↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
打ち砕くロッカ   作者: ジェームズ・リッチマン
第五章 見えざる人影

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

313/545

鈎002 仄めかす後光


 ※インタビューに答えるロッカ=ウィルコークスさん(右)

 ※インタビューに答えるクライン=ユノボイドさん(左)


 マルタ魔道闘技大会の二回戦が終了した。

 そう遠からず五大国の未来を担うであろう若き魔道士達の健闘振りは、この日もまた白熱したものであった。

 今年は監督者席に連なる著名人の知名度もあって、各会場は常に満員だ。ミネオマルタの宿泊施設はかつてない規模の来場者の対処に苦慮しており、郊外にテントを設営して過ごす人々も多く見られる。

 異例の賑わいを見せる今年のマルタ杯。今回の記事でもまた、試合を勝ち進んだ二人の若き魔道士を紹介しようと思う。


 “クランブル・ロッカ”ことロッカ=ウィルコークスさん(18)はミネオマルタ国立理学学園の特異科と呼ばれる珍しい学科に属している魔道士だ。

 特異科とは、特異理質と呼ばれる魔術の発動に関わる珍しい体質を持った人だけが入れる学科である。ミネオマルタ国立理学学園は世界でも珍しく、この体質を持った人々を積極的に迎え入れており、あまり知られてはいないものの、その歴史は非常に長い。

 ウィルコークスさんは鉄魔術を発動させる際に、金属ではなく岩石質の物体を生成できる。岩石を生み出し、時に投げ飛ばす彼女の試合は、他の魔道士には無い豪快さでもって観客を魅了した。

 記者は一風変わった魔術を扱う魔道士、ロッカ=ウィルコークスさんにインタビューを試み、彼女はそれに快く応じてくれた。




記者:ロッカ=ウィルコークスさんがご自身の特異性に気付いたのはいつ頃ですか?


ウィルコークスさん:ずっと前、ですね。初等学校の中間くらいかな……。



記者:二つ名の“クランブル”とは一体何のことでしょうか?


ウィルコークスさん:クランブルというのは、鉱山での役職の一つなんです。私と父はクランブルでした。


記者:鉱山ですか。というと、鉱夫さんでいらっしゃるのでしょうか。


ウィルコークスさん:入学する前までは鉱夫をやってました。やりがいがあって楽しい仕事ですよ。今もやめたつもりはありません。


記者:なるほど。



記者:とても大きな杖をお持ちですね。


ウィルコークスさん:このメイスはお気に入りなんです。ミネオマルタにある、マスケルト戦杖店というお店で手に入れました。


記者:メイスですか。メイスを使われるんですね。


ウィルコークスさん:この微妙な角度と柄の形が丁度いいんですよ。今ではよく一緒に寝てます。


記者:一緒に寝ているんですか。


ウィルコークスさん:落ち着きますよ。



記者:今日の試合、おめでとうございます。対戦相手の“砦のクレア”さんとの攻防入り乱れる闘いは、見ていて息が止まるかと思いました。今のお気持ちをお聞かせください。


ウィルコークスさん:(暫しの沈黙)すごく強かったです。


記者:最後は追い詰められているように見えましたが、逆転を果たしましたね。


ウィルコークスさん:どうにか勝てました。辛勝というか。やり方はちょっと変わっていると、自分でも思います。でも私なりのやり方でやって、勝てたので。それが一番良かったなと思っています。


記者:ウィルコークスさんのやり方とは、ずばり何でしょうか?


ウィルコークスさん:私のやり方ですか。何なんでしょうね。うーん。多分打ち砕くことなんじゃないでしょうか。


記者:打ち砕く、ですか。まさに、“クランブル”の名にふさわしいですね。


ウィルコークスさん:ありがとうございます。



記者:最後に、これからの試合への意気込みをどうぞ。


ウィルコークスさん:えっと。悔いの無いように全力でやっていきます。


記者:ありがとうございました。


ウィルコークスさん:ありがとうございました。




 二人目の魔道士は、“名誉司書(ライブラリアン)クライン”ことクライン=ユノボイド(18)さん。

 彼もまたロッカ=ウィルコークスさんと同じく特異科に所属する魔道士である。ユノボイドさんは豊富な魔術を扱うことができ、二回戦まで圧倒的な技術を見せつける形で快勝を掴んできた。

 軍人顔負けの速射力や戦闘センスに、観戦していて思わず唸り声を上げた人も多いのではないだろうか。

 干満街クモノス出身の旧貴族であるというユノボイドさん。彼もまた、我々クレイモアの取材に応じてくれた。




記者:二回戦突破おめでとうございます。試合中、緊張はされましたか。


ユノボイドさん:しない。緩めもしないが。



記者:ユノボイドさんは非常に多くの魔術を瞬時に発動させていますね。まさに二つ名の“名誉司書(ライブラリアン)”に相応しい闘いだったように思います。二つ名の由来をお伺いしてもよろしいですか?


ユノボイドさん:人が勝手につけたものが定着していた。由来はおそらく図書室に入り浸っていたからなのだろう。


記者:なるほど、非常に研究熱心なのですね。



記者:非常に多くの魔術を扱えるようですが、ユノボイドさんは何種類まで扱えるのでしょうか? お伺いしてもよろしいでしょうか?


ユノボイドさん:今は非常に多く、とだけ。近々発表があるかもしれない。どちらにせよ大会では使えないが。


記者:楽しみにお待ちしております。



記者:最後に、これからの試合の意気込みを教えてください。


ユノボイドさん:やってみなければわからない。と言いたいところだが。勝つ。そのつもりで、これからも臨んでいく。


記者:ありがとうございました。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。