↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
矢田トモコ冒険譚 35歳のシンデレラ アムンゼンの初恋編  作者: トモサン


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
73/84

35歳のシンデレラ アムンゼンの初恋編 73

私は、走り続けるロールスロイスの中で、そんなことを、考え続けた…


 考え続けたのだ…


 そして、なにげに、アムンゼンを見た…


 アラブの至宝を見た…


 が、


 全然、嬉しそうでは、ない…


 ファンだと、公言したリンといっしょにいるにも、かかわらず、全然嬉しそうではない…


 すると、やはり、このアムンゼンが、リンのファンだというのは、ウソか?


 あるいは、ブラフ…


 ブラフ=ハッタリか?


 と、思った…


 やはり、なんらかの意図が、あって、このアムンゼンは、自分は、リンのファンだと、公言しているに、過ぎないのか?


 と、思った…


 思ったのだ…


 だから、私は、アムンゼンに、


 「…オマエ、嬉しそうにないな…」


 と、言ってやった…


 わざと、小声で、言ってやった…


 すると、アムンゼンが、言いにくそうに、


 「…いえ、今は、チアガールの格好をしていないから…」


 と、小声で、言った…


 「…なんだと?…」


 「…昔のAKBと、いっしょですよ…同じメンバーが、踊っても、あのAKBの衣装を着て、踊っているから、ファンも、喜ぶんで、あって、矢田さんのように、Tシャツと、ジーンズ姿で、踊っても、ファンは、誰も、喜びませんよ…」


 アムンゼンが、言う…


 アムンゼンが、説明する…


 そう言われると、私も納得した…


 実に、納得した…


 今、ここにいる、リンは、分厚い黒縁のメガネをかけ、いかにも、オタクの雰囲気…


 昨日、会ったときの派手さは、微塵もない…


 もはや、別人レベルだ(爆笑)…


 ここにいるのが、昨日会ったリンと別人だと、言われても、おかしくはない…


 そして、そんな姿のリンを会っても、このアムンゼンも、嬉しくないだろうと、思った…


 思ったのだ…


 やはり、チアガールのリンは、チアガールの姿をしているから、いいので、あって、普段着では、言葉は悪いが、輝かない…


 周囲に埋没してしまう…


 それは、例えば、背が高く、スタイルが、抜群の女が、ビキニを着て、ミス日本のコンクールなどに、出場するから、カッコよく、輝いて見えるので、あって、普段、街で、歩いている姿を見れば、特別、いい女に見えないのと、似ている…


 街で、出会ったときに、最初に、考えるのは、誰もが、顔だからだ…


 スタイル=カラダでは、ないからだ…


 だから、言葉は、悪いが、ビキニ姿で、いるから、カッコいいのであって、普段着の姿では、周囲に、埋没してしまう…


 ウリは、顔では、なく、スタイルだからだ…


 だから、ビキニを着なければ、周囲に埋没してしまう…


 そういうことだ…


 そして、それは、このリンも同じ…


 同じだ…


 はつらつと、健康的なチアガールの姿で、踊るから、輝く…


 周囲から、注目を浴びる…


 が、


 今のオタクの姿からは、チアガールの姿は、想像できん…


 想像できんほどの別人だ(笑)…


 だから、アムンゼンに、そう言われれば、この矢田も納得するしか、なかった…


 なかったのだ…


 そして、そんなことを、私とアムンゼンが、話していると、当然ながら、その話が、リンにも、聞こえたらしい…


 アムンゼンを見て、


 「…坊や…私のファンなの?…」


 と、嬉しそうに、聞く…


 「…ハイ…ファンです…」


 アムンゼンが、即答した…


 即答=すぐに、言った…


 そして、顔を赤らめた…


 やはり、リンに直接、聞かれて、嬉しかったに違いない…


 「…嬉しい…」


 リンが、答える…


 「…ボクもです…」


 と、アムンゼン…


 「…でも、ごめんなさい…今日は、チアガールの格好じゃなくて…」


 「…いえ、とんでも、ありません…」


 「…でも、坊やの言うことは、わかる…」


 「…なにが、わかるんですか?…」


 「…坊やが、チアガールの姿をしたリンが、好きだということ…」


 「…」


 「…たしかに、映像を見ると、自分でも、ビックリするくらい、生き生きと、している…あの姿を見て、今の私を見ても、全然、嬉しくない、坊やの気持ちも、よくわかる…」


 「…」


 「…坊やの前で、チアガールの姿を見せることができなくて、ごめんなさいね…」


 「…いえ、とんでも、ありません…」


 アムンゼンが、嬉しそうに、返す…


 「…そのお気持ちだけで、十分です…」


 思わず、見ている私が、笑い出しかねない対応だった…


 いや、


 私だけでは、ない…


 私以外のここにいる全員、バニラも葉敬も、思わず、吹き出しかねない対応だった…


 リンと、アムンゼンのやり取りを、見た、葉敬が、


 「…アムンゼン君は、リンさんが、ホントに好きなんだね…」


 と、口を挟んだ…


 すると、アムンゼンは、


 「…」


 と、なにも、言わんかった…


 ただ、顔を真っ赤にして、


 「…」


 と、黙り込んだ…


 が、


 この事態に、ただひとり、怒り出した人間が、いた…


 マリアだ…


 葉敬とバニラの娘のマリアだ…


 「…バッカじゃない!…」


 と、突然、怒り出した…


 「…アムンゼン…アンタ、なにをデレデレしているのよ!…」


 と、突然、怒り出した…


 が、


 それを、見た、葉敬が、


 「…アムンゼン君…キミを好きな女の前で、別の女にデレデレしちゃ、ダメだよ…」


 と、笑いながら、忠告した…


 「…それは、男としては、しちゃ、いけない行為だ…」


 と、言って、笑った…


 3歳のマリアが、アムンゼンに嫉妬したのが、愉快で、たまらない様子だった…


 まだ、幼いマリアが、アムンゼンに嫉妬するのが、実に、楽しそうだった…


 これは、私の目から、見ても、当たり前…


 当たり前だった…


 3歳の子供同士のやきもちや、嫉妬は、傍から見れば、可愛らしく、微笑ましいものだからだ…


 しかしながら、アムンゼンは、ホントは、30歳…


 小人症だから、大人になれない…


 だから、3歳の外見のまま…


 それを、考えると、複雑…


 実に、複雑だった…


 そして、私が、そんなことを、考えていると、リンが、まじまじと、アムンゼンを見ているのが、わかった…


 当然、アムンゼンも、またリンの視線に気付いた…


 「…なにか、ボクの顔についていますか?…」


 と、アムンゼンが、聞く。


 当たり前だった…


 「…いえ、坊やは、肌が、浅黒いから、こんなことを、言っては、なんだけれども、アラブの方?…」


 「…実家は、サウジアラビアです…」


 「…サウジアラビア?…」


 リンが、驚く…


 続けて、


 「…サウジアラビアか、どこかに、アラブの至宝と呼ばれるひとが、アラブ世界で、いると言われているけれど、坊やは、知っている?…」


 と、聞いた…


 あろうことか、アラブの至宝本人に、聞いたのだ…


 私は、アムンゼンが、どういう反応を見せるのか?


 興味津々だった…


 なにしろ、当人だ…


 どう、答えるか? 


 興味津々だったのだ…


 が、


 アムンゼンは、


 「…アラブの至宝? なんですか? それは?…」


 と、返した…


 「…そんな難しいことを、聞かれても、子供のボクには、わかりません…」


 「…そうよね…」


 リンは、一瞬、沈黙した後、そう、答えた…


 「…坊やに聞いても、わかるわけが、ないわよね…」


 「…そうですよ…そんな難しいことは、大人に聞いて下さい…」


 「…」


 「…で、そのアラブの至宝というひとが、どうかしたんですか?…」


 「…それは、坊やに話しても…」


 リンが、口ごもる…


 当たり前だった…


 このアムンゼンは、ホントは、30歳だが、誰が見ても、3歳にしか、見えない…


 3歳の子供に、難しいことを、言っても、わかるわけがないからだ…


 だから、これは、ある意味、名探偵コナンと同じ…


 高校生探偵の工藤新一が、小学一年生の江戸川コナンになったのと、同じ…


 同じだ…


 ただ、江戸川コナンは、薬の力で、高校生が、小学一年生になったが、このアムンゼンの場合は、生まれつき…


 小人症だから、生まれつき、カラダが、小さいまま…


カラダが、大きくなれない…


 そこが、違うところだ…


 ただし、子供のフリをして、周囲の人間と接するのは、同じ…


 子供だから、周囲の大人が、油断して、つい、ポロっと、言っては、いけないことを言ってしまう…


 話しては、いけない話をしてしまう…


 それは、同じ…


 同じだ…


 だから、もしかしたら、このリンもまた、アラブの至宝の話をしたのかも、しれない…


 子供相手だから、つい、油断して、アラブの至宝の話をしたのかも、しれない…


 私は、そう、見た…


 私は、そう、睨んだ…


 そして、私が、そんなことを、考えていると、アムンゼンが、


 「…リンさん…アラブの至宝に、なにか、頼みたいことでも、あるんですか?…」


 と、聞いた…


 当たり前だった…


 「…それは、坊やに言っても…」


 リンが、口ごもる…


 それを、見たアムンゼンが、


 「…アラブの至宝が、なんだか、ボクには、わかりませんが、頼みたいことがあるのなら、ここで、話してみるのも、いいかも、しれませんよ…」


 と、言った…


 「…でも、坊やに話しても…」


 「…それは、ボクに話しても、なにもできませんが、今、リンさんが、話した内容を、ここにいる誰かが、聞いて、他の誰かに話したりしたら、解決できるかも、しれませんよ…」


 「…」


 「…風が吹けば桶屋が儲かるという、日本のことわざでは、ありませんが、思いもかけないことが、起こるかも、しれません…」


 アラブの至宝が、リンを説得した…


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。