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英雄魔術師はのんびり暮らしたい  のんびりできない異世界生活  作者: 柊遊馬
第二部

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1978/1978

第1968話、それは変身では? 美少女が目の前にいたならば


 学業は、学校にいる間だけではない。家で学習とかかったるいでしょ――以前ならそう思っていたリンだが、今は将来のための勉強として取り組んでいる。

 結局は勉強とは自分のためにやるものなのだ。他の誰のためでもない。生かすも殺すも自分次第。自分の人生なのだから。

 ふと、ノートから顔を上げた時、すぐそこにニーゴの顔があった。


「わっ!? びっくりした!」


 リンは声を上げた。音もなく、ニーゴはすぐ近くにまで忍び寄っていた。


「ちょっと、いきなりおどかすのなしだって」

「そんなに驚かれるとは思っていなかった」


 意外そうに言うニーゴ。その表情はあまり変わらない。


「気分を悪くさせたのなら、謝る」

「いや、別に気分が悪いとかはないけど……」


 リンは気まずい。じっと見つめてくるニーゴの視線に、ちょっと耐えられない。


 ――この子、顔良すぎぃー。


 気恥ずかしくなってくるのだ。


「人にはパーソナルスペースってものがあって、その範囲に前触れもなく入ってくるのをよしとしないものなのよ」


 あたしとあなたは他人でしょ――ということである。


「パーソナルスペース?」

「距離感ってやつよ。これはその人の性別や性格も関係してくるところだから、具体的にどれくらいってのは言えないけど」


 人それぞれ違うのだ。ニーゴは少し考える。


「近かった、ということかな?」

「うん、まあ、そうかな……」

「でもリンの兄弟姉妹は、もっと近くでも平気だったよ?」


 あー……。まあそれは家族だからね、としか言いようがない。三女であるレオナ、とかすぐ人に抱きついてくる。


「レオナは――」

「あれは抱き癖があるのよ。パーソナルスペースとはまた別」

「ルマとジュイエは?」

「あの二人は距離は近いわね」


 否定しようがない。四女ルマ、五女ジュイエは同い年ということもあって、お互いの距離が近い。ほとんど肩が触れ合う距離も自然だ。

 下のリザベッタ、アリーシャも距離は近いが、上の子たちほどではない。


「つか、女ばっかりね」


 男兄弟たちは、そういうベタベタしたところはない。次男ジュワン、三男ユーリが比較的近い以外は、むしろスペースを開けている気がする。男が兄弟姉妹とはいえベタベタ抱きついてくるとか嫌すぎるけれど。


「親しい人相手ほど、距離は近くなる。知らない人だと離れた場所でも気になったりするわね」


 とくに警戒感の強い人ほど広くなる。男性も気にするタイプは広いが、全体的に女性のほうが他人に対してのスペースが大きくなる。


「つまりは性別も絡んでくる、と」

「まあ、そうなるわね」

「じゃあ、僕が女の子になったら……どうかな」


 すっと、ニーゴの雰囲気が変わった。銀髪が伸びて、体つきも女性のそれに変わる。胸が出てきた。


「どう?」

「……」


 綺麗……。リンはしばし言葉を失った。これが噂に聞いていた鉄星人の性別変化か。これではまるで変身だ。


「ちょっとあんたズルいわ……」

「ズルい……?」


 だって綺麗だもの。女が羨む可愛さ。そう、リンは嫉妬した。自分にはない可憐さ、美しくもあるが、それよりも年相応の少女を、ニーゴから感じたのだ。

 もう少し歳を重ねたらアダルトな魅力をまとっただろうニーゴの容姿は、柔らかく親しみやすい少女そのものだった。


「……あたしに抱き癖がなくてよかったと思うわ」


 でなければ、思わず抱きしめたくなるくらい綺麗で可愛い。あたしがレオナだったら――と思ったが、三女の抱き癖は可愛いもの限定ではないので関係ないかとも思ったりした。


「ねえ、リン」

「なによ……」


 くーっ、ニーゴ女の子版、可愛過ぎるんですけど!――リンは、この可憐すぎる美少女を抱きしめたくなる。パーソナルスペース? 何だそれは。


「ハグしてもいい?」

「ふぁっ!?」


 驚き、そして赤面するリン。ニーゴはさほど表情を変えずに言った。


「『私』も、リンとハグしたい」

「……!」


 鼻がむずっときた。顔が熱い。赤面しているとリンは自覚しつつ、相手のあまりの可愛さに負けた。


「どうぞ……」

「はい」


 手を広げたリンに、ニーゴはそっと体を抱きしめた。

 あ、おっぱいある――リンは自身の胸に重なる相手の柔らかさを感じた。頭がクラクラしてきた。――あたしはいったい何をやっているんだ……?

 リンは為すがまま、目の前の美少女に体を預けた。



  ・  ・  ・



 こいつらは何をしているんだ?

 ユーリとジュワンは、リンとたぶんニーゴと思われる美少女が抱き合っているところに出くわした。

 姉貴が男と抱き合った、となると、途端に腹が立つユーリであるが、相手が同性の美少女であればまた別の感想をいだく。


「尊い……」

「は?」


 ジュワンが、兄弟を見て驚いた。何でもない、とユーリは首を横に振る。美少女ニーゴにくらっときたというのは、リンと直接血の繋がっているユーリもまた同じだった。


「これ、どうするんだ……?」


 ジュワンはただただ困惑していた。ユーリはしばし長女と美少女のハグを見ていたい気もしたが、あとで面倒になりそうなので親友の肩を引っ張り、無言で立ち去った。

次話は明日、土曜日更新予定。

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累計45万部突破! 既刊1~13巻(12巻以降は電子書籍版のみ)も発売中! コロナEX、ニコニコ静画でも連載中!

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