も少し寝とくかw」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「来たね」
「予想通りの展開で二手に別れたんか」
ポスッ
カキンッ
「ヒット!!」
近付きすぎると潜伏場所がバレるので早目に韋駄天を仕留めた
家猫仕留めたかったなぁ・・・
カサカサッ
カサカサカサッ
芝生を這って来るのがわかる
幸いこの辺りに居る目星はついていても見付かってはいないようだ
3メートル・・・
2メートル・・・
直下
真上から家猫の頭が見える
呼吸浅く浅くゆっくりと圧し殺す
家猫の息遣いが伝わってくる
少しの違和感でバレる距離
撃てば必ず仕留められる
しかしこの場所がバレるのは避けたい
肌が粟立ち喉の奥がヒリ付く
極度の緊張と集中が体感時間を狂わせる
長い長い時間が流れ墜ちる木の葉さえも制止して見える
ハヤクハナレロ
呪詛のように心で唱える
カサカサカサッ
カサカサ
カサカサカサッ
静かに家猫が木を離れブッシュの縁で速度を落とす・・・
今は匍匐前進しているので沢の状況は見えていないはず
しかし端にたどり着き索敵を始めれば流石に気付くだろう
今撃たなければ姉様が見付かる
私は反射的に家猫を撃ち抜いた
一呼吸おいてヒットコールがあがるがその時既に木を飛び降りていた
家猫はまだ立ち上がっていない
家猫には悪いがすぐ起き上がれないようマスクの無い耳の後ろを撃ち抜かせてもらった
ヒットコールまでの一呼吸はその痛みによるものだろう
音もなく芝生を駆け抜け三角州を回り込み陸上競技場のブッシュを一気に飛び越える
そのまま急斜面の芝生を滑り降りるとスタート地点目掛けて猛烈にダッシュする
この位置で足音を殺しても意味はない
それこそ全速力で駆け抜けた
道路を渡り芝生へ入ると息を整える
ハアッハアッハアッハアッ
ハッハッハッハッ
ハァーーーーッ
フゥー
スゥー
フゥー
切迫呼吸から強制的に呼吸を整える
静かに這い進みスロープの敵を見つける
やはり3人
どうしたものか?
芝生を一番下のブッシュまで滑り降りブッシュに沿って近付いていく
5メートル・・・・・
4メートル・・・・
3メートル・・・
2メートル
ブッシュを隔ててすぐソコにいる3人は交替で大木目掛けて攻撃している
「これだけ撃ち込んでも当たらんのか?」
「サークルじゃないんやろか?」
「周りにも満遍なく撃ち込んでるんやがなぁ」
「まさかゾンビ?」
「なわけないよなぁ」
「後ろのブッシュの方なんかな?」
ピシッ
「うわっ!!」
「確実にヘッドショット狙ってきてる!!」
「この弾幕で狙ってきてるのか?」
「俺等の攻撃が的外れなんかもしれん」
「韋駄天達はまだか?」
「このまま時間切れもアリかw」
「それもアリやと思うんやけどなぁー」
不意にハンターの声が響く
「この至近距離で撃たんかったら漢ちゃうやろ!!」
シュドドドドシュドドドドシュドドドドッ
ハンターがブッシュから立ち上がりスロープを凪払う
「やめてやめてやめてやめてやめてーーーーっ!!」
接近してるなんて知らないのは仕方がないが流れ弾が近くを掠めていく
えええーーーい!!
こうなったら仕形がない!!
私はグランドマスターを芝生に置くとみぎてでM645を左手でワルサーPPKを引き抜くと目の前の3人に叩き込む
「うわっ!」
「なんやっ!!」
「後ろ???」
「あだだだだっ」
「ヒットヒットヒット!!」
「かんべんしてくれーーー!!」
「ヒットヒット」
「降参降参降参!!」
かくして勝敗は決した
私がハンターに撃ち抜かれたのは言うまでもない




