第六十四話
第64話
山の静寂
龍の洞窟。
巨大な龍の体が
静かに横たわっていた。
戦いは終わった。
リュカはまだ少し息を整えている。
エリシアが隣でしゃがんだ。
「大丈夫?」
リュカが頷く。
「うん」
エリシアは優しく笑った。
「よく頑張ったね」
ガルヴァンは龍を見上げていた。
「大きい」
バルドックが笑う。
「最高の素材だな」
セレスティアは目を輝かせている。
「龍種の鱗……」
「研究院でもほとんど見ません」
セラフィーナは静かに祈っていた。
「アウレリアよ」
「この地に均衡を」
白い光が少しだけ広がる。
洞窟の空気が
少し穏やかになった。
アルベルトが言う。
「この龍が原因だったな」
セレスティアが頷く。
「龍種は魔力が非常に強いです」
「周囲の魔物が集まってしまったのでしょう」
ガルヴァンも言う。
「縄張り」
リュカは龍を見ていた。
少し不思議な気持ちだった。
怖かった。
でも
どこか
美しいとも思った。
その時
バルドックが言う。
「さて」
「素材を少しだけ取るか」
アルベルトが頷く。
「全部は無理だ」
龍は巨大すぎる。
持ち帰れるのは一部だけ。
ガルヴァンが鱗を外す。
硬い。
だが
少しずつ取れていく。
バルドックが笑う。
「いい武器が作れそうだ」
リュカが聞く。
「私の武器も?」
バルドックが頷く。
「強化できるな」
リュカは少し嬉しそうだった。
エリシアも笑う。
「よかったね」
作業が終わる頃。
洞窟の外から光が差してきた。
朝だった。
七人は洞窟の外に出る。
北部山岳地帯。
風が吹いている。
だが
昨日より静かだった。
セラフィーナが言う。
「均衡が戻っています」
セレスティアも頷く。
「魔物の気配が減っています」
アルベルトは山を見た。
そして言う。
「依頼は達成だ」
バルドックが笑う。
「王都に帰るか」
リュカは山の頂を見る。
そこには
もう龍はいない。
少しだけ
寂しい気もした。
でも
新しい冒険は
まだ続く。
アルベルトが歩き出した。
「行くぞ」
七人のパーティーは
山を下り始めた。
王都ルミナリアへ。
そして
次の物語へ。




