表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
英雄魔術師はのんびり暮らしたい  のんびりできない異世界生活  作者: 柊遊馬
第二部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
1267/2029

第1259話、連合国戦線 ――ネーヴォアドリス


 シーパング同盟艦隊、セイスシルワ王都へ到着。


 俺のもとに届いた報告によれば、輸送艦に避難民を収容する作業が開始されたらしい。その間、アーリィーの第三艦隊、ヴァリサのシーパング同盟艦隊が王都とその周辺を守る。


「ベルさんは、連合内の大帝国艦隊を叩きまくっている」


 通り魔の如く、ベルさんのレーヴァテイン艦隊は、連合国の至る所に移動しては、真・大帝国に襲撃を繰り返し、出血を強いている。


「あの方が他方で暴れ回っている間は、大帝国侵攻軍もセイスシルワに集中できないでしょう」


 ダークエルフのラスィアが、レポートを読み上げるように言った。


「皆もよく頑張ってくれている」


 基本的に一カ所に留まるような戦いはしていない。セイスシルワの例外を除けば、守備隊を置かず、防衛線を張らないからこそ、数の不足を補えている。


 やはり、機動戦なんだよな、戦いってやつは。


「大帝国の攻勢もかなり鈍化してきていますね」

「連合国内に、連中の艦艇を修理できる設備がほとんどないからね」


 俺はニヤリとする。


「大帝国は、転移で敵地奇襲って手を使ってきた。これは決まれば一気に優勢になって、その後の進撃も楽になるいい手ではある。電撃的に敵地を制圧して、そこの物資や設備を接収することを想定しての戦法だったはずだ」


「ですが、閣下は大帝国に連合の施設を使わせなかった」


 元は連合国が裏切った時用の自爆装置だったんだけどね。敵に利用されそうになったら、渡さないように破壊してから放棄するってのは常識だから、特にどうこう文句を言われることもないんだけど。


「多少の傷は、連合国の設備で直すつもりだったんだろうけどね。それができないとなると、損傷した兵器が修理できずに、どんどん戦闘不能になっていってしまう」


 俺は、戦術モニターの表示を切り替える。旧ウーラムゴリサ王国に、かなりの数の真・大帝国艦艇が集まっている。その原因は、こちらの一撃離脱戦法により、ダメージを受けた艦艇たちである。


「……この様子だと、大帝国は艦隊を転移させる装置はあるけど、個々の艦艇は転移できないようなんだよな」

「個別に転移ができれば、損傷した艦艇は、とっくに大帝国領へ離脱していたでしょうし」


 ラスィアが首肯した。


「攻勢が鈍化しているのも、進撃している艦艇が減ってきているだめですね」

「連中、増援はドンドン送ってきているみたいだけどね」


 ただ連合から艦隊を戻す方法がないから、数の多さが、そのまま大帝国の戦闘力と見るのは間違いではある。


「もっとも、敵だっていつまでも、この状態を放置しているわけがない。損傷艦を使えるようにするためにも、手を尽くしてくるはずだ」

「はい」

「考えられるのは、現地に転移装置を送るか、あるいは作る」


 転移装置で、ウーラムゴリサ王国辺りに集まっている損傷艦艇を送り返すのである。


「それか、シーパング同盟であるプロヴィア、クーカペンテに戦力を投入して制圧。無理矢理ルートを繋げる」


 いや、もっと簡単な迂回(うかい)ルートがあるな。


「ニーヴァランカから北海に抜けて、大回りするか。またはネーヴォアドリスを攻略し、大帝国植民地である旧トレイスへ抜けるルート」

「北か南へ迂回ですね」

「そういうこと」


 西の大帝国、東の連合国に挟まれる形であるシーパング同盟の壁。ここにはウィリディス軍第五艦隊ことファントム・アンガーの主力と、第七艦隊=シーパング艦隊がいるため、連合国侵攻中の真・大帝国軍も正面から仕掛けるのは難しいだろう。

 クルフも、そこに手を出せば、シーパングの主力が出張ってくると想像しているはずだ。


「転移装置を送ってくるのが一番、簡単だと思うんだけどね」


 ただ、いかな大帝国でも艦隊転移にはそれなりのエネルギーを使うようで、思いつきで使えるほどではないみたいだけど。


「そうなると、やっぱネーヴォアドリスに肩入れして、大帝国ルートを通行止めにしてやるのが一番かもしれないな」


 南ルートの遮断。現在、ネーヴォアドリスは、大帝国の侵攻軍の攻撃で東部を失陥。西へと後退しながら、なお交戦している。


 ……俺たちバルムンク艦隊も、今はネーヴォアドリスにいる。


「北ルートは如何いたしましょうか?」

「開けといていいんじゃない」


 俺は微笑した。


「離脱できるルートが残っているほうが、行動を読みやすくなるし」


 全部塞いじゃったら、敵が脱出ルート確保のために、どこを食い破ろうとするか予想しないといけなくなる。守備隊をそれぞれ送らないといけなくなるし、そういうのはうちのスタイルじゃないんだよね。


「そもそも、ニーヴァランカは救援も手遅れだしな」


 北へのルートはそのまま放置。ただ観測ポッドなどで偵察はしているから、大帝国がそのルートを使う時は、こちらも道中を襲撃する部隊を送ればいい。


 必要な時に必要な戦力を送る。守るのではない、襲うのだ。


『閣下』


 シェイプシフター・オペレーターが報告した。


『ブル高原にて、ネーヴォアドリス軍と真・大帝国軍が接触しました』

「来たな。我がバルムンク艦隊は、これよりネーヴォアドリス軍を支援する!」


 戦闘配置、発令。


 西へ下がるネーヴォアドリス軍。それを追ってくる大帝国陸軍部隊による地上戦である。

 プロヴィアへ避難を進める民を守るため、決死の防戦を展開しようとしている殿軍。普通に戦えば、まず彼らは負けるだろう。


 だがその命を賭けた時間稼ぎに、俺たちも協力させてもらおう。



  ・  ・  ・



 ブル高原は、一見なだらかな地形が広がっているが、無数の塹壕が掘られ、小高い丘には防御陣地が作られていた。


 ただし、これはネーヴォアドリス軍が構築したものを、旧・大帝国が作り直し、さらにそれをファントム・アンガーの協力で奪回した後、しばらく放置されていたものを、改めてネーヴォアドリスが整備したものという、少々回りくどい過去が存在する。


 それもこれも、西からの侵攻に備えていたのに、東から真・大帝国が攻めてきたからである。本来想定していた防衛線の逆からの攻撃である。以前、旧・大帝国が占領した時、防衛線の向きを変えたものが、ここにきて活用される格好になったのだ。


 真・大帝国の魔人機と巨大戦車が草原を踏みしめ、防衛線に迫る。


 ネーヴォアドリス軍の防御陣地から88ミリカノンが火を噴いた。放たれた砲弾は地面に穴を穿ち、土砂を巻き上げる。魔人機エアナルに命中した砲弾もあったが、魔人機特有の防御障壁によって弾かれる。


 この反撃に対して、真・大帝国のギィー・ラジィル戦闘攻撃機が上空から降下してくる。低空をかすめ飛び、防御陣地に向けて爆弾を投下。88ミリ砲陣地がネーヴォアドリス砲兵と共に吹き飛ぶ。


 そして、真・大帝国軍は、ネーヴォアドリス防御陣地へ向けて、突撃を開始した。

英雄魔術師@コミック1巻から4巻、発売中!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リメイク版英雄魔術師、カクヨムにて連載中!カクヨム版英雄魔術師はのんびり暮らせない

ジンとベルさんの英雄時代の物語 私はこうして英雄になりました ―召喚された凡人は契約で最強魔術師になる―  こちらもブクマお願いいたします!

小説家になろう 勝手にランキング

『英雄魔術師はのんびり暮らしたい 活躍しすぎて命を狙われたので、やり直します』
 TOブックス様から一、二巻発売!  どうぞよろしくお願いいたします!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ