番外編⑤
番外編⑤
赤魔法の少女
王都ルミナリア。
城壁の上。
アルベルトは一人で立っていた。
夕日が
王都を赤く染めている。
静かな風。
遠くの街道を
ぼんやり見ていた。
ふと
最初に出会った日のことを思い出す。
森の中。
魔物に追われていた
小さな少女。
剣もまともに持てない。
魔法も不安定。
危なっかしい子だった。
アルベルトは小さく笑う。
「本当に」
「無茶をする」
今では
王国を救った英雄だ。
黒月戦争。
聖峰アウレリア。
あの戦いで
世界は変わった。
だが
アルベルトにとっては
少し違う。
世界が変わったのではない。
あの少女が
変わったのだ。
昔はよく言っていた。
「私なんて何もできない」
だが今は違う。
仲間のために戦う。
未来のために進む。
赤魔法の力で。
その時
後ろから声がした。
「こんなところにいた」
振り向く。
リュカだった。
夕日に照らされている。
アルベルトが言う。
「探していたのか」
リュカが頷く。
「うん」
「みんな待ってる」
遠くの門の前。
エリシア。
バルドック。
ガルヴァン。
セレスティア。
セラフィーナ。
仲間たちが集まっていた。
また旅に出る準備だ。
リュカが言う。
「行こう」
アルベルトは少しだけ空を見る。
広い空。
まだ知らない世界。
そして
目の前の少女。
アルベルトは思う。
この物語は
王国の歴史かもしれない。
だが
自分にとっては違う。
これは
一人の少女の物語だ。
赤魔法の少女。
自分の力を信じて
未来へ進む少女。
アルベルトは笑った。
「行こう」
リュカが嬉しそうに笑う。
「うん!」
二人は城壁を降りる。
仲間のところへ。
そして
その先の世界へ。
夕日が
七人の背中を照らしていた。




