鷹の目
ガンショップSが主宰するサバイバルゲームチーム
「鷹の目」(イーグル・アイ)
近隣でもハイパワー戦の極悪チームとして有名でベテラン向けの夜間戦闘専門のゲーム会である
当時は知らずに飛び込んだので気にしていなかったが結果的にここで鍛えられ才能を開花させていった
定例会へ行く少し前
韋駄天は雨の中走らせていた改造シビックで事故に遭い愛車をRAV4へと変えていた
「おぅ兄ちゃんあのうるさい車はどないしたんや?」
「乗り心地悪いから買い換えたんや」
相変わらずデリカシーの無い店長に事故の事は伏せて答える韋駄天
「こんばんはー」
「今日はお世話になります」
「おぅ」
「初日やし3人一緒がええな」
「赤チームや」
そう言うと赤のガムテープを渡された
赤と黄色のガムテープをそれぞれ両方の二の腕に巻き付けることでチームを示す
夜中の視認性は黄色の方が目立つのだが店長はいつも赤を選んでいた
初めての大がかりなサバイバルゲーム
初めてのチーム戦
私達の胸は期待に脹らみ目はまだ見ぬ興奮に輝いていた
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シュガガガガガッ
バパパパパパパパパッ
シュトトンシュトトンシュトトン
ガリガリガリガリガリ
「ひいーーーーーーーーっ」
後方で戦況見ながら雰囲気を肌で感じるつもりだったのだが・・・
恐い
恐すぎる
ノーマルとは比べ物になら無い発射音の嵐
飛び交う弾丸の風切り音
後方なのに近くで炸裂するBB弾
正に戦場だった
戦況を掴む事すら出来ず逃げ惑い這いつくばってフィールドを横断する
その間も頭上を切り裂く風切り音
ヤバイっ!!
ヤバイっ!!
死にたくない!!
怪我したくない!!!
けれど折角のゲームで逃げるだけなんてもっと嫌だ
地面を這いながら銃弾の下を掻い潜り敵の潜む壁へと向かう
後方からの見方の攻撃で敵も頭を出せず銃だけ出しての目暗射ち
恐怖に唇を噛みながら這いずってなんとか壁まで到達したが迂闊に頭を上げると味方に撃ち殺される
ヤバイ
ヤバイっ
敵が右側からと上からしか攻撃していないのに気付き左側へ這い進む
こちら側は高低差10mの大階段
壁の左側には地面がなく鉄柵で区切られているだけだった
そっとクルツを差し入れて引き金を引き絞る
パカカカカカッ
自分で組み入れた改造パーツの具合は良いようだ
パカカカカカッ
今度は銃口を8の字に回しながら撃つ
「ヒット!!」
「ヒット」
「ヒットヒット」
「あうぇーーー?」
「ヒットーー!!」
瞬く間に4人のヒットコール
ヤバイッ
ヤバイッ
キモチイイッ!!
楽しいっ!!!
マガジンの発条を巻きながら4人の死者が通るのを見送る
ここは通称「藤棚」
大階段から登って左手にあるコンクリートの壁で残念ながら藤は植えられていない
この藤棚と10m程離れた壁との間にあるブッシュは「死者の鉄格子」と呼ばれ下から登ってくる坂になった雑木林「ハンバーガーヒル」の出口となる背の低い植え込みである
このフィールド1番の激戦区であり藤棚はこの死者の鉄格子から丸見えとなる為攻略しても維持するのが難しい難所である
寝そべったままくるりと方向を変えて死者の鉄格子へと2斉射
パカカカカカ
パカカカカカ
クルツはバレルが短いため発射音が大きく独特な音色を奏でる
反撃なし
どうやら味方の弾幕に圧されて鉄格子から撤退していたらしい
素早く四つん這いで壁の端にたどり着き素早くハンバーガーヒル全体に掃射する
反応無し
ハンバーガーヒル方面はさっきの藤棚防衛隊だけだったらしい
ならば絶好のチャンスだ
一気に立ち上がり壁を回り込みハンバーガーヒルへと滑り込む
その瞬間後頭部に激痛が走る
いたいっ
いたいっいたいっいたいっ
ヒット
ヒットコールしなきゃ!!
痛みに屑折れたところに容赦無い2射目が背中に突き刺さる
「ひっとぉーーーー」
なんとか絞り出した声は涙に揺れていた
こうして鷹の目の初陣は味方撃ちに終わった




